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【浦川泰典さん第2回】「9月入学は実施される?」メリットとデメリットについて

【浦川泰典さん第2回目】「9月入学は実施される?」メリットとデメリットについて

新型コロナウイルスによる臨時休校が3か月近く続いたことで、学校の入学時期を9月にするべきだという案が出て、ママたちからも強い関心を集めています。9月入学になることで、子どもたちにどんな影響があるのでしょうか。またどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。「個別指導塾1対1ATOM(アトム)」代表の浦川泰典さんと、子どもの塾選びをサポートするサイト「塾シル」代表の古岡秀士さんとの対談をもとに、考えてみましょう。

※こちらの取材は2020年5月下旬に行われています。6月5日現在、政府は9月入学の断念を発表しています。

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9月入学について夏休み前までに決定!?

古岡秀士さん(以下、古岡):現在、「9月入学」をめぐる動きが急加速していますね。政府は2021年9月からの移行を視野に入れ6月上旬までに課題を整理し、夏休みが始まるまでに結論を出すとしていますが、浦川さんはどう考えていますか?

浦川泰典さん(以下浦川):個人的には賛成ですね。理由は、入学時期などが国際社会に向けて足並みが揃うことと、受験時の冬の感染症を避けることができること、学習不足の補いができるという学習面を考えたときのメリットが大きいからです。ただ、2020年5月末現在では、答えがはっきりと出ていない状況です。この動きを見ていると、もし9月入学をスタートさせるといった場合、本当に来年から実行することができるのだろうか。議論がうやむやになって流れてしまうのではないだろうかという心配もあります。

古岡:世間ではどう考えているのでしょうか?

浦川:今回のコロナショックが社会に与えた影響はとても大きかったと思います。また教育に対しても同じく、とても大きな影響がありました。事実、子どもの教育の遅れを心配する親御さんからの声は非常にたくさんあります。その事実を考えても、やはり9月入学を望む声は大きいのではないかと思います。

一番のメリットは子どもの留学問題と学習の遅れを解消

古岡:9月入学について、メリットとデメリットについて、改めて教えていただけますか?

浦川:まず9月入学に変更になった場合のメリットとして一番大きなことは、子どもの留学の問題です。現在、日本は4月入学ですが、海外では9月入学が一般的です。そのため、日本の子どもたちが海外に留学しようと思ったとき、子どもは7月まで日本の学校に通い、9月からもう一度海外の学校で同じ学年の1学期からやり直すことになります。

また帰国して日本の学校に戻るときは、今度は半年間授業を受けていないことになるため、場合によっては1学年下になります。たった1年留学しただけで、同じ年に入学した子どもたちと1つ学年がずれてしまう可能性があるのです。これは子どもにとってはとても大きな問題で、コロナ以前から問題視されています。今後留学する学生が増えていくことを考えると、今のうちに国際社会と足並みをそろえる必要があると考えています。

もう1つの大きなメリットは、やはり今回のコロナショックで学習面の遅れが出ている子どもたちもたくさんいるでしょう。9月入学にすることでその遅れを取り戻すことができるというのは大きいです。とくに受験生の場合は、今の状態だと不利になる子もいるかもしれません。

9月入学になった場合は、半年間受験勉強期間ができるため、落ちついて取り組めるのではないでしょうか。ほかにも、毎年のように受験シーズンになると大雪などによって交通機関が乱れたり、インフルエンザの流行時期と重なったりするため、9月入学になればこれらの問題は解消されます。

学校生活面としては、9月入学になることでこれまでは1学期と2学期の間にあった夏休みがなくなり、9月が一学期になります。そのため、例年夏休み中に長期中断していた学習が継続できるようになります。ほかにも、教師が新年度のクラス設計や学習準備ができる、修学旅行などの体験型学習や運動会などのコミュニケーション力を磨く場がしっかりと設けられるといったメリットもあります。また仮に9月入学になった場合、コロナの第2波、第3派が来たとしても、翌年の新学期が始まるまでに時間的余裕があるため、これまでの授業の復習ができるということも大きいですね。

デメリットは学習費用の負担や学童待機児童数が増えること

古岡:デメリットとしてはどんなことが挙げられますか?

浦川:一番問題なのは、学校側の対応が追い付かないことでしょうね。また、保護者は幼稚園や学童、塾などに通わせる期間が半年間伸びるため、費用負担が増えます。9月入学は受験生の救済に、学習はわからないことをそのままにしないことが大切です。

古岡:9月入学になった場合、今後どのような教育が必要になりますか?

浦川:子どもに関しては、来年から9月入学になったとしたら、ゆっくりと学習に取り組めるので安心していいと思います。ただ親として、高校や大学受験など、入試制度がどのような内容になるのかなどの知識を得ていった方が良いと思います。さきほどもお伝えしたように、半年間の準備期間ができるため、受験生にとってはメリットが大きいといえるでしょう。

古岡:臨時休校が解除され学校が再開されたら、親としてどのようなサポートをしていけばいいでしょうか?

浦川:学校が再開された場合は、まずは学習目標をきちんと立てること。最初は復習もかねてスタートすることになるでしょう。ただそうはいっても、学習の遅れを取り戻すために徐々にスピードアップしていくことが考えられます。親は、いつも以上に子どもの学習面に気を配り、もしついていけていない、または学習面に心配があるといった場合は、塾などを使って、個別に子どものつまずきを解消してあげることが大切です。つまずきをそのままにしてしまうと、子どもは勉強に対して自信をなくしてしまいます。しかし1つ1つを丁寧に学習し理解できるようになれば、学習意欲もわき、学校生活も自信をもって送れるようになります。

取材、文・長瀬由利子 編集・若林満美子

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