「1日の体重増加」は目安ではない!?母乳が足りているかどうかを判断できる2つのサイン
ちょっと理系な育児のsumireです。母乳育児についての科学的な情報をまとめた書籍発売を記念しての短期連載、今回は、赤ちゃんの体重と母乳不足について、書籍からご紹介したいと思います。
みなさんは、「こんなサインがあれば母乳不足だよ」と聞いたことはないでしょうか?
ほかにも、母乳不足とされるサインにはいろいろなものがありますよね。でもWHOによると、母乳が足りているかどうかを確実に判断できるサインは、たった2つだけだそうです。
母乳が足りているかどうか判断できる2つのサインとは?
『ちまたには、いろいろな「母乳不足の見分け方」や「母乳が出ていない目安」があふれています。あとあと振り返ってみれば、「あの時ミルクは足さなくて大丈夫だったな」と判断できたとしても、「今、赤ちゃんに母乳が足りているかどうか」を、自信を持って判断することはなかなか難しいかもしれません。でも、1日単位でおしっこの様子を、1週間から1カ月単位で体重推移をチェックして、それで問題なければ、いくら赤ちゃんが頻繁に泣いていようとも、おっぱいがつねにフニャフニャだろうとも、母乳は足りているのです。
『ちょっと理系な育児 母乳育児篇』p.108「【母乳の不足と不足感】ずばりWHOの結論とは」より抜粋
つまり、色とにおいが薄いおしっこが1日に6回以上出ていて、体重の増え方に問題がなければ、ほかにどんなサインがあっても、十分な母乳が飲めているということなんですね。
それでは、おしっこと共に大事なサインである、「赤ちゃんの体重が順調に増えているかどうか」は、どう判断すればいいのでしょうか?
赤ちゃんの体重増加を「1日あたり▲g」で判断することは困難
『日本では、「体重増加が1日あたり▲g 以上なければ母乳不足」と判断されることが一般的です。しかも、専門家であっても、目安とする数値は人によって違います。しかし、WHOのガイドラインには、「1日あたり▲g 」という数値は一切出てきません。「お母さんが記録した成長曲線が、WHOのグラフのスタンダードカーブ(標準となる曲線)に沿っていれば順調」であり、それは十分な母乳が飲めていることを示しています。(中略)
体重測定の結果を継続して記録することで、それぞれの赤ちゃんの成長の評価をより簡単にできるようになり、問題があるかもしれないサインにもいち早く気付くことができます。
『ちょっと理系な育児 母乳育児篇』p.108「【母乳の不足と不足感】ずばりWHOの結論とは」より抜粋
赤ちゃんの体重増加速度の目安として、「1日30 g以上増えていることが望ましい」という話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、科学的には、赤ちゃんの体重の増え方を「1日▲g増加したか」で判断することは困難なのです。同じ赤ちゃんでも体重増加速度は日々変化し、増え方が控えめなときもあれば、急速に増えることもあるからです。その代わりに、標準となる成長曲線を横切らない角度で増えていれば、十分な母乳が飲めていることがわかります。
WHOの成長曲線は、標準となる曲線が5本も引かれているのと、低月齢のうちは1週間おきに体重を記録できるので、より細かい体重の推移を記録することができます。詳しくは、書籍でぜひチェックしてみてくださいね。
ちょっと理系な育児 母乳育児篇
作:牧野すみれ
出版社: 京阪神Lマガジン
文・sumire イラスト・あい