まんが【PTA役員を決める5話】「持病があるから」と辞退する人にキツイことを言う【前任の会長編】
前回からの続き。
役員に選出された田中さんが精神的な病気を理由に辞退を申し出てきました。でも、わたしは会長として「免除の前例は作れない」と、そう伝えるしかありませんでした……。
田中さんに「免除の前例は作れません。役員お願いします」 と、キツイ言い方をしてしまった……。本当はこんなことは言いたくありませんでした。田中さん、勇気を出してのことだっただろうに……。もっと寄り添った言い方をするべきだっただろうか? 家に帰っても悩み続けてしまいます。
役員の仕事は、すべてがボランティアです。できる人がやればいいとは言いつつも、すべて「できる人の好意」のもとに成り立っているのかもしれません。 妊娠している人、下の子が小さくて手がかかる人、ご両親の介護をしている人、仕事が本当に忙しくて役員をしている時間がない人、そして病気の人……。みんなそれぞれ事情を抱えています。傍から見れば「それくらい」と思うことから「それは大変だね」と思うことまで千差万別ですが、当の本人からすれば「それが全て」で、その人にとっては「大変なこと」なのです。そして、私(会長)がそこに免除するか否かの線引きをするのは非常に難しいのです。
先日役員に選出された田中さんご自身はつらく、本当に大変なのでしょう。けれど過去にはうつ病を患っても役員をやっていた人もいました。その人も診断書を持っていながらも頑張ってやってくれていたのです……。病気の度合いは人それぞれで「この人は大丈夫」「この人は免除」とは、私たちが判断できるものではありません。 そういう事情がある人が全員免除になったとして、そうしたら今度は「できる人」にすべての負担がかかってしまいます。 私は会長として全員のバランスを考えなくてはいけないのです。
田中さんは、後日診断書を貰って学校へ辞退を訴えました。その後、校長先生から私の方へ連絡がきて、「診断書などを持っている人においては、免除でも良いのでは……」と打診がありました。
私だって本音は個人の事情に寄り添いたい……けれどこれから役員になって、それを不服とする人が全員診断書を持ってきたらどうなるのでしょう? 「診断書を持ってれば、役員は免除されるらしいよ?」という噂が広まってしまったら大変です。私だけではなく、これから会長になる人たちのためにも「特別」な前例は作らないようにしているのです。
最後は校長先生が「まぁまぁ……」と言って間に入って下さいました。
結局PTAの方で頭をさげ、後任の人を見つけることができました。
でもきっと私の会長としての対応はこれで良かったのです。いろいろやり切れない思いはあるけれど、今期もこれでしっかりとPTAを回すことができそうだから……。 田中さん、どうかゆっくり休んでください……と、心の中でつぶやきました。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・ちょもす 編集・横内みか