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<旦那が行方不明>「奥さん、甘えてるよね」すべてから逃げ無断外泊は続く【第14話:旦那SIDE】

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前回からの続き。会社で怒られることが多くなり、だんだん俺は自分をふがいなく思うようになってしまった。プライドが傷ついた日は、「完璧な妻」がいる家に帰りづらくなった。そんなときゆきから持たされたホワイトデーのチョコをきっかけに、同僚でシングルマザーの北村るみから食事に誘われた。行った先は公園で、たこやきを食べてビールを飲む、ただそれだけだったけれど、この上ない解放感があって……。

「子どものことで相談があるの。今日、夕飯どお?」

北村るみからのLINEだ。

あの日、連絡先を交換してからたまに食事に行くようになった。とは言っても、会ってやることはシングルマザーの彼女の育児相談くらいで、決してやましいことはしていない。ただ仕事や家庭のことで頭を悩ませている俺にとっては、いい気分転換になっているのは確か。今日も会社の売店のイートインスペースで、彼女と話していた。

「仕事……辞めたいっす……」
「辞めちゃえ辞めちゃえ! サトルさん優秀だから、どこに行っても大丈夫だよ」
「でも……今より条件の良い会社に就職できるわけじゃないし……何より妻と3人の子どもがいるんでそんなに簡単じゃないんですよ……」
「……サトルさんの奥さんってさー、あなたに甘えすぎじゃない?」
「……え?」

前にも聞いた。「奥さんはあなたに甘えすぎ」と。こんなこと言うのは、彼女が初めてだった。

「もし私だったら、私が稼ぐからしばらくゆっくり休んでていいよって言うなぁ~」
「……でも、妻は子育て頑張ってくれているし……」
「そんなの、子どもをもつ母親なら誰でも同じだよー。あなたにすがってて甘えているだけだよー。今どきおかしくない?」
「…………でも、飯はすっごいうまくて、俺のこと考えてちゃんと作ってくれるし……」
「そんなの働いてないんだから当たり前だよ。でもご飯だけじゃ悩んでるあなたを助けられないよね? 私はご飯作るのは苦手だけど、絶対に今のあなたを支えてあげることはできるよ」

……どういう意味だろう。

「たまには奥さんに気を使わないで、楽にならなきゃ! 今日、ウチに泊まっていきなよ。子どもたちの相談相手にもなってもらいたいし。なんか最近さー……」

こうして俺はスマホの電源をOFFにして、はじめて無断外泊をすることになった。

北村るみは隣の県の大きな団地の、小さめの3LDKに3人家族で住んでいた。彼女には小学生と中学生の息子さんがいる。息子さんたちは大人の男性に慣れているのか、気兼ねなくしゃべってくれる。4人でワイワイ話しているのが楽しくて、仕事の辛さを忘れさせてくれた。適当でゆる~い感じの北村るみが、この家が、今の俺には居心地が良くて。

「頑張らなくていいよ」という甘い囁きに身を任せた俺は、一度外れてしまった道を、自分で元に戻すことはできなかった……。

こうして度々、無断外泊をすることになる。

自宅に帰る日は気が重い。ある日、スマホをゆきに見られた。

「ねぇこのLINEの女、誰?」
「知らねーよ」

ゆきは不倫を疑っているに違いない。やり取りすら面倒になり、ゆきに「どこにいたの?」と質問責めにさられると、ひたすら「公園……」と言い続けた。

なんの責任も負わずに済むるみとの日常が、楽すぎる。うまい飯を作り、部屋をキレイに整えて、ひたすら俺の帰りを待つゆきの存在は、重たくてしょうがない。

今日も、るみの家へ行った。

「ハイ、これプレゼント。店で見かけてキレイだったから……いつも泊まらせてもらってるお礼」
「えーいいの? ありがとう! キレイ~」

プリザーブドフラワーをるみに渡した。るみは花を見ながら、言う。

「もうサトルさん、このままウチに住んじゃいなよ~」
「そうだよ! このまま一緒に住もうよ」
息子さんたちまで、るみに同調する。

「そうしようかな~。じゃぁ妻とは別れるか(笑)」
「えーサトルさん、お父さんになってくれるの?」

そんな現実味を帯びない軽い会話が心地よかった。今思えば、「日常」から逃げたかった……それだけだった……。俺はるみと、その子どもたちとの仲を深めていった。

<編集部コメント>
日ごろ、仕事にがんばるサトルも3人の子どもの父親なら、帰宅したら育児をせざるを得ないのでしょう。そんなときに気軽に独り身を楽しみたくなるサトルの気持ちがわかるママもいるのではないでしょうか。まだ27歳と若く、羽を伸ばしたい気持ちもよくわかります。でも無断外泊はどうでしょう? 子どもを抱えながら、帰ってこないサトルのことを、事故にあったのかもしれないと心配しながらゆきは待っているのです。相手の女性のるみもママなのに、ゆきの気持ちがわからないのでしょうか……。ゆきの存在を消すように「日常」から逃げて「非日常」を楽しむサトルとるみ。ゆきの味方だけれど、解放感を味わう二人の気持ちが少しだけ理解できるというママも、もしかしたらいるかもしれませんね。

【第15話:旦那SIDE】に続く。

文・渡辺多絵 編集・編集部 イラスト・Ponko

※この話は体験者本人のご協力の元作成しています。

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