育休復帰後に働くママが会社に求めるサポートは?復帰後に6割のママが退職を考えている
働くママにとって、育休は仕事と家庭の両立における大きなターニングポイントでもあります。1年以上、仕事から離れて出産や子育てに集中していたママにとっては、復職後の働き方やキャリアに対する悩みは絶えないものかもしれません。そこで今回は、株式会社fruorが運営するキャリアカウンセリングサービス「ミートキャリア(meetcareer)」が育休復帰者を対象に行った調査結果をご紹介します。
短時間で成果を出すことについて悩むママが最多
今回の調査は、企業などに勤め、2010年以降に育休から復帰した564人を対象に行われました。そのうちの9割以上が女性です。
調査ではまず、復職後の悩みや不安を掘り下げました。すると、「時間内で成果が出せるか」(53.9%)、「時短で給料や評価が下がる」(51.2%)、「スキルアップや昇進昇格の機会が遠のいた」(41.1%)といった回答が寄せられました。
一方で、「時短が取れない」という悩みは 11.3%と低かった結果を見ると、保育園の送迎などを考慮した勤務時間の希望は往々にして叶っていることがわかります。
しかし、「時短なのに業務量が減らない」(30.3 %)という悩みは上位に挙がりました。時短勤務による評価への不満や業務量オーバー、過剰な配慮によってやりがいが喪失してしまったことなど、さまざまな悩みが聞かれていました。
復職したママの6割が退職を考えている
自由回答欄では、
『周りの同僚よりも効率的にこなしているのに、圧倒的に給与が低いこと(女性・正社員・子2歳)』
『復職当初は時短でも成果をあげようと意気込んでいたが、どれほど必死に働こうとも評価(給料)は労働時間で計算されるので、頑張り損だと感じてしまうようになった(女性・正社員・子4歳)』
『時短なのに残業が発生し、家庭も回らなくなって、仕事も家庭もうまくいかない。体調を壊して、このままでは続けていけないと感じる(女性・正社員・子3歳)』
『昇進昇格が凍結され、研修も辞退するよう言われた(女性・正社員・子2歳)』
『復職3日で強制配置転換。働く体制を整えてフルタイムでやる気でいたのに、ずっとその補佐的業務と言われ、やる気をなくした。結果、転職した(女性・正社員・子7歳)』
といった意見がありました。
こうした悩みや不満があっても、なかなか会社や上司に言えない人も少なくありません。調査では、「伝えなかった」という人が半数を占め、そのうち4人に1人は「全く伝えていない」と回答。伝えなかった理由として4割の人が「子育て中である事情を考えると我慢すべきものだと思った」と回答しました。
そして、復職後に「両立の困難さから会社を辞めることを考えたことがある」人は「何度もある」「 1、2 度ある」を合わせると約 6 割という結果に。復職後における、仕事と家庭の両立の負担がママに伸しかかっている現状がわかります。
子どもの事情で休んでも有休にならない…復職後にありがたかったサポート
復職後も意欲的に働くためにあったらいいと思うサポートや環境を聞くと、「柔軟な働き方ができる制度」(83.3%)や「勤務時間ではなく成果で評価する制度や風土」(58.3%)に続き、「個々の家庭状況や希望に合わせた働き方やキャリア設計のための定期的なフォロー面談」(56.6%)、「自分の悩みや課題についてキャリアの専門家に相談できる場」(47.0%)といった回答がありました。
また、「仕事だけでなく、日々の家庭生活や育児をサポートする施策」(44.1 %)も上位に。多くのママが、個人に寄り添ったフォローを求めているようです。
実際に復職前後の会社から受けたサポートでありがたかったことを掘り下げると、
『コロナの影響で在宅勤務ができるようになり、子どもの体調不良でも有給を使わなくて済んだ(女性・正社員・子1歳)』
『保育園が見つからずあわや退職というとき、柔軟にフルリモートでの勤務を提案してもらえた(女性・正社員・子1歳)』
『面談の機会が復職前にも後にも数回あった。育休中もメールでのフォローがあり、上司に状況を理解してもらうことにつながった(女性・正社員・子7歳)』
『時短、フレックス、在宅勤務。子持ちの先輩社員が講師となり、同じ子持ちの生徒たちで育児の技術を学ぶ会が半年間開催された(女性・正社員・子4歳)』
といった回答がありました。これらの回答は、今まさに産休中や育休中のママのみならず、新たに仕事を探しているママにとっても非常に参考になるでしょう。仕事選びの際にもその職場がこうしたサポートをしてくれれば、子育てとの両立がしやすくなるかもしれません。
働きやすさをアピールする際に、企業側がよく「育休からの復職率100%」といった実績を掲げていることがあります。しかし、復職したかどうか以上に、復職後のキャリア形成やフォロー体制は働くママにとっては大きなポイントです。また、個々の家庭の事情をどれくらい考慮してくれるのかも重要。しかし、会社側も当事者からの意見が出てこないと事情が把握できず、動けないこともあるでしょう。もし、今の会社でこうしたフォローがあまりないというママは、会社や上司に悩みや不安について掛け合ってみてもいいかもしれませんね。
・調査対象 企業などに勤め、 2010年以降に育休から復職した人
・回答者数 564名
【性別】女性95.7%、男性4.1%、無回答0.2%
【雇用形態】正社員93.4%、契約社員 3.5%、派遣社員1.2%、パート・アルバイト 1.8%
【企業規模(従業員数)】1,001名以上 50.0%、301~1,000名 21.1%、101~300名 12.4%、 100名以下 16.5%
【復職後の働き方】フルタイム34.6%、時短勤務 64.0%、その他 1.4%
【育休取得対象となった子の現在の年齢】0~2歳55.9%、3~5歳33.2%、6~10歳11.0%
・調査期間 2020年8月27日~31日
・調査方法 インターネットアンケート
文・AKI 編集・山内ウェンディ