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子どもの発達障害、祖父母にどのように伝える?理解してもらえるの?【発達障害は個性なの?】

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「発達障害は個性なの?」答えはYesでもありNoでもあり、どちらでもない可能性があります。困りごとを抱えているのであれば「個性」という言葉では片付けられないし、困っていないのであれば「個性」なのかもしれません。

この記事では発達障害の子育てをするなかで見えてきた、さまざまな悩みや問題・対処法などについて紹介していきます。今回のテーマは「わが子の発達障害を祖父母にどのように伝えるか」についてです。

発達障害について義父母に理解してもらいたい

わが子が発達障害だと診断されたとき、筆者は予想以上に冷静でした。むしろ「ああ、やっぱり」と胸をなでおろすような気持ちになったことを覚えています。子育てしてきたなかで感じたさまざまな苦労や困りごとに名前がついたことに、どこか救われたような気持ちになったからかもしれません。

しかし筆者以外の家族は誰ひとりとしてスムーズに、わが子の発達障害を受け入れることはできませんでした。両家の祖父母も父親である旦那すらも、かなり長い期間受け入れがたい状況だったのです。

それでも、わが子にとって祖父母の存在はなくてはならないもの。すぐに理解してもらえなかったとしても丁寧に繰り返して説明していけば、きっと理解してもらえる、サポートに協力してもらえる。当時の筆者は信じて疑いませんでした。

発達障害について祖父母に伝える難しさ

発達障害の診断がおりてすぐ筆者と旦那は、それぞれの親に報告をすることにしました。今回は筆者の実母とのやりとりをご紹介します。

発達障害という言葉にショックを受ける祖父母

最初はありのままをストレートに伝えればよいと考えていた筆者。わが子にとって祖母に当たる筆者の実母に「発達障害と診断が出た」と包み隠さず報告をすることにしました。そのときは電話で報告をしていたのですが、筆者の話を聞いた実母が言葉を失ったことが、声だけでも分かりました。

ショックを受けるだろうなとは想定していたので気にせず、発達障害とはどのようなものなのかについて説明し続けました。生まれつきのものだから誰のせいでもないこと、病気ではないので治ることはなく適切なサポートや見守りが必要なことを丁寧に説明したのです。

発達障害が病気ではないことが理解できない

ひと通り話し終えた時点で、筆者の実母の口から出た言葉は「でも治るんでしょ?」というものでした。この言葉は最初に聞いたときから数年に渡り言われ続けることとなります。

その都度「病気ではないから治るとかではないよ」と繰り返し説明しても、理解してもらえることはありませんでした。むしろ理解したくなかったのかもしれませんね。自分の孫は周りの子どもたちとなんら変わらず、同じように成長していくものだと信じていたのでしょう。それは筆者も同じなので気持ちは痛いほど分かりました。

心を曇らせる「障害者」というレッテル

聞き慣れない「発達障害」という診断名。ここにも実母の心を曇らせてしまう原因がありました。

この告白をしたのは、2013年前後。筆者の印象ですが、当時はまだ「発達障害」という言葉はあまりメジャーではなかったような覚えがあります。聞いたこともない診断名に障害者であるという現実。年配の実母が容易に受け入れられるものではないのかもしれません。実母は「障害」という言葉に嫌悪や拒否、不安などを感じずにはいられなかったのでしょうか。実母の言葉の端々に、信じたくないという感情が垣間見えていました。

障害を抱えていても夢や希望、日常生活を諦めなくてよい。諦めないためにも家族や周囲からの理解やサポートが不可欠。そう伝えても実母は、「障害者の孫はかわいそうな子」と思わずにはいられなかったようです。

当事者であるわが子の思い

2023年2月現在、18歳になったわが子。彼にとってどちらの祖父母とも関係性は大変良好で、なんの問題もありません。しかし実際のところ自身の発達障害に対する祖父母の理解や対応については、どのように感じているのでしょう。実際に、わが子に聞いてみることにしました。

親が伝えてもいいけれど自分からも伝えたい

最初に聞いたのは、「あなたが幼い頃に、私がおじいちゃんおばあちゃんにあなたが発達障害だと伝えたことをどう思う?」でした。幼いから仕方がないとはいえ、勝手に伝えてよかったのかという思いが筆者のなかにずっとあったからです。わが子から返ってきた答えは、このようなものでした。

『話してもらっても問題ない。でも自分からも伝えたい』

詳しく聞くと、筆者や旦那が彼の祖父母に事実を伝えたことに問題はなく、はじめから自分で伝えたかったというわけでもないようです。「自分からも伝えたい」という言葉には、「これからは自分自身の言葉で伝えていきたい」という思いが込められているようです。成長したからこそ、自分自身の言葉で自分を理解してもらえるように努力したいと話していました。

理解やサポートを得ることの難しさを痛感する

筆者は両家の親たちに、トラブルが起こったあとや節目ごとに、わが子の発達障害の特性による学校生活での困りごとなどをこまめに報告していました。また困りごとに対する筆者や学校・周囲からのサポートや対応についてもできる限り伝えるようにしていました。

しかし、わが子に聞いてみると祖父母たちからの理解やサポートは得られなかったようです。

『困りごととか特性があることは分かってはいると思う。でも理解はしていないかもね。一緒にいるときに困っていても、とくにサポートとかしてもらっていないし』

わが子の言葉を聞いて「そりゃそうだ」と思わずにはいられませんでした。筆者は、筆者の父母に深い理解を求めることを諦めていたからです。発達障害に関する書籍を読んでもらうようにお願いすることは、なにか無理を強いているようで申し訳なくてできませんでした。

また特性や困りごとに対応する方法や、どのようなサポートが必要かなどの詳しい話もしてきませんでした。なぜなら筆者自身、分からないことだらけだったからです。今でこそ、発達障害の子どもの特性や困りごとへの対応方法やサポートの方法もたくさん知っています。しかし当時は独学で勉強していても分からないことだらけでした。そのようななか、どう伝えればよかったのでしょうか。そこで諦めてしまわず伝え続けていれば、わが子への対応はもっと違ったのかもしれませんが。

時代が移り変わることで得られる理解もある

先日、筆者が実母と話しているときの会話に時代の流れを感じました。とある芸能人の方がテレビで自身が発達障害であることを話していたというのです。

令和に入ってから、とくにテレビや雑誌、ドラマやマンガなど伝わりやすいメディアで発達障害を取り上げることが増えてきたなと筆者は感じていました。SNSでは日々当事者やサポートをする人たちが、情報発信を盛んにおこなっています。なんてよい時代になったんだろうと心の底から思わずにはいられません。

その結果、SNSやメディアに疎い筆者の実母の耳にも発達障害とは何か、困りごとを抱えながら生きる人たちが一定数いるという現実が届いたのです。見たことも聞いたこともない発達障害という診断名がリアルになる。理解してもらえるまで10年以上かかりました。

それでも筆者の実母は、いまだに発達障害のことを「病気」というので、本当の理解を得ていないのかもしれません。ただ完全ではなくても発達障害について知ってくれている、理解しようとしてくれているのであれば、それはそれで十分ではないかとも感じています。伝えること・理解してもらうことを諦めることも正しい選択の一つではないでしょうか。同じ家族であっても分かりあえることもあれば、分かりあえないこともあるのですから。

しかしわが子の思いは、筆者とは少し違います。

「できれば理解してもらいたい」もまた正解

かわいがってくれている祖父母によくなついており、18歳になった今でも暇を見つけては遊びに行くわが子。しかし発達障害である自分自身を、祖父母は理解してくれていないと感じているようです。

『理解してもらえるかどうかの不安はあるけれど、できれば理解してもらいたい。だから伝え続ける』

わが子が成長し、祖父母に困りごとや特性への深い理解を求めなくても、わが子が困ることはもうあまりないのかもしれません。それでも理解してもらいたいので伝え続けたいと話すわが子には、諦めがちになっている筆者も姿勢を正される思いがしました。好きな人に自分のありのままを知ってもらいたい、それはごく自然な欲求のようにも思えます。

わが子の求めにどう応じるかは、祖父母が判断することですから。

正解はひとつではない。当事者がどうしたいかを考えよう

私たち親子は発達障害という言葉がなかった時代を生きてきた祖父母の世代に、理解してもらうことは本当に難しいことだと痛感しています。分かってもらえないことに悔しい思いをしたことも何度もありました。

祖父母へのカミングアウトについて、発達障害の当事者やママたちに伝えたいことはないかとわが子に尋ねると、このような答えが返ってきました。

『理解してもらえなくても、時間をかけて話し合う方がいいと思う』

正解はひとつではありません。ですから選択肢のひとつとして受け取ってもらえれば、筆者もわが子も嬉しいです。

※本記事の内容はあくまで個人の体験に基づいた内容であり、人によっては当てはまらないケースもあります。

櫻宮親子2022

文・櫻宮ヨウ 編集・ここのえ イラスト・Ponko

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