「育児が楽しくて仕方ない!」と言った友人の秘密
しかし産後の現実は、友人が話していたことと全く違いました。育児はとにかく過酷……。
完全密室、ワンオペ育児。そんな状態で家事育児をこなしていると、心に余裕が無いせいか、赤ちゃんが全く可愛く思えない……! いつかは可愛いと思える日が来るのかな……と思いながら、ただ、生み出した親としての義務感で、死なせないようにしなきゃ、と育児をしていました。
疲れていて余裕ゼロなので、泣いてぐずられると、「この子は私を困らせて苦しめようとしている!」と脳内変換してしまい、「うるさい! これ以上どうしろっていうの!」ときつい口調で怒鳴ってしまうこともありました。怒鳴った後で自己嫌悪……私は母親失格。この子は私の所になんて生まれなければもっと幸せになれたのに……。
そんな毎日を続けながら、子どもはいつの間にか1歳になっていました。私の仕事復帰が決まり、子どもの保育園も決まりました。
初めて「一緒に育てましょう」と言ってくれる仲間ができたのです。
その日から、私の心に少しずつ余裕が生まれるようになり、子どもを「可愛い!」と思う感情が、日を追うごとに心の奥底から沸いてきて、やっと我が子をかわいがれるようになりました。
友人は地元で子育てをしているので、実母が同居して助けてくれたり、昔からの友達が育児中の悩みを共有してくれたのだそう。きっと私が感じるような子育ての孤独なんて感じなかったでしょう。「育児が楽しい!」と言ったわけがわかりました。
一方わたしは、実家も義実家も新幹線の距離。引っ越して来たばかりなので、周囲に親戚も友人もいません。誰にも頼れず、育児の悩みを抱え込み、家に籠ってワンオペ育児・・・ストレスが溜まりに溜まりきって、子どもが可愛く見えなくなってしまったのかもしれません。
でも、現代のママたちは、こういう状況の方、多いと思います。ワンオペ育児を頑張りすぎて、身も心もボロボロになってしまっている……。
これを読んでいるママさんたちも、どうか一人で頑張りすぎないで、積極的に休んでください。頼れる人が居たらどんどん頼って、預けられるところがあったらどんどん預けて、休養や息抜きをしてください。心身ともに疲れ切って、子どもが可愛くない……と思ってしまう前に。
脚本・大島さくら イラスト・いちと