【本並健治さん・第3回】元サッカー日本代表が考える子どもにやらせたいスポーツと語学習得の道のり
前回からの続き。将来、子どもにスポーツをやらせたい場合、今からどんなことをやったらいいのでしょうか? 元サッカー日本代表ゴールキーパー・本並健治さんと、奥様の元サッカー女子日本代表・丸山桂里奈さんは、「子どもにはサッカーはできればやらせたくない」と語ります。そのワケとは?
プロとして活躍したからこそわかること
──本並さんと奥様の丸山桂里奈さん、ともに元サッカー日本代表選手です。将来、お子さんにもサッカーをやらせる予定はありますか?
本並健治さん(以下、本並さん):子どもにはスポーツをやらせますが、子どもが強く望まない限りはサッカーは勧めません。
──なぜサッカーをやらせないのでしょうか?
本並さん:サッカーは、コンタクトスポーツと言って競技者間の接触があるスポーツです。バスケやラグビー、アメフトなどもコンタクトスポーツです。サッカーの練習や試合では、選手同士が激しくぶつかり合うため、常に危険が伴うんですよ。妻もかつてサッカーで大怪我をしているため、僕ら夫婦の間では子どもに自らが望んでは、サッカーは勧めないと話しています。
──コンタクトスポーツ以外はどうですか?
本並さん:スポーツは大事なので、やらせたいです。スポーツをすることでコミュニケーション能力がすごく高まるんですね。たとえば、陸上やゴルフは個人競技ですが、練習や試合を通してたくさんの人との関わりが生まれます。
──子どもにスポーツをやらせた場合、オリンピックは目指しますか?
本並さん:やるからには、当然オリンピックを目指していきたいですね。もちろん子どもがほかにやりたいことがあれば、趣味程度でもいいですけどね。
オリンピック選手を目指すなら
── オリンピックを目指そうと思ったとき、何から始めたらいいですか?
本並さん:まず良い先生を探すことが大事です。高い目標と、サポート体制がしっかりしていないと、オリンピックは目指せません。いい指導者を見つけてあげるのが、親の役割かなと思います。幸い僕の場合は知り合いにスポーツ関係者が多いため、いろんな情報を共有できるので、ありがたいです。
──子どもをサポートするうえで気をつけたほうがいいことはありますか?
本並さん:口を出しすぎないことでしょうか。僕の場合は、いい指導者が見つかったらあとは見守るスタンスです。僕自身、サッカーの監督をやっていましたが口を挟まれるのは好きではありませんでした。監督は全体を見て指示を出しているので、監督に任せたほうが選手は伸びると思います。
といいつつ、実際、子どもが出る試合などを見に行ったらウズウズするかもしれませんね。「何やってるんだ!」と、カツを入れたくなったり。そうならないように、ピッチには立たないようにします(笑)。
プロスポーツ選手には欠かせない語学力
──本並さんは、お子さんの語学習得にも力を入れたいそうですね。
本並さん:自分も妻も、2人ともプロサッカー選手として海外でプレーした経験もあるし、遠征で海外に行くこともよくありました。海外でのプレーはもちろん、海外の選手や関係者とコミュニケーションを取るためにも英語は必要不可欠。絶対に話せないと困ります。そのため子どもには、小学生のうちから英語を流暢に話せるようになっておいてほしいです。
── 英語以外の言語はいかがですか?
本並さん:中国語、ポルトガル語、フランス語など、3か国語か4か国語。最低3か国語は話せるようになるといいですね。今、性能がいい翻訳機などもありますが、必ずしも現地で翻訳機が使えるとは限らないので、自力で話せるようになることが大事です。
──お子さんの語学力を伸ばすために、現在どのようなロードマップを引いていますか?
本並さん:今、妻とどうするか話し合っているところです。幼稚園のうちから英語に触れさせておくか、もしくは小学校からにするか。現在、小学校でも英語が必須科目になっているので、それも併せて考えているところです。
──英語以外に、複数の言語を習得する場合、お子さんは混乱してこないでしょうか?
本並さん:子どもはすごく頭が柔軟で、しっかり整理して習得していくと思います。なので複数の言語を学ぶことについては、それほど心配していません。たぶん、僕や妻のほうが頭を整理するのが難しいと思います。子どもだけにやれといって覚えさせるのではなく、僕ら親も子どもとともに語学を学んで習得していく必要があると考えています。
(編集後記)
「子どもにサッカーはできればやらせない」は、本並さん、奥様の丸山桂里奈さん、ともにプロサッカー選手として活躍してきたからこそわかる、怪我のリスクも考えての発言ですね。またスポーツをやるうえで欠かせない言語習得についても、プロならではの意見が聞けたのではないでしょうか。第4回では、子育て中のママに向けて、本並さんからのメッセージをお届けします。
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取材、文・長瀬由利子 編集・荻野実紀子