<シングルマザーの恋愛>母の再婚に反対した過去。母の死後、後悔する私は【後編まんが:娘の気持ち】
前回からの続き。
母の死後。母が入院していた病室を片付けていたとき、私の目に母の携帯電話が目に留まりました。
母の通夜、お葬式が終わり、諸々の手続きを終えたあと、私はヨシノブさんと会う約束をしました。ヨシノブさんは最初「会わない」と頑なでしたが、私がどうしてもと懇願し承諾してくれました。
「はじめまして、あなたがユメさん?」
「は、はい! サキコの娘のユメです。はじめまして……」
約束の場所に現れたヨシノブさんは、50歳前後の男性でした。
私はヨシノブさんに聞きたかったことを尋ねました。
「あの、母とはお付き合いをされていたんでしょうか? もしそうなら、どれくらい前から……?」
「そうだね……もう8年くらい前だったかな、サキコさんと出会ったのは」
(やっぱりそうだっ! だとしたら、やっぱり私の言ったことが原因で2人は結婚できなかったんだ……)
私が自分の行いを後悔していると、ヨシノブさんが言いました。
「実は……子どもたちには会ってくれるな、とサキコさんに言われていたんだ。僕と会うことで、あなたたちが傷ついたり悲しむことをサキコさんは1番避けたいようだった。だから最期のときも病院には来ないでほしい、と言われたよ。それなのに、こうしてユメさんと会ってしまい、サキコさんには申し訳ないことをした……」
ヨシノブさんの話を聞き、私は胸を締め付けられる思いになりました。
(苦しい時にはヨシノブさんに側にいてほしかったはず。お母さんはそこまで私たちのことを考えてくれていたんだ……)
私は涙ながらにヨシノブさんに謝罪しました。しばらく沈黙が続いたあと、「僕に子どもはいないが……」とヨシノブさんが私に語りかけました。
そう話すとヨシノブさんは優しく微笑みました。ヨシノブさんの言葉に私は救われたような気がしたのです。母を失ったヨシノブさんに私は何をしてあげられるだろうか……?
「ありがとうございます。あの、なにか私にできることはありませんか? 母の最期に立ち会いをしていただけなかったので……」
私が尋ねるとヨシノブさんはしばらく考えたのち……。
「……そうだね、じゃあ1つだけお願いを聞いてくれるかい」
その後私は無事に男の子を出産しました。体調が落ち着いた頃、私は子どもと一緒に母のお墓参りに行きました。母のお墓に着くとお墓はピカピカに掃除されていました。お花も綺麗な状態で、見慣れないお酒とお菓子が供えられていました。
(ヨシノブさんが来てくれたんだな……)
私と会ったとき、ヨシノブさんは「サキコさんのお墓の場所を教えてほしい」と言いました。その後、お墓が建ってから電話で場所をお伝えしたのです。
私の知らないお酒とお菓子……母が好きだったものなんだな、と私は思いました。きっと母とヨシノブさんは私たち以上にお互いのことを思いやり、理解していたのでしょう。
「幸せだった――」
私は母とヨシノブさんの言葉を信じて生きていいでしょうか。母のような深い愛情を持った母親になれるでしょうか。ううん、この子を心の底から愛している。きっと大丈夫。
(お母さんが私たちにしてくれたように、この子を大切に育てるからね。どうか見守っていてね――)
脚本・子持ち鮎 作画・Ponko 編集・秋澄乃
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