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【地福武史さん第3回目】語学力と好奇心で子どもの能力は大きく伸びる

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我が子の才能を引き出してあげたい、賢い子どもを育てたいと思うママたちは多いことでしょう。そうはいいつつも、実際に何をしたらいいのかわからないこともありますね。今回は、開成、麻布、武蔵などの難関中学校に500人以上の生徒を合格させた実績を持つ会員制難関受験専門塾エリオ代表の地福武史さんと、子どもの塾選びをサポートするサイト「塾シル」代表の古岡秀士さんとの対談をもとに、子どもの能力を引き出す方法について考えてみましょう。
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できる子たちに共通しているのはあせない好奇心、実行力、課題解決力

古岡秀士さん(以下、古岡):地福さんがやられている学習塾「会員制難関受験専門塾エリオ」では子どもの「リーダーシップ」を大切にされていますが、なぜでしょうか?

地福武史さん(以下、地福):リーダーシップを大切にする一番の理由は、子どもが目の前にある課題に対して自分で解決できる力を高めるためです。これを課題解決能力といいます。
うちの塾の場合は小学校1年生から通い、高校生で塾が終わりではなく大学生になっても通う塾という位置づけです。実は塾としてはそこからが一番おもしろくて、前職のとき、東大の近くにカフェを作って、そこで東大生ならいつでも無料で使えるというサービスを行っていました。そこから起業した子たちの会社が20社以上あります。

大事にしているのは、受験をゴールとした考え方ではなく、大学に受かったあとから本腰を入れて自分のやりたいことをやるということです。たとえば、大学生のうちにNPOや株式会社を立ち上げるのもいいでしょう。そういうことができる子たちに共通しているのはなにかというと、あせない好奇心、実行力、課題解決力です。

私自身が感じているリーダーシップとは、人間関係能力に紐づいた課題解決能力です。先々のことを予見していくのはとても難しくて、私が学生だった頃には、今あるインターネット系の会社というのはほとんどありませんでした。私たちが学生の頃は役所や大企業に就職することがいいとされ、就職活動を行っていました。今、教え子が大人になり社会で働く時代になり、彼らはSE(システムエンジニア)やデジタル系の広告の会社など、私たちの学生時代にはなかった新しい職業についているのです。

古岡:今の時代、新しい仕事がどんどん誕生していますね。これから先はAIの発達によってさらに今ある仕事がなくなるといわれています。

地福:これから先AIが活躍すると、今ある職業の何割かがなくなるという話はあります。しかし、現時点で予見することは難しいし、子どもたちだったらなおさらそうです。ここで子どもたちに大切なことは、どのような状況になっても新しい状況に適応していく力をつけることです。その適応性を持った人間が将来にわたり活躍します。

リーダーシップがある人は自己肯定感、課題解決能力、人間関係能力が高い

古岡:つまり、リーダーシップを育てることで、子どもの将来への道が開けるということですね。

地福:そうです。リーダーシップがある人に共通していえることは、自己肯定感、課題解決能力、人間関係能力が高いこと。
僕は、これまで500人以上の学生を開成、麻布、武蔵などの御三家中学へと導いてきました。また東大をはじめ国公立の大学についても同じです。ただその子たちが30代、40代になったとき幸せに暮らしているかといったら、それは全く別次元の問題ですよね。「トップ校に入る=生涯幸せ」とは限りません。

その子たちが何をもって幸福かといったら、一番は良い人間関係を築けているときです。小さなお花屋さんでも大企業でも、働く際には仲間とともに働くことになります。企業の大小や働き方にかかわらず、そこでの人間関係というのが非常に重要なのです。

親が「賢い子どもを育てる」という意識を持つことが大切

古岡:親としてどのように子どもをサポートしていけばいいのでしょうか?

地福:まずは、親が「賢い子どもを育てる」という意識を持つこと。そのときに大切なのは、子どもへの問いかけの仕方です。AかBかのような答えのある質問ではなく「これについてどう思う?」など、子ども自身の考えや意見を引き出す質問を繰り返し行うこと。どんな子どもでも、「問い」を用意してあげると成長します。

うちの塾の生徒は難関校に受かる子が多いので、まわりから大変難しいテストをしているのではないかと思われますが、選抜テストは行っていません。どんなレベルの子どもたちでも、きちんとした要件がそろうと必ず成長します。その基礎となるのが語学力と好奇心です。

たとえば、幼い子どもは難しいテストを受けるわけでもないし、勉強するわけでもありません。にもかかわらず1歳から2歳くらいになると自然と言葉を話すようになりますよね。そこにあるのは、子どもが本来生まれながらに持っている好奇心です。お父さんやお母さんの話している言葉を聞き、自分も覚えて同じように使ってみる。覚えた言葉を1つずつ口に出して、そばにいるお母さんに確認する。1つ覚えたら、また新しい言葉を覚える。その繰り返しです。そして徐々に会話ができるようになるのです。

大切なのは語学力と好奇心。子どもたちが持つパワーを引き出すきっかけに

古岡:基礎となる語学力と好奇心があれば子どもは成長するということですね。この2つは受験にも関係してきますか?

地福そうですね。中学受験についていえば、大半は親が子どもの将来を思って受験させます。子どもも親や先生の喜ぶ顔が見たくて、ほめられたくてがんばりますよね。きっかけは親だったとしても、ここで子ども自身に火が付き、学ぶことがおもしろい、学習は自分にとって必要なんだと思ったとき、子どもはものすごいパワーを発揮します。その土台となりきっかけになるのが語学力や好奇心なのです。

子どもは最も信頼している人間に似ます。お父さん、お母さんがどういう背中を見せて、どういう美意識で何を取り扱っていくのかというのは極めて重要です。中でも大切なのは語学力です。言葉は学力の源泉にもなります。さまざまな言葉を知って使いこなせるようになることで、思考力が鍛えられ、同時に好奇心も育っていくのです。

取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ

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