<シングルマザーの恋愛>母の再婚に反対した過去。私は母の幸せを奪った?【中編まんが:娘の気持ち】
前回からの続き。
私はユメ。母と弟・ノゾムの3人家族です。父は私が6歳のときに病気で亡くなってしまいました。寂しい思いをしたこともありましたが、母がその気持ちを忘れさせてくれるくらい愛情深く私たちを育ててくれました。
私はつねづね母の負担を早く減らしたいと思っていたので、高校卒業とともに就職し、実家を出ました。職場で知り合った先輩のヨリトと交際することになり、この度結婚することが決まりました。
ある日、ヨリトの実家で私とヨリト、義両親で談笑していました。
その言葉を聞いて、私の脳裏に高校生のときの記憶が蘇りました。
私が高校生のとき、母が急に「お母さんが結婚したいって言ったらどう思う?」と聞いてきたことがありました。当時の私は自分に再び父ができることが、恥ずかしいような、困るような、そんな感情になったのを覚えています。その感情をごまかすために、「わ、私はお母さんの相手の人殴っちゃうかも~。あはは……」とはぐらかしたのです。母はその場では笑っていましたが、その後母から結婚について語られることは1度もありませんでした。
(今からでも結婚して幸せになってって言うべき? でも当時付き合っていた人とまだ続いているか分からないし……)
私が悶々と考えていると、携帯が鳴りました。弟のノゾムです。
「あ、ねえちゃん? 大変なんだ、お母さんが……」
「……えっ? 病気? お母さんが……?」
母は余命1年の宣告を受けていました。私とノゾムは休みを取って母の通院や入院に付き添いました。
時にはヨリトや義両親が協力してくれることも。しかし治療のかいもなく病気は進行していき、母はみるみる弱っていきました。
私は母と話す機会があるたび、あのときのことについて尋ねました。
何度尋ねても母ははぐらかすばかり。
母が余命宣告を受けてしばらくして、私は妊娠しました。お腹が大きくなってくると母の付き添いをすることが難しくなっていき、母の真意にはたどりつけないまま時間が経っていったのです。
そしてついに……。母が急変したとの連絡を受け、私はヨリトと一緒に病院へ急ぎました。案内された病室に入るとベッドに横たわる母と、立ちすくむノゾムがいました。
「ねえちゃん、お母さんもう意識がないかもしれない……。もう……このまま」
震える声でノゾムは私に言いました。
(そんな……待ってお母さん!)
私は母のそばに駆け寄って手を取り、聞こえるよう叫びました。
「お母さんごめんっ! お母さん幸せになりたかったよね!? 相手がいたのよね!? あんなこと言ってごめんっ! お母さんの人生は私のものじゃなかったのに、お母さんの幸せを奪って本当にごめんなさい」
母にはもう聞こえていないかもしれない。けれど私は言わずにはいられませんでした。
するとやせ細った母の手が私の手を握り返しました。私が顔を上げると、
「お母さんは……幸せだったよ……」
と消え入るような声で母は言いました。そしてそれが母の最期の言葉になりました。
後編へ続く。
脚本・子持ち鮎 作画・Ponko 編集・秋澄乃