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全学級崩壊、学力平均以下の学校がたった半年で学力向上

「子どもの成績が良くない」「なかなか伸びない」という悩みを抱えるママは少なくないかもしれません。これに対して「基礎基本を徹底すれば、子どもの学力は伸びる」と語るのは、「百ます計算」やインターネットの活用などの教育メソッドを生み出し続ける一方で、政府の教育再生会議委員を務めた教育者・隂山英男先生です。「隂山メソッド」を取り入れ、市をあげて基礎基本の学習を徹底させたことで、小学生の子どもたちの学力が大幅に向上したという福岡県飯塚市の取り組みを実例をあげて紹介します。

陰山先生プロフィール

全国学力学習状況調査は平均点以下、全学年が学級崩壊

――隂山先生が「基礎基本」の強さを実感した経験がおありになると伺いました。

これは福岡県飯塚市にある小学校の話です。飯塚市は昔炭鉱があった町で、炭鉱が閉鎖されてからは生活に困る人があふれ、地域の経済が停滞し、その関係で問題を抱えた家庭も多くありました。そんななかご縁があり、僕が飯塚市の「学力向上プログラム」を請け負うことになりました。市内に22校ある小学校のうち、一番成績が低い学校から取り組んだのですが、学力調査をみせてもらったときは「さすがにこの成績を向上させるのは無理かもしれない」と思ったほどです。

その学校は全学年が学級崩壊をしていて、朝はまともに授業に入れない。校長、教頭が走り回って対応したけれど、校長、教頭、教務主任が3人とも病気療養になり、トップがいなくなってしまいました。新しい校長が来た時に、普通のやり方では対応できないからということで、僕が呼ばれました。

「突き抜ける体験」で子どもは飛躍的に成長する

――隂山先生は、どのように指導を行ったのでしょうか?

基礎基本の徹底です。たとえば子どもたちがよく混乱してつまずくのが分数の計算。この分数の問題を「1問につき30秒で解こう」として、子どもたちに挑戦してもらいました。1問につき30秒。最初はなかなか正解しない。次は正解できても30秒を超えてしまう。タイムを計って同じ問題を何回も繰り返してやることで、子どもたちはだんだんと集中力を増してきて、「これならできる!」という瞬間と出合います。この「突き抜ける」体験をすることが大切なのです。「突き抜ける」体験をすることで、子どもは飛躍的に成長します。
隂山先生2
今お伝えしたことは実際に飯塚市の学校で行ったことの一部です。毎朝15分、音読、漢字、計算など基礎基本の学習に取り組むことで、子どもたちも、現場の先生たちも、学習に対する意識が変わってきました。教育委員会と現場の教師が一体になって、基礎基本を徹底的にやったことで、基礎的な問題はもちろんのこと、応用問題での正解率が伸びてきました。

2012年から始まった読み書き計算の指導により、急速に学力は向上し、1年目で全国平均に近づき、2年目には全国平均を超えました。それから、教育委員会は市内すべての学校にメソッドを導入し、数年ですべての学校が全国平均以上、または全国平均並みになったのです。なぜ今まで子どもたちは伸びなかったのか。僕からしたら簡単なことでした。勉強方法が間違っていたからです。

オンライン英会話、ロボットプログラミング教育の導入で子育て世代から注目が集まる

飯塚市では学力向上とともに子どもたちの問題行動がなくなりました。「この流れを止めてはいけない」と、さらに実践は深化していきました。するとさらに、その良い循環を子どもたちの教育に生かさなくてはいけません。そこで小学校英語をオンライン英会話学校の「QQ English」に依頼し、より学習が高度化していきました。市内の公立小学校の全小学校5、6年生がオンライン英会話の指導をマンツーマンで受けられるようになったのです。さらに飯塚市は福岡県で、地元企業のソフトバンクと提携してロボットプログラミングを学んでいます。市内の全小学校にペッパー君が数台程度入っています。

――公立の小学校でオンライン英会話を導入したり、ロボットプログラミングの授業があったりするのはいいですね。転入者が増えそうです。

当然、周囲が放っておくわけがありませんよね。その話を聞いた子育て世代が続々と飯塚市に転入して、市の人口が増え始めました。それに合わせて市の税収が一気に増えました。これまでかけてきた多額の教育費がかなり回収できたのです。

つまずいているところまで戻り、基礎基本を徹底する

今お話したように、指導方法を工夫すれば子どもの学力は半年もあれば十分伸びます。飯塚市の学校、子どもたちがちゃんとそれを証明してくれています。今「勉強がわからない」「成績が伸びない」という場合は、基礎基本を徹底してやらせることです。学習の土台となる基礎基本ができることで、それから先の応用問題が解けるようになります。これによって、子どもたちの学力は伸びていくのです。

取材、文・間野由利子 編集・しのむ イラスト・Michika

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