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<旦那が行方不明>ホワイトデー。るみと急接近したのはその日からだった【第13話:旦那SIDE】

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前回からの続き。中学の同級生だったゆきは、よくできた妻だった。完璧に家事をこなし、育児をして、美味しい夕食をととのえて俺の帰宅を待っていてくれる。比べて俺は、会社で怒られっ放しのダメな人間だった。でもそんな愚痴を、完璧な妻がいる家では吐くことができずにいた。だんだん帰宅することがプレッシャーになった俺は、公園で缶コーヒーを飲んで休んでから、帰り道につくようになっていった。

3月14日の朝。家を出ようとすると、妻が追いかけてきた。

「ハイ、これ。ホワイトデーのプレゼント、買っておいたから渡しておいてね」
「あぁ。今日、ホワイトデーだっけ?」
「そう。会社の人にもらったって言ってたじゃない。ちゃんとお返ししないと失礼だよ?」
「ありがと」
「いってらっしゃい」

会社でお礼をしなければいけない。本日のタスクがひとつ増えた。俺の面目は、妻に守られている。

「北村さん! これ、ホワイトデーなんですけど……」
会社で話した相手は、北村るみ。

彼女は屈託なく、妻が用意したホワイトデーのお菓子を受け取った。
「えー! ありがとう! しかもこれ、有名なスイーツじゃん」
「妻が選んでくれたから、俺はあまり詳しくなくて……」
「これ好きなんだよねー。でも義理チョコでこんないいお返しもらうの悪いな~。あ! 今夜空いてる? よかったら夕飯一緒にどお? たいしたものじゃないんだけど、奢るわよ!」
「はぁ……」

なぜか威勢よく背中を叩かれ、はじめて北村るみと夕食をともにすることになった。

「え……これが夕飯?」

いつも通り上司に怒鳴られて仕事は終わり……連れていかれたのは、なんと公園だった。

「たまにはいいでしょ? ビールとたこ焼き、合うわよ~」

北村るみは大雑把な女だった。たこ焼きが夕飯なんて、妻の場合は考えられなかった。でも公園でビール飲みながらたこ焼きを食べる……。子どもが悪いことをしているときのような気持ちがして、少しワクワクしてしまった。

「るみさん、お子さんいますよね。家に帰ってご飯とか作らなくていいんですか?」
「うーん、あたし料理苦手なんだよねー(笑)。ウチはもう子どもが大きいから適当に冷凍食品とかチンして食べるでしょ」
「お子さんって……男の子でしたっけ?」
「そうそう。旦那いないからさー、絶賛反抗期で大変! 男の子の気持ち分からないんだよね~」
「差し出がましいことを聞くようですけど、旦那さんとは……」
「子どもが小さいときに離婚よ。性格の不一致ってやつかな~。サトルさんのとこは、子ども3人だっけ?」
「はい。5歳と3歳と2歳で、やんちゃ盛りで大変ですよ」
「奥さんは? 働いてるの?」
「いや、いまは育児に専念してもらってて、家に入ってもらってます」

北村るみは、少し不満そうな顔をした。
「ふーん……甘えてるね、奥さん……」

俺が北村るみと頻繁に会うようになったのは、その日からだった―――。

<編集部コメント>
妻のゆきが気をきかせて持たせたホワイトデーのチョコがきっかけで、サトルは北村るみと急接近しました。ゆきの味方をしていた読者のママたちは、少し皮肉を感じてしまいますよね。公園での小さな宴会で羽を伸ばしているサトル。彼の帰りを今か今かと待っているゆきに、電話の一本も入れられない雰囲気だったの? と少しモヤモヤしてしまいそうです。それにしても、サトルのために毎日一生懸命そして丁寧に家事をこなしてきたことが、逆にサトルの首を絞めていたなんて、ゆきには想像できなかったでしょうね。

【第14話:旦那SIDE】に続く。

文・渡辺多絵 編集・編集部 イラスト・Ponko

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※この話は体験者本人のご協力の元作成しています。

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