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路上生活者を差別した出来事から学んだ「親としての姿勢」

大人の目から見ると「子どもは自由で奔放だなぁ」と感じるときがありますよね。自由で奔放なことは構いませんが、その自由さがときに他者を傷つけてしまうことも否めません。今回は筆者の小学生時代に起きた出来事を通して、他人を尊重してくれる子に育ってくれるための方法を考えていきます。

遠足での出来事

路上生活者を差別した出来事から学んだ「親としての姿勢」1
小学校高学年の遠足のとき、ある広い公園でお弁当を食べることになりました。お弁当を食べ終わったら自由に遊んでいいとのことでしたので、食事を済ませた順に児童たちは遊びはじめました。その公園の隅にはビニールシートで作られた小屋があり、路上生活者の人が住んでいるようでした。すると同級生の何人かがそのビニールシートの小屋に向かって、笑いながら何かを叫びはじめたのです。当時の筆者はその同級生たちが何を言っているのか分かりませんでしたが、路上生活者とおぼしき人が引率の先生たちに怒っている様子が今も鮮明に焼き付いています。

帰宅してから親に尋ねてみると、同級生たちが叫んでいたのは路上生活者を差別、見下すような意味の言葉であったと知りました。しかしながら当時の筆者は、親からその言葉の説明を受けても何も感じなかったのです。

親の身になって当時の出来事を思い出し、感じたことは……

時が経ち、筆者は三児の母になりました。子育てに奮闘していたある日、ふとあの遠足での出来事を思い出す機会がありました。そのとき筆者が感じたのは、言い知れぬ恐怖でした。

『もし、わが子が同じことをしたら……』

大人になって思い返してみると、同級生が口にしていた言葉は差別的で嫌悪感を覚えるものでした。公園にいた路上生活者の人は、児童の引率者である先生に馬鹿にされた怒りをぶつけていたことを覚えています。変えることのできない現実について非難し、からかうことは「差別」です。そう思うと同級生たちの行為はなんて浅はかなものだったのだろう、と感じたのです。

言葉の意味を知らなかった?

小学生が耳にする機会はないように思われる言葉を同級生たちは知っていました。ひょっとしたら同級生たちは言葉の意味を知らずに口にしていた可能性も考えられます。誰かが「路上生活者の人って○○っていうんだよね」や「遠足で行く公園には○○がいる」と口にし、同級生たちはそれを耳にしただけなのかもしれません。よく意味も分からずに新しく知った言葉を使いたくなるのは、子どもならではの好奇心によるものかと思います。お子さんが幼いころに不用意な言葉を発し、ドキッと経験はありませんか? まだ幼ければ、相手も苦笑いですませてくれることもあるでしょう。しかし年齢に関わらず、子どもが差別的な言葉で他人を見下した場合は、叱ってでもそれが悪いことなどだと教えなければならないと強く感じました。

誰かを差別する子になってほしくない

路上生活者を差別した出来事から学んだ「親としての姿勢」2
お友だちと仲よくしてほしい、優しい子であってほしい、というのは親であれば誰しも願うことではないでしょうか。そのために私たち親は何を伝えていけばいいのでしょうか。

怒りを買うような言動はしない

これは交友関係においても大切なことかと思います。自分自身を馬鹿にされて気持ちのいい人はいないでしょう。ふざけあいや遊びのなかであったとしても、嫌な気分にされた側は心にわだかまりを抱えることになりますよね。場合によってはいじめやケンカに発展する可能性だって考えられます。他者から怒りを買うことは、自分自身にとって一理もありません。「もし自分がそんなことを言われたら……」「自分がされたらどう感じるか」というような、想像力を持つことは大事なのだと伝えていきたいですね。

他者を尊重すること

もし他者が自分より劣っていると感じたとしても、相手を尊重する気持ちが養われていれば蔑んだり見下したりはしないのではないでしょうか。「人それぞれ違うんだ」と考えることも必要です。「他者を尊重」「敬う」などというと、何を伝えればいいのだろうと難しく考えてしまうかもしれませんね。ただ相手の悪いところではなく良いとこをみつけること、そんな些細なことからでも他者を尊重する気持ちを養うことができるのではないでしょうか。

とはいえ、わが子にこれらのことを教えるのが一筋縄ではいかないのが現状です。わが子には小学校や幼児園での交友関係で得てくる情報があり、すべて親の思いどおりにいかないのは当然のことですね。他人を尊重できる人になってほしい……私たち親がそう感じたら、どう伝えるべきなのか。相手を傷つけない言葉使いや考え方など、親子で話し合うとともに根気よく教えていきたいと思います。

文・子持ち鮎 編集・荻野実紀子 イラスト・Ponko

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