「買いだめしなきゃ」「感染するかも」不安になりがちな人にはどんな特徴がある?【心理カウンセラー・大嶋信頼先生】
新型コロナウイルスの影響によって2020年4月16日、外出自粛などを求める緊急事態宣言の対象地域が日本全国へと拡大されました。全国に先だって緊急事態宣言が出されていた地域のなかには、トイレットペーパーや生活必需品の買占め騒動が起こったところもあったようです。未知のウイルスの影響がわからないなかで、「買いだめしないと……」、「感染するかもしれない……」などと不安になってしまう人は少なくないでしょう。不安に陥りそうなときにできる心構えについて心理カウンセラーの大嶋信頼先生にお話をうかがいました。
「買いだめしないと……」不安になりすぎてしまう人の特徴とは
――買いだめをしたり、感染を心配したりする人たちにはどんな特徴がありますか?
大嶋信頼先生(以下、大嶋先生):買いだめをしたり病気に感染することを心配したりする人たちの特徴のひとつは、他人の気持ちを考えられることです。つまりは優しい人なんですね。しかし一方で、他人に対する思いやりが深い人たちは何事も心配しすぎる傾向がみられます。
――優しくて思いやりがある人ですか?
大嶋先生:そうです。優しくて思いやりがあるために、他人の不安まで抱え込んでしまうんですね。「あの人全然買い物行ってないね、あの人の分まで買っておかなきゃ」といったように他人を心配するのですが、心配された当の本人はまったく気にしていなかったりします。
完璧主義、強迫性障害の人は不安になりすぎる傾向がある
――優しい、思いやりがあること以外に不安になりすぎる人の特徴はありますか?
大嶋先生:完璧主義の人も、不安になりすぎる傾向があります。完璧主義の人ほど周りが見えずに先走った行動をとることがありますね。たとえば、しっかり対策したいあまりに買いだめに走り、3密を避けずに混んでいるスーパーに行くといったことです。
――優しい、思いやり、完璧主義のほかにも、不安になりすぎる人の特徴はありますか?
大嶋先生:強迫性障害の人も心配しすぎる傾向がありますね。強迫性障害の人は、一度気になってしまうとずっと同じことを考えてしまいます。たとえばウイルスを気にするあまり手洗いをしすぎたり、「トイレットペーパーがない」ということで買い続けたりします。
――強迫性障害を個人でコントロールすることはできるんでしょうか?
大嶋先生:強迫性障害を個人がコントロールすることはできません。なぜなら脳の機能の障害のひとつであり、治療をすることで治る可能性のあるものだからです。また強迫性障害は遺伝することがあり、両親のどちらかが強迫性障害の場合は子どもも強迫性障害であるケースがあります。
――では強迫性障害が原因で不安になり、買いだめをしようとしている人を止めることはできないのでしょうか?
大嶋先生:そうです。強迫性障害から買いだめしようとしている人にいくら「買いだめをする必要はないんだよ」といってもその人の耳には届きません。
――強迫性障害の人が気持ちを落ち着ける方法はありますか?
大嶋先生:強迫性障害を自分の個性のひとつと受け止めることですね。不安になりすぎるし、買いだめもする。でもそれが自分の性格なんだなと思うことで症状が落ち着くことがあります。それが私たちの仕事のひとつでもあります。
買いだめをしない人の特徴は
――では逆に買いだめしない人の特徴にはどんなものがありますか?
大嶋先生:買いだめをしない人は何事も「何とかなる」と考えることができる人です。ある意味で”健康な人”と考えることができますね。状況を深刻にとらえすぎず、あるがままにとらえられる人といえます。
大きすぎる不安は自分のものではない。流されないためには
大嶋先生からは買いだめする人の行動を止めることはできないというお話がありました。抑えきれないほど大きくなってしまった不安は自分ひとりが感じている不安ではなく、他人の不安まで自分のことのように感じているせいかもしれません。しかし買い物かごが山積みになっていなくても、空っぽの棚にあったはずの商品が自分の買い物かごに入っていなくても、自分たち家族に必要なものが買えれば安心していいはずです。他人の不安まで抱え込まないようにすると、不安な気持ちが少し和らぐのではないでしょうか。
大嶋先生、貴重なお話をありがとうございました!
取材、文・しのむ