<最高のママ友は元カノ>【第3話】どうしてシングルマザーになったの?孤独を味わったママたち
前回からの続き。知り合いのいない旦那の地元でマサエが唯一仲よくしていたママ友、メグミ。公園で子どもたちを遊ばせながら、小さな愚痴を言い合ったり情報交換をし合ったりと、心地よい間柄になりました。そんなメグミからある日、「シングルマザーなの」と告白されました。どうやら事情がありそうです。
砂場で子どもたちと遊んでいたメグミは、遊びから離れると横に設置されたベンチに座りました。マサエも横に腰掛けます。ゆっくりとメグミは、これまであったことを話しました。
「うちの親は、すごく私の人生に口を出してくるの。つき合う相手も、どこの大学を出たとか勤めている会社の名前とか、そういう肩書きで判断する人でね。昔、すごく好きだった人がいたんだけど、その人は私の地元の大学に通っていて、そのままそこで就職したのね。でも親が気に入らなかった。その人の勤めている会社が大企業じゃないから」
「大人になってから、親にいろいろ口を出されるとつらいよね」
「そう。反対され続けていくうちに、だんだん揉めるのが嫌になっちゃって。この人と別れさえすれば平和なのかなって思って、別れちゃったんだよね」
メグミはほつれた黒髪を結び直しました。
「それから親が好きそうな相手と何人かつき合ったけど、結局長続きしなくて。最終的には親の勧めた人とお見合いして結婚したの。でも、やっぱりうまくいかなくてね。子どもが産まれて、すぐに離婚しちゃった」
「そんなことがあったんだ」
「とうぜん親はカンカンでさ。地元にいるとただでさえシングルでいることにいろいろ言われるのに、実家にも頼れないとなると、もういる意味ないと思って。だからこっちに来たの」
しんみりと話すメグミに、私は聞きました。
「昔、好きだった彼とはそれっきり?」
「私と別れたあとに転職して引っ越しちゃったみたい。もう過去のことだけどね。あのとき親の反対を押し切ってでも彼と一緒になっていれば今ごろ、なんて思うけれど」
メグミは息子を愛おしそうに見つめました。
「でも自分の決めたことだから後悔はしていない。今はタイキという大事な宝物がいるしね」
メグミは孤軍奮闘をしていました。そんな彼女にマサエも初めて家族以外の人に自分の孤独を語りました。
「私は地元がもっと南の方なんだけど、旦那の地元がこっちで。結婚と同時にこっちで家を建てたの。最初はよかったんだけど、産後は精神的に辛くてね。実家に帰りたいとか地元に引っ越したいとか思っていたの。でもメグミさんと会って友達になれてからはそういう風に思わなくなった。だから私はメグミさんがこの街に引っ越してきてくれて“ありがとう”な気持ちだよ」
メグミは泣きそうな顔で微笑みました。マサエはメグミとまた一歩、近づけたような気がしました。
それから少しして、マサエの実家から冷凍でたくさんのお肉が送られてきました。母の気づかいは嬉しかったし、旦那も子どもも大喜びで目を輝かせています。
「お義父さんとお義母さんにお礼を言わないとな」
「こんなたくさん冷凍庫に入りきらないね。そうだ! 明後日の土曜日、庭でBBQしない?」
「それいいね。やろう」
「たくさんお肉あるからさ、メグミさん親子も誘っていいかな?」
「メグミさんって、前に言っていたマサエのママ友さん?」
「そうそう! すごく優しい私のママ友なの」
「もちろんいいよ! 俺も挨拶しておきたいし。一緒に旦那さんもいらっしゃるのかな?」
「メグミさん、シングルマザーだそうよ」
「そうなんだ……」
【編集部のコメント】
マサエとメグミ。お互いに見知らぬ土地で子育てに孤軍奮闘する同士となりました。他に頼る人がいないことでより絆が強固なものになっていきます。マサエ宅でのBBQは子どもを介したママ友同士のつき合いから、家族同士のつき合いへと発展していったのでした。
文・編集部 編集・ここのえ イラスト・Ponko
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