【後編】<私って気にしすぎ?>公共の場でのマナー問題。「絶対ダメ」ではない場合が難しい
前回からの続き。世の中にはさまざまなルールやマナーがありますが、なかにははっきりとした基準がない場合もあります。そうなると他者との認識の違いでモヤモヤしてしまうことも……。とくに子育てを経験すると、今まで気にならなかったことが気になる場合もあるのではないでしょうか。そこで今回はママたちに「こういうことを気にしているのって私だけ?」「気にしすぎ?」と思うことを、自由におしゃべりしてもらいました!
【今回の座談会メンバーはこちら】
秋吉さん:小学校低学年の女の子のママ。自他ともに認める心配性。逆に大らかすぎる(?)夫にモヤモヤすることも……。
糸井さん:小学校高学年の長男&中学年の次男という男の子きょうだいのママ。元気いっぱいのボーイズたちとのお出かけは大変だけど楽しい!
藤原さん:小学校中学年の長女、幼稚園年長の長男、夫との4人暮らし。自然いっぱいの地方暮らしを満喫中。
赤ちゃんを大浴場に入れてもいいの?
秋吉さん:たとえばスーパー銭湯とかホテルの大浴場とかに、オムツ取れてない子を連れて行きます?
秋吉さん:私は行けなかった。
糸井さん:うちも行かなかった。
秋吉さん:先日、家族でスーパー銭湯に行ったんです。そしたら家族連れがすごく多くて。で、赤ちゃんもいっぱい入ってるんですよ。「絶対お湯の中で(おしっこ)してるでしょ」と思ったんですよね。
糸井さん:素っ裸でお風呂入っちゃったら、あったかくて気持ちよくなって、おしっこしちゃうよね。
秋吉さん:それで銭湯出てから旦那に「絶対まだオムツしてる年齢の赤ちゃんを湯舟に普通に入れてる人がいて。私の感覚的にはないと思うんだよね」みたいな話をしたんです。そしたら旦那は、そこは変に寛容で「家族で来たからでしょ」とか言って。まあ、男湯には赤ちゃんがいないだろうから気にならないんだろうけど。
藤原さん:水遊び用パンツ履いてお風呂っていうのもね……。
秋吉さん:さらに旦那からは「お母さんだって大きなお風呂入りたかったんでしょ」「そういう感覚、もう忘れちゃうもんなんだね」って、私の考えを批判的に言われちゃったんですよ。感染症とかもあって、私自身、厳しくなっちゃっているのもあるかもしれないけど……。こういうことを言ってしまう私、すごい気にしすぎというか、心が狭いのかしら。
藤原さん:難しいな。みんなリラックスを求めて温泉に来てるわけで。でもこっちのリラックスやリフレッシュが、誰かのリフレッシュの妨げになってるかもしれないって思ったら連れて行けないよね。
糸井さん:そもそも小さい子を連れて大浴場なんて、自分もゆっくりできなくない?
藤原さん:そうそう! はいトイレ行って、はい服脱いで、はい体洗って、はいジャボジャボみたいな(笑)。
糸井さん:温泉とは(笑)?
藤原さん:だったら家でゆっくり浸かってたいわ~とか思っちゃう。
糸井さん:温泉宿とかによっては、赤ちゃんがいる場合は家族風呂でお願いしますって指定されたり、赤ちゃんが入った後はお湯を入れ替えるところもあった気がする。
秋吉さん:でもそういうのって明記されていないところが多いし、難しいですね。
リフレッシュしたい気持ちは分かるけど……
ママたちからは「自宅にお風呂がない時代は、赤ちゃんを公衆浴場の湯舟に入れることにも寛大だったんだろうけど……」という声も挙がりました。時代の変化や感染症の影響など、衛生面での意識の変化は否めませんね。「たまには大きな湯舟でゆっくりしたーい!」という気持ちも痛いほど分かりますが、「公共の場だからこそいろんな価値観の人がいる」ということも、頭の片隅に入れておくべきなのではないでしょうか。
乗り物、公園……公共の場は悩みどころが多い
糸井さん:明記されていないと言えば、ほかにも公共の場……電車とかバスもそうですよ。「お子様の泣き声ご遠慮ください」とか明記してあるわけじゃない。
藤原さん:そうだね。
糸井さん:だけど泣かせたら「やっぱりみんなが迷惑だよね」とか気にしちゃう。明記されていないことを、どこまで気にするかっていう……。いくら自分が「そりゃ子どもは泣くでしょう」と思ってても、ね。
秋吉さん:ベビーカー問題もありますよね。公共の乗り物の中でベビーカーをたたむべきかどうかとか。
藤原さん:子どもが靴のまま座席に立つってやつ、気になる?
糸井さん:あー私、無理! 無理です。
秋吉さん:じゃあ子どもが公園のベンチに靴のまま上がっちゃったとき、気にします?
糸井さん:私は脱がせるかな。でもベンチがすごいボロボロの木とかだったら、そのまま。
藤原さん:私だったら子どもに「靴のまま上がらないよ」と注意はして、一応上がったところを後でパタパタ払ったりはするかな。でも人の子が靴のままで上がってたら言えないかなー。ご家庭の教育だしなー。
秋吉さん:ブランコの立ちこぎは?
糸井さん・藤原さん:あー(笑)!!
藤原さん:私自身は子どもの頃、余裕で立ちこぎやってたけど。
秋吉さん:乗り方のひとつですもんね。
糸井さん:うちの子が立ちこぎやってたときに、隣りのブランコにいた親御さんが「立ちこぎは絶対やっちゃダメだよ」って子どもに言ってて、「うわ、やばい!」ってなったことある!
藤原さん:立ったほうが楽しいけど、危ないっていうのがあるからね。
糸井さん:その親御さんは、「立って乗ったら座るところがすごく汚れて、次の子が座れなくなっちゃうでしょ」って結構厳しく言ってたんですよね。私は「これくらい許容範囲でしょ」って思っていたけれど。
藤原さん:いちいち靴脱いで立ちこぎしないしね(笑)。滑りそうだし。
秋吉さん:ママ友とかも対応が分かれますよね。「絶対やっちゃいけないこと」と「なんとなくやっちゃいけないこと」との境界線が人によって違う。
藤原さん:公園、難しいな~(笑)。
秋吉さん:きっと子どもにとっても、よくないですね。この間はいいよって言ってたのに、今日はだめなの? って。ここはいいよっていう境界線が曖昧だと分からなくなるから、統一しなきゃいけないんだろうな……。
「時と場合と相手によって」?
大勢の人が集まる乗り物や公園は、ママたちも気を使うことが多く大変でしょう。場合によっては、いつもは子どもにOKしていることも、「今日はダメよ!」と言わなくてはいけないときもあるはず。その理由が、たとえば「お天気」や「人の多さ」であれば子どもにも説明しやすいですが、「なんとなくその場の空気」や「周囲の言動」が理由だと、はっきり子どもに伝えるのが難しい……。そんなママ自身の迷いが子どもに悪影響を与えるのではないかと心配しているようです。
ルールやマナーは大切!でも気にしすぎも……
公共の場に集う人々は、年齢も性別も生まれも育ちもさまざまです。当然、価値観や許容範囲も異なってくるでしょう。だからこそ「ルールやマナーを守る」ことが大切ではないでしょうか。しかしそれは子ども連れだと余計に「わが子が周囲に迷惑をかけているのではないか」という意識が強く働いてしまいがち。さらにママ自身が「周りから常識のないママと思われているんじゃないか」と人の目を気にしてしまう場合もありそうです。
もちろん「周囲に迷惑をかけない」という意識は大切です。でも常に周囲を気にかけての窮屈な思いをしながらの子育ては辛いもの。座談会に参加してくれたママたちが言うように「絶対やっちゃいけないこと」と「なんとなくやっちゃいけないこと」との境界線は人によって異なるのではないでしょうか。周囲への忖度をしすぎて親子で辛い思いをすることがないように、ほどよい加減を見つけながら子育てを楽しみたいですね。たとえば「赤ちゃんがいても温泉を楽しみたい」であれば家族風呂を利用するなどの気持ちよく楽しめる方法を探すことも大切なのではないでしょうか。
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インタビュー、文・千永美 編集・ここのえ イラスト・Ponko