<両親へのお金は?>思い出す実母のぬくもり……幼い自分が受けた、差別【第6話まんが:姉の気持ち】
前回からの続き。これは最近のお話です。私は3きょうだいで育ったアユミです。5才年下の弟(サトル)と、8才年下の妹(コハル)がいます。妹のコハルが生活の苦しい両親に「仕送りをしよう」と言い出しました。弟と妹は「両親を助けてあげたい」と思える親子関係を築けていたのだな……と改めて感じました。けれど私はそうではなかったのです。
今の母は実の母ではありません。人見知りでなかなか打ち解けることができない私の態度は母の癇に障ったようで
いつも私のことを「何を考えているのか分からない子」そう言っていました。父も「新しいお母さんと暮らすんだから、前のお母さんのことは忘れなさい」家には実母の仏壇も、遺影もありませんでした。
弟と妹が生まれてからは、ますます差別が酷くなりました。それは食事についても……。育ち盛りの弟や妹はあっという間に自分の食事を食べきり、母におかわりをねだります。「ごちそうさま! お母さんおかわり」「コハルもー!」
「えーもう食べちゃったの? もうないわよ~」そう言いながら私を見ます。そして……
「アユミ、あなたそんなにゆっくり食べているならお腹が空いていないんでしょ?」そう言ってまだ食べるつもりでいた私の食事を取り上げ、弟や妹に食べさせるのです。「ホラ、お姉ちゃんお腹空いてないみたいで、余ってるおかずあげるから食べなさい~」「わーい!」「やった~!」
私には「反抗期」がありませんでした。反抗なんてしたら、この家に私の居場所はなくなるでしょう。そう思ったら怖くて「反抗」などできるはずもありません。お祝いごとやイベントもプレゼントはもらえません。いい思い出などないのです。
母は私への厳しい言動を「長女だから」「きょうだいの中で一番年上だから」「これは悪い例だから、お姉ちゃんのようになってはいけないよ」そう弟や妹に言い聞かせ、自分のしていることを肯定していました。
そして味方になってくれるはずの父は、明らかに2人と私を差別する母に何も言わず、見て見ぬふりをしていました。
弟や妹にとっては「いい母」だったのかもしれません。でもその弟と妹の幸せの裏にはいつも「私の我慢」があったのです。私は一刻も早く家を出たくて、高校を卒業してすぐに就職をすることにしました。
高卒ですが、それなりの会社に就職をすることができました。しかし、就職したことで家を出るまでは「働いているんだから」と毎月お金を家に入れてるように母にいわれました。私は家を出たくて必死にお金を貯めて、ようやくあの家から出ることができたのです。
今でも思い出すだけで胸が苦しくなるような子ども時代です。しかしそれを知らない弟と妹からすれば「要領の悪い姉がいつも母親に怒られている」というだけの光景だったでしょう。「姉は変わり者だから母と相性が悪い」「怒られる姉がいけない」そのくらいにしか思っていなかったと思います。私が両親に心を開くことはありませんでした。
【第7話】へ続く。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子