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未知のウイルスから今わかってきたことは?親子に伝えたい大切なこと

未知のウイルスから今分かってきたことは?親子に伝えたい大切なこと【感染症医・山本修平先生】

新型コロナウイルスの影響がある中で迎える冬。少し前までは未知のウイルスでしたが、今やわかってきたことも多くなっています。新型コロナウイルスに対して今、何を知ってどのように心がければいいのでしょうか。

静岡県立静岡がんセンター感染症内科の山本修平先生にお話を伺いました。

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家庭では大人から子どもへの感染が起こりやすい

――子どもが学校で、新型コロナウイルスをもらってこないか心配です。家庭ではどのような備え方ができますか?

山本修平先生(以下、山本先生):子どもは新型コロナウイルスにはかかりにくい、というデータが出ています。小学校などでクラスターは起こりづらいんですね。ただ家庭では「大人→子ども」への感染が起こりやすくなります。学校で児童生徒の感染者が出た場合は、ほとんどのケースで大人が家庭に持ち込んだことが原因となって学校へ感染が広がっているという報告がありました。

大人から子どもへ感染するほうが、子どもから大人へ感染するよりも多いと考えられます。家庭の中に新型コロナウイルスを入れないためには、大人が「ウイルスを家庭に入れないこと」を徹底する必要があります。なぜなら家庭にいったんウイルスが入ってしまうと、家庭内での感染対策には限界があるからです。

――大人が感染予防対策を徹底することが、肝心なのですね。

山本先生:そうですね。家庭に入れないためには大人が家庭の外でウイルスをもらってこないことが重要なポイントになります。家庭内でできることは「手洗いの習慣化」や「換気」など、基本的なことですね。

新型コロナウイルスによる学級閉鎖にはあまり意味がない。かかった人を責めないで

――しかし現実には感染者が出て、学級閉鎖になるケースもあります。子どもは新型コロナウイルスにかかりにくいとはいえ、親はどうしても心配してしまいます。

山本先生:そうですよね。ただここでも知っておいてもらいたいのは、インフルエンザが子どもで流行しやすく、学校から家庭への感染経路をたどりやすいのに対して、新型コロナウイルスの感染の起点は学校よりも家庭であるほうが多いということです。家庭から子どもを通して学校に広がるんですね。

したがって児童や生徒に新型コロナウイルスの陽性者が出て学級閉鎖あるいは学校閉鎖をすること、これが有効なのかどうかについては今も議論されています。学級閉鎖や学校閉鎖の有効性は、インフルエンザほどないのではないか、と言われているんです。

文部科学省でもきちんとした対策の指針が出されているので、学校の児童・生徒に新型コロナウイルスの陽性者が出ても、陽性になった人を責めたりせず、あわてず冷静に対応してほしいですね。

情報に惑わされず、基本的な感染対策を

――新型コロナウイルスについてさまざまな情報があふれていて、医療の専門家ではない人たちはどの情報を信じていいのか迷ってしまうこともあります。

山本先生:新型コロナウイルスに関して、不安だという気持ちは理解できます。でも確かではない情報に惑わされず、根拠のある情報を選んでもらいたいですね。基本的な感染対策である、手洗いやマスクをすることは非常に地味で、効果がなかなか実感できないかもしれません。でもその基本的なことが新型コロナウイルスに対しては非常に大事になります。感染予防の原則を見失わないでください。

――子どもたちには感染予防のほかに、どのように接したらいいでしょうか?

山本先生:子どもたちにとっては新型コロナウイルスに感染するリスクよりも、新型コロナウイルスが蔓延したことによって受けた社会的ダメージのほうがはるかに影響が大きいと思います。学校生活が制限されたことなど、心理的なダメージのほうがより大きくなってしまいました。なので子どもを守るためには、基本的な感染予防をするとともに、メンタル面も、よりケアしてあげてもらいたいですね。大人でもできないような過度の自粛や感染対策を強制せず、続けやすく無理のない感染対策をしながら、日々の子どもらしい生活や時間を大切にしてもらえたらと思います。

――ママたちのなかには子どもが新型コロナウイルスに感染することを心配するあまり、子どもの予防接種の時期を遅らせる人もいるようです。

山本先生:その心配はもっともなことです。ただ現時点で、子どもの新型コロナウイルスへの感染リスクは低いことがわかっています。なので新型コロナウイルスに感染するよりも、定期接種で定められている予防接種を遅らせて、それらの感染症にかかってしまうことのほうがリスクが高い、と考えてください。

子どものころに受け損なった、予防接種で避けられる病気に大人になってからかかると重症化しやすい、というのも予防接種を受けて欲しい理由のひとつです。

「風邪は早めに休んで、早めに治す」が普通にできる社会に

――最後に先生から読者の皆さんに伝えたいことはありますか?

山本先生:軽い風邪や体調不良程度では休んではいけない、無理をしてでも仕事に行かなければという考え方はよくないと思いますね。

医学的に、風邪にかかったらすぐに休んだほうがいい理由が2つあります。

1つは本人のため。できるだけ早めに休んで休養するほうが、こじれて長引くことが少ないのです。2つめは周りのため。休まないと感染症が職場や学校で広がり、周りの人も風邪をひいて被害が広がる恐れがあります。持病がない人にとっては軽い風邪で済んでも、持病があったり免疫に問題がある人では、肺炎など重症になってしまうリスクがあるのです。

「風邪程度で休むなんてとんでもない」とか「1日も休まずに皆勤賞をとることを目指す」という考えは見直して、働き方改革などの議論の中などで考えていってほしいですね。

新型コロナウイルス感染症対策をきっかけに、体調が悪いときに誰かが休んでも業務が回るような体制作りにするなどして、「風邪は早めに休んで、早めに治す」ということが普通にできるような社会になるといいなと思っています。

新型コロナウイルスをきっかけに働き方、休み方を見直したい

新型コロナウイルスが蔓延するまでは、ちょっとした風邪や体調不良では仕事や学校を休まない人もいたかもしれません。しかし無症状でも周囲に感染させる可能性のある、新型コロナウイルスの影響があるなかでの生活は続きます。これまでの仕事の仕方や休み方を見直す機運となるのではないでしょうか。

山本先生の「軽い風邪や体調不良で休んでほしい」理由が、筆者には深く胸に刺さりました。山本先生、貴重なお話をありがとうございました。

 

取材、文・しのむ 編集・しらたまよ イラスト・よしはな

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