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赤ちゃんが泣くのは「おっぱいが足りないから」ではない!?そのワケとは?

妊娠中に本やインターネットでさまざまな育児情報を読んでいたけれど、実際に育児が始まってみたらうまくいかないことは多いですよね。授乳に関することもそのうちの一つ。赤ちゃんが生まれてみたら、思っていたよりも母乳が出ていない気がする、赤ちゃんが泣くのは母乳が足りないから……? などと悩みは尽きません。でも、「本当の母乳不足は少なく、多くのママが感じているのは”母乳不足感”なんです」と話すのは助産師の太田愛さん。詳しくお話を伺いました。

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多くのママが感じているのは「母乳不足」ではなく「母乳不足感」

助産師として日々ママたちと接していると、授乳に関する悩みを持ったママたちがたくさんいらっしゃいます。なんとなく母乳が十分に出ていないように感じるとか、頻繁に授乳しているから母乳が足りていないんじゃないかとか、赤ちゃんがよく泣くので「母乳が出ていないんじゃない?」と周りに言われてそう感じる方など、自分で母乳が出ていないと感じる“母乳不足感”で悩むママがとても多いのです。

厚生労働省は、授乳について困ったことがあると回答した0〜2歳の保護者が77.8%で、そのうち最も多い悩みは「母乳が足りているかどうか分からない(40.7%)」であると発表しています。しかし、実際に母乳不足である場合は少なく、適切な援助がなされれば、90%以上のママは母乳だけで育てることができると言われています。

ママが分かる「母乳が足りているサイン」

出ている母乳の量は目に見えないため、赤ちゃんがどれだけ飲んだのか、十分な量が出ているのかママからは分かりづらいですよね。そんなときは、ママが分かる「母乳が足りているサイン」を参考にしてみてください。

具体的なサインは、紙オムツだったら、薄いおしっこが1日6回以上出ている、1日に3回以上便が出ている、24時間に少なくとも8回は母乳を飲んでいる、月齢によって増えるべき体重は違いますが日々体重が増えているなどです。

赤ちゃんはお腹がすいたとき以外でも泣く

そもそもママたちが「母乳が足りていないのでは?」と不安に思うのには理由がありますよね。赤ちゃんがよく泣いたり、30分おきなど頻繁に授乳していたりすると、「母乳が足りていないからお腹が減って泣いている」と思うかもしれません。でも、母乳を飲みすぎてしまったときでも赤ちゃんは泣きます。大人もそうですけど、お腹が苦しくて泣くこともあるんですよ。赤ちゃんが泣き止まないのは“空腹だから”と思っている方が多いですが、必ずしもそういうわけではないんですね。

月齢の低い赤ちゃんだと、お腹が空いたときももちろん泣くし、眠くても甘えたくても泣きます。まずはオムツを替えたり、おっぱいをあげたり、抱っこしてあやしたりしてみましょう。ただ、それでも泣き止まないときがあるかもしれません。赤ちゃんは泣くことでコミュニケーションの練習をしている、とも言われます。言葉が話せなくても、泣くことでママに自分の思いを伝えようとしているんですね。赤ちゃんってすごいですね。

産後の頻回授乳は母乳育児への第1歩

おっぱいが出る仕組みにはホルモンが関わっています。出産後胎盤が出ると、母乳を生成するホルモン“プロラクチン”の濃度が高くなります。プロラクチンは、赤ちゃんにおっぱいを吸わせれば吸わせるほどたくさん分泌され、母乳が作られます。
産後2、3日はほとんど母乳が出ていなくても心配する必要はありません。母乳が出ない間、赤ちゃんはおっぱいを吸いたがりますよね。こうして赤ちゃんに頻繁に吸われることが乳頭への刺激となり、産後4、5日目ぐらいから、母乳が出てくるようになるのです。母乳育児を軌道に乗せるために、産後の早い段階から赤ちゃんにおっぱいをたくさん吸ってもらうことは大切です。また、ママが母乳育児についての正しい知識を持つことも必要ですね。心配なときや不安なときは、ぜひ助産師にご相談ください。

授乳の時間はママと赤ちゃんが幸せを感じる時間になるように

頻繁に赤ちゃんにおっぱいを吸わせてあげてとは言っていますが、ママが疲れてストレスを感じると逆に母乳が出にくくなるので、ママは適度に休みながら、可能な限りたくさん乳頭への刺激を与えることができるバランスを保てるといいと思います。もし産後にママが疲れたと思ったときは、赤ちゃんが眠ったらママも赤ちゃんと一緒に一眠りしたり、授乳もミルクに頼ってももちろんいいと思います。授乳の進め方は100人いれば100通りあります。授乳の時間がママも赤ちゃんも幸せな時間だと感じることができる方法で続けることが一番大切です。

私が関わっている「産婦人科オンライン」では、このような授乳についての相談も含めて、妊娠中から産後に関することをスマホで気軽に医師や助産師へ無料で相談いただけます。現役産婦人科医や助産師が丁寧にお答えするこのサービスは、どんなに些細なことでもご相談いただけます。不安なことがもしあれば、ぜひ利用してみてください。

取材、文・山内ウェンディ 編集・横内みか イラスト・水戸さゆこ

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