幼児の集中力をどう引き出す?自宅レッスンを行うママへのアドバイス
幼少期の自宅レッスンは、どんな習い事であれママがつきっきりで面倒をみてあげることになるでしょう。練習しようにも、グズったり甘えたりしてママを悩ます子どももいるかもしれません。ママは一生懸命になればなるほど、時間が取れない、子どもが集中してくれないなどと悩みを抱えてしまいがちです。
主宰する教室で多くの幼児を教えてきた鬼頭敬子さんによると、大変に思える自宅でのレッスンも、ママの工夫次第で続けられる秘訣があるそうです。著書『子どもがどんどん賢くなる「絶対音感」の育て方』からそのヒントを探ってみました。
レッスン回数や方法は、家庭の事情に合わせて工夫する
ピアノなどの習い事の自宅レッスンに、子どもが集中しない場面は多いですよね。鬼頭敬子さんが教室で教えている「鬼頭流 絶対音感メソッド」では、ご家庭で「1回1分のレッスンを1日4回行ってください」とお願いしているそうです。もちろんご家庭の事情によっては、1日4回行うのが難しいこともあるでしょう。その場合はこんな工夫をお勧めしているそうです。
『お仕事をされているおかあさんも多いですから、1日4回のレッスンが難しい場合は、1日3回でも大丈夫です。時間がないときは、朝食、夕食中にカードを見せて音を聴かせるのもOKです。こうしなければではなく、「この時間を使ってみよう」と探っていくのも長続きする秘訣です。』
習い事の自宅レッスンにおいては、それぞれの家庭の状況に合わせて、できる回数でできる方法を探すことが大切になるよう。鬼頭さんのレッスンの例では、子どもがテーブルについている食事の時間を活用する方法が挙げられていました。マニュアル通りに実行しようとして「できない」と断念するよりも、まずは「ムリなくレッスンするためにはどうしたらいいか」と工夫してみることが大事なのですね。
子どもが甘えたり、ふざけたりしてしまう時は?
幼児期のレッスンは子どもがママに甘え、ふざけて遊んでしまうなどして、思うように進まないことも考えられます。自宅ではママが教えているという場合は、「ママ=先生」であることをきっぱりと態度で示すことが大事だそうです。
『ふざけてレッスンにならないときは、「レッスンにならないから中止します」と伝えて終了し、さっと離れましょう。お子さんが落ち着いたら、レッスンではふざけないことを真剣な表情で伝えます。おかあさんは先生として、淡々とレッスンを進めましょう。』
しかしママが先生だからこそ、気をつけたいことも。鬼頭さんは、多くのママと子どもをみてきた経験から、しばしばこんな光景を目にすることもあるそうです。
『音を間違えると怒ったり「よく聞いてっ!」と言っていませんか? 怒っていないつもりでも、おかあさんの顔が怖いということはよくあります。』
子どもがなかなか成長をみせないと、ママは一生懸命にレッスンするあまり、いら立ってしまうかもしれません。自宅でのレッスンはママと子どもの楽しいコミュニケーションの機会でもあります。もし子どもがママの顔をうかがうようになったら、ママは少し落ち着いて、なるべく笑顔を見せてあげるようにして下さいね。
ママが見守ってくれる安心感があれば、子どもは才能を開いていける
子どもがレッスンに集中できるようになるため、ママはまず1ヶ月間頑張ってみませんか? 最初の1ヶ月間は子どもへかける言葉や距離感をいろいろと試してみて、ちょうど良い接し方を見極める期間なのだそうです。
『レッスン開始1ヶ月は、お子さんが集中できないことや、ぐずったりして1分のレッスンを始める前の段階に悩むおかあさんが多いかもしれません。この1ヶ月間は、お子さんの様子をよく見ながら、やる気になる言葉のかけ方や距離感を探ってほしいですね。』
どういう言葉をかければわが子がレッスンに前向きに取り組むのか、一緒にいる時間が長いママだからこそ分かるということもあるでしょう。「もう少し頑張ろう」と励ましたり、「お姉ちゃんみたいになりたいね」と目標を持たせたり、「先生に上手なところを見せようね」と約束したり……。わが子にぴったりの有効なアプローチが見つかれば、きっと素晴らしいやる気を引き出せることでしょう。
また鬼頭さんは、自宅レッスンでママに見守ってもらうことが、子どもにとっていかに大切な経験となるかを語っています。ママに認めてもらった経験は何よりも子どもの自信となり、さまざまなことにチャレンジする心を育てるそうです。
『子どもたちはどんなときも見守って応援してくれる安心感があれば、失敗を恐れず、好きなことに挑戦し、様々な才能を開いていけるのです。』
上手にできたときも、できなかったときも、ママがずっと笑顔で見守って励ましてくれていた……。その安心感はきっと子どもの心の中に刻み込まれることでしょう。日々時間に追われているママが自宅でのレッスンにつきあうのは、どんな習い事であれ大変かもしれません。しかし母子で一緒に取り組む時間は、子どもが才能を羽ばたかせるための「心」を育むチャンス。ママは無理のない方法を工夫してみて下さいね。
文・井伊テレ子 編集・山内ウェンディ