”ほめる子育て”で我が子がワガママに。責任があるのは、育児書の著者?
子どもを育てる中で迷ったとき、育児書を頼りにすることもあるかもしれません。ちょっと調べただけでも『◯◯な子育て』『子どもは△△で育てよう!』などなど、じつに多様な子育て法が出てくるものです。その中でもよく知られるのが、「ほめて育てる」「叱らない育児」といったもの。
ママスタコミュニティにはそれを実践したために失敗したという、怒りの投稿がありました。
「すごい、すごい!」とほめ続けた結果、子どもがワガママに
「ほめる」「叱らない」を主軸にした育児法は、「子どもはきびしく叱ってしつけるもの」といったひと昔前のやり方とは対照的。それだけにセンセーショナルで、世の中に浸透しやすかったのかもしれません。
『育児書に「ほめて育てる」って書いてあったから実践したけど、失敗だった。2歳差の兄弟、どちらも小学校中学年のころにまったくいうことを聞かなくなり、軌道修正した。泣かれるわ大声出されるわで大変だったけど、1年たってなんとか子どもはまともに。でもこれを書いた著者だけは、絶対に許さない』
具体的にどんなふうに育てていたのかといえば、
『いつも「すごい!」ってほめていたし、食べこぼしをしても怒らずにダンナが黙って床を拭いてた。今でも食べこぼしを注意すると「なんで自分で床を吹かないといけないわけ?」って、真顔で言う』
どうやら叱らずほめ続けたことで、お子さんたちがかなりワガママに育ってしまったようです。
似たような体験をしたママたちからの、共感の声もありました。
『私もほめて育てていたけど、子どもが問題ばかり起こしている。しまいには「お宅のお母さんが甘いって、ほかのお母さんも言ってますよ」と言われてしまった。怒らないのもよくない』
”ほめる育児”は、子どもをおだて続けることじゃない?!
しかし寄せられた多くは、投稿主さんの考え方に驚くコメントでした。
『”ほめる育児”は、ただほめるだけの育児ではないよね……』
『”ほめて育てる”を、”怒らない叱らない育児”と勘違いしてる人が多すぎる。私の知り合いもほめるところだけほめて育てたから、子どもは悪いことがわからない。公園でケンカしてケガさせたり、誰彼かまわず物を投げたり蹴飛ばしたり。それでも母親は「今日も元気ねぇ」とニコニコ。毎年1回は同窓会的な感じで会わなきゃいけないんだけど、毎回イラッとするわ』
育児についてたくさん調べたり勉強しているママも多いようで、具体的な指摘もありました。
『「すごい!」ってほめるのは、よくないんだよね。子どもが勘違いするから。「がんばったね!」とか、やったことに対してほめるのがよいんだってよ。あと、こぼして汚したなら怒らなくてもいいと思うけど、自分で拭かせなきゃ。なんか”ほめて育てる”をいろいろ勘違いしている感じ』
『才能や素質をほめるのは、よくない。努力や過程をほめるのはグッド。ほめられるために何かをする子にならないように、注意が必要。うちは「いつも努力してるね、偉いね」って言っているかな』
『”ほめて育てる”とか”叱らない育児”というと好き勝手にさせる人が多いけど、実際はより手間と根気のいる育て方だと思う。ダメなことを許すんじゃなく、ダメなことを止めて正しい行動まで誘導してほめないと。たとえば「こぼれちゃったから、一緒に拭こうか」って誘って拭いたら、「ありがとう、ちゃんと拭けたね」とほめる。失敗したとしたら、それをどう取り戻すか。次の行動までできたことを、ほめる。投稿者さんも子どもたちが小さなころに、そこまで手間をかけていれば違ったと思う』
子どもをほめるということは、ただ「すごい!」「えらいね!」と繰り返すこととは違う。子どもがやったこと、がんばったことを認めてあげることが本来の”ほめる育児”なのでは? コメントをくれたママたちは、こうした考え方をしているようです。
育児法はひとつじゃない。ときには疑うことだって必要
また「著者だけは絶対に許さない!」と息巻く投稿者さんでしたが、それに対しても疑問が寄せられました。
『”ほめる育児”というものが流行ってから、すぐに”ほめるだけじゃ、ダメ”って意見もたくさん出てきていたよね。いろんな情報が溢れているのにそこしか見ていなかった、投稿者さんの選択ミス。調べたりしなかったのは、自分の責任。育児は自分がするもので、他人のせいにするのはおかしいよ』
『育児書を読む人もいるだろうけど、みんな自分なりに解釈したうえで納得したところだけを取り込んでいると思うんだけど。あなたは疑問に思わなかったの? 本に書いてあることを全部うのみにするのは、違うと思う』
たしかにたくさんの子育て情報があふれている今、どれを信じたらよいのかわからなくなってしまうこともあるでしょう。子育てに真剣に向き合うほど、その迷いも深くなってしまうかもしれません。
情報があふれる時代。子育てについては”我が子に合う方法か”を見極める目を持ちたい
とはいえママたちがいうように、我が子を育てるのは”情報”でも専門家でもなく、ほかならぬママ自身でしょう。納得できるところだけを取り入れて、「おかしいな」と思ったときには軌道修正をして……。
と、この投稿者さんも、今はそれをちゃんとやっているわけですよね。激しい反発にあいながらも根気よくしつけをしてきたなんて、本当に立派なこと。それと同時にひとつの情報だけをうのみにするリスクにも、体験を通して気づいたのではないでしょうか?
たくさんの情報を取捨選択して、自分なりの育児法を見つけていく。情報過多の今の時代に生きるママたちに必要なのは、我が子に合う方法を見極める目なのかもしれませんね。
文・鈴木麻子 編集・しのむ
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