きっかけはナタ!?他者との価値観の違いに悩んだら……
自分と他者との間に価値観や考えの差があると感じたことはありませんか? 「自分は絶対にA!」と思っていても、自分以外の人に「いや、それはBでしょ」と言われて腑に落ちない思いをしたことのある人は少なくないでしょう。主人との危機意識の差を痛感することになった出来事から、筆者が学んだことについてお話したいと思います。
きっかけは……ナタ
ある平日の朝、次男を幼児園に送り届けたあと、帰り道が一緒のママ友と歩いていたときにナタが歩道に落ちていることに気が付きました。
『えっ! ナタ? 子どもが触ってケガでもしたら危ない!』
筆者はとっさにナタを拾い上げ、現場近くに住む通学見守り隊の人に届けました。ママ友と「怖いねー、誰が忘れたのかな?」と話しながら帰路についたのです。
主人の反応は意外なものだった
その日の晩、主人にナタが道に落ちていたことを話しました。すると主人が苦笑いをしながらこう言ったのです。
『誰かがナタを持ってウロウロしていたわけでもないんだし、そのままにしておいてよかったんじゃないの?』
主人の言葉に筆者は驚き、思わず口をパクパクさせながらこう反論しました。
『ナタだよ! 通学路だし幼児園も近くだし、子どもが触ってケガするかもしれないでしょ?』
鼻息荒く反論する筆者を横目に、主人は笑いながら……。
『神経質すぎでしょ~。心配しすぎ』
と言ったのです。
主人の言葉に愕然とし、「自分は心配しすぎなの? ナタを放置しておけばよかったの? 誰か正解を教えてーっ!」と自問自答しました。
他者との価値観の違いに悩んだら……
主人との危機意識の差を痛感することになった後、冷静になり自分の行動と主人の言葉について改めて考えてみました。
筆者の主人は冷静で理論的に物事を考える人です。常識や法律など、世の中の秩序を守る決まりごとには敏感なように思います。ひょっとしたら、筆者が他人の所有物であるナタを勝手に第三者に渡したことを良く思わなかったのかもしれません。ナタの所有者の人が警察に「盗まれた」と届け出ることも考えられます。今後、軽はずみに行動をしないようにたしなめる意味もあったのかもしれないな、と思いました。相手の言葉を思い出し、そのときの考えを自分なりに想像することで、価値観の差が少しだけ埋まったように感じました。
筆者の出した答え
道に落ちていたのは小型のナタでしたが、しっかりとした重みがあるものでした。何も知らない子どもたちが遊んでしまい、ケガにつながることだってあり得たでしょう。他人に危害を加えようとする人間の手に渡る可能性も否定できません。主人には快く思われませんでしたが、結果として危険を退けることができたのだから自分の行動は決して間違っていなかった、と結論づけました。
夫婦とはいえ他者ですから、価値観や考えに差があることは仕方のないことかもしれません。でもまさか危機意識までこんなに違うとは……! と驚かされた出来事でした。子育てをしているとママ友や幼稚園・学校の先生、子どもの友達など、価値観の違う他者と交流する機会が少なくないでしょう。ときには自分の価値観との差に驚くこともあるかもしれませんね。状況や環境、ライフスタイルが違うとその数だけ価値観が生まれます。出会った人全員と価値観を合わせることは難しく、悩んでしまうこともありますよね。そんなときはまず自分が何を守りたいか、何を大事にしたいかを明確にしておけば悩まずに行動できるのではないでしょうか。そのうえで相手の気持ちや考えを想像することで悩んでいた心もスッと軽くなるかもしれません。他者と価値観や考えが違っていたとしても、自分にとって大切なものを守ることができるのならその選択は誰かに否定されるものではないはず。この記事が他者との価値観の違いに悩めるママたちの参考になれば幸いです。
文・子持ち鮎 編集・荻野実紀子 イラスト・Ponko