田舎の保守的な小学校で長男が「ラグビーをやりたい」と言い出した結果は……
ワールドカップを通してラグビーが注目を集めた2019年、選手たちの熱い戦いを観て、手に汗を握り応援したママもいるかもしれませんね。今回のラグビーワールドカップは我が家の長男にも大きな影響を与えてくれました。筆者の長男(小2)がラグビーワールドカップを観戦したことをきっかけに、熱いおもいを持ってある行動を起こしたのです。
ラグビー大好きな私たち夫婦と一緒に長男はラグビー観戦していた
私たち夫婦はラグビーファンです。旦那さんが高校時代にラグビー部であったこともあり、私たちは結婚した当初からテレビでよくラグビーの試合観戦をしていました。待ちに待った2019年ラグビーワールドカップが開催されると、私たちは日本代表戦だけでなく、海外勢同士の試合も観るほど熱くなっていました。試合を観ていても途中で飽きてしまう次男(4歳)と三男(1歳)とは違い、長男はルールが分からないながらも私たちと一緒に試合観て盛り上がっていました。
長男が「クラスのみんなでラグビーをやりたい!」と言い出す
日本代表チームは強豪国チームを相手につぎつぎと勝利し決勝トーナメントに進出するも、南アフリカ代表チームに負けてしまいました。私たち夫婦は落胆しながらも日本代表の戦いの余韻に浸っていました。すると長男がふいに「クラスのみんなでラグビーをやりたい!」と言い出したのです。ラグビーの試合を観て自分もやってみたくなったのでしょう。彼のおもいは強く、担任の先生に言ってみる、とまで言い出しました。
保守的な田舎町の小学校……。果たして長男の意見を聞いてくれるのか?
過疎化と少子高齢化が進む地方の町に私たち家族は住んでいます。都市部から移住してきた私たち夫婦は、今住んでいる町に保守的なイメージを持っていました。私は長男が通う小学校にも同じようなイメージを抱いていました。運動会では生徒が毎年同じ演目を披露し、配布プリントも日付を変えただけで毎年同じ時期に同じ内容のものが手元にきます。そんな小学校なので長男の希望が聞き入れられるか疑問に感じ、先生に提案するのを止めようとかとも思いました。しかしやる気になっている長男を見て、いったん見守ってみようと思いとどまりました。
ラグビーをやるかどうかはアンケートの結果次第に
長男が担任の先生にラグビーをやりたい、との相談をした結果、まずはクラスメイトにラグビーをやりたいと思っているかどうかアンケートを取ることになったそうです。もしクラスメイトの過半数がラグビーをやりたくないと回答すれば長男の希望は叶いません。野球やサッカー、水泳といった本当にメジャーなスポーツの習い事しかない環境で育った子どもたちがラグビーに興味を持つのだろうか……? と、なぜか私がハラハラドキドキしながら集計結果を待つことになりました。
なんと大多数のクラスメイトがラグビーをやってみたいと回答!長男の夢が現実に
アンケートを実施したその日、長男は帰宅するなり「ラグビーをやることになったよっ!」と報告してくれました。アンケートの結果、なんと大多数のクラスメイトがラグビーをやってみたいと回答したのです。その夜、私は長男と一緒にルールや注意事項について紙にまとめました。ラグビーのルールを知らない子でも楽しめるようにできるだけ簡単なルールにしよう、と話し合いました。試合をするにあたっての細かいことは担任の先生とよく話し合って決めるから大丈夫! と長男は力強く私に言いました。
ついに実施されたラグビー!長男はクラスメイトと楽しい時間を過ごした
ラグビーが実施されたその日、学校から帰宅した長男は目を輝かせて「楽しかったっ!」と一言。興奮冷めやらぬ様子で試合のことをたくさん話してくれました。また連絡帳には担任の先生から、クラスメイトもみな楽しんでいました、という内容の言葉が書かれていました。協力してくれた先生方、長男のクラスメイトには本当に感謝しかありません。
思い込みで決めつけず、見守ることの大切さを教えてくれた長男に感謝
小学校の先生に限らず教員の労働時間が問題視されている中で、カリキュラムにないことを生徒がやりたいと声をあげても私は時間を理由に断られるとばかり思っていました。ましてや長男の通う小学校は新しいことに消極的です。長男が傷つくことになるのでは、とラグビーを提案することを止めようと少しでも考えた自分は本当に愚かだったと今回のことで思い知らされました。
まずは誰かが動き出さないと何も始まらないのです。長男は思い立ったことについて自ら発信し、行動を起こし、実現させました。その経験は彼に自信を与え、精神的に一回り大きく成長させてくれたことでしょう。大人の事情や先入観で決めつけたり制止したりするのではなく、子どものやりたいことを見守る大切さを改めて教えてくれた長男に感謝した一件でした。
子育てには「見守る」ことが求められることも。子どもの思いを受け止めてあげたい
たとえ「無理」と感じることでも行動を起こせば、そのおもいが通じることもあるかもしれません。生命にかかわるような危険なことを子どもがやろうとしたら止めないといけませんが、それ以外は失敗することも含めて子どもの大切な人生経験になるでしょう。子育てしていく中には親が見守ることが求められるシーンがこれからも出てくるかもしれません。子どものおもいを見守りつつ、行動した結果を親も一緒に受け止める準備だけはしておきたいですね。
文・子持ち鮎 編集・しのむ