休校なのに私が子どもを学童に預けて働くわけとは…… #いま自分にできることを
新型コロナウイルスの影響で休校になり、うちの校区では学童に行く子どもも少なくなっています。しかし……。
「在宅勤務」が推奨され、多くの方が在宅で仕事をこなしているかとも思いますが、私たち夫婦の仕事は在宅勤務が難しく、出勤しなくてはなりません。会社からは「子どものいる人は有給休暇を取ってもよい」と通達がありましたが、私のいる部署には妊婦さんが多いため、そちらに優先的に休みを回すとどうしても人手不足になってしまい、私が有給を取ることはできなくなってしまうのです。
学童の先生も、自身の子どもを別の学童に預けたり、留守番をさせたりしながら私たちの子どもの面倒を見てくれています。そんな先生のことを想うと、胸が痛みます。テレビでは感染者数増加のひっ迫した様子が、非常事態として伝えられていますが、それでも社会は動いており、私たちの仕事もいつもと変わりのない量があります。私は日々の不安を抱えながらも、まるで平常時であるかのように仕事をこなさなくてはいけないのです。
仕事をしながら考えるのは、やはり子どものこと。もし息子が感染してしまったら……と考えると正直、怖い……。私は子どもを危険にさらしてまで、仕事をしていていいのかな……と自問自答する毎日です。
もちろん開店前のドラッグストアに並ぶなんてこともできず、仕事帰りに品薄になったスーパーに寄るのみ。しかし……。
でもいま、私が休んでしまったら仕事が回らなくなってしまうし、下手すれば妊婦さんが出勤しなくてはいけないことにもなってしまいます。なにより、こんな非常事態だからこそ社会の基盤を支える仕事をするということも大切です。私は「母」である自分と、ひとりの「社会人」である自分との間で揺れていました。
仕事の帰りに息子を学童に迎えに行くと……。
たくさんの葛藤を抱えて私は今日も電車に乗って仕事に行きます。これからどうなるか分からない世の中だけれど、私が仕事に行かなくてはいけない現状は変えられそうにありません。でも自分の仕事がこの不安定な世の中に生きているたくさんの人々の基盤になっていると思って、いま、私にできることを精一杯やるだけです。
脚本・渡辺多絵 作画・べるこ