最悪のエルサゲート 子どもに自殺を促す「モモチャレンジ」の動画が出回っている……!? #ママが知りたいネットの知識
エルサゲートという動画をご存じでしょうか? 子どもが好きな人気キャラクターの動画と見せかけて、子どもに不適切な内容を見せる悪質な動画です。
数年前から出回っているエルサゲートですが、最近はさらに悪質な内容の動画が出回っているのだとか。なんと「子どもに自殺を促す内容」だというのです……!
※この記事では虚偽の情報と報道のある「モモチャレンジ」そのものではなく、実在した「子ども向けアニメから突如モモチャレンジ風の映像に切り替わる動画」について記載しています。
この記事では問題の動画や画像キャプチャは載せていません。実際に動画や画像を検索される際は、「閲覧注意」であることをご承知おきください。
子ども向けと見せかけて不適切な内容……。エルサゲートとは
エルサゲート(Elsagate)とは、「子ども向けと見せかけて人気キャラクターの動画を装い、子どもがショックを受けるような不適切な内容を持つ動画」および、その議論のことです。ディズニー映画『アナと雪の女王』の登場人物“エルサ(Elsa)”に、事件・不祥事・スキャンダルを意味する”〇〇ゲート(gate)”が加わってできた造語です。
不適切な内容がどういったものかといえば、たとえば
・キャラクターの排泄行為が延々と続く
・正義のヒーローなのに子どもに暴力をふるったり怖い武器を使ったりと単なる暴力行為になっている
・キャラクターによって子どもが生き埋めにされるなどの虐待
……などがあります。
詳しくはこちらもご参照ください。
→子ども向けに見せかけた危険な動画、「エルサゲート」って知ってる? #ママが知りたいネットの知識
そして2019年2月末、「子どもに自殺へ導くエルサゲート」がSNS上で話題となりました。
子どもを自殺へ誘導するエルサゲート、内容は?
筆者が実際に見た、子どもを自殺へ誘導するエルサゲートの内容は概ねこのようなものです。(※現在は削除されています)
『Peppa Pig(ペッパピッグ)』という海外の人気アニメに見せかけて話が進む(全編英語)
↓
話が盛り上がりそうなポイントで突然、飛び出そうな目玉、裂けたような口など”トラウマレベル”で恐ろしい風貌の「momo(以下、モモ)」というキャラクターが登場。
↓
「私はあなたを殺す。あなたを殺す」「足を切れ」「リストカットをしろ」「親には見せるな」とモモが静止画のまま低い声で脅迫してくる
特に「モモ」の風貌が恐ろしく、SNS上では画像キャプチャだけでも「めちゃくちゃ怖い」「トラウマになる」との大人たちの声もありました。
2019年3月1日時点でYouTube側は、記録やパロディとして投稿された動画も含め、「ガイドラインに違反した動画」として削除する方向へ動いているようです。『Peppa Pig(ペッパピッグ)』自体は日本でもキャラクター商品が出回っているほど健全なアニメで、問題動画とは関係ありません。
そしてさらに事態は複雑です。この恐ろしい「モモ」は、「モモ自殺チャレンジ」という自殺ゲームから拝借されたもの。なんと「人を自殺させるゲーム」の存在が噂されているのです……!
問題動画に使われた「モモ」が登場する「モモ自殺チャレンジ(momoチャレンジ)」とは?
このエルサゲートで使われた「モモ」は元々、「モモ自殺チャレンジ(以下、モモチャレンジ)」に登場する造形物です。
モモチャレンジとは「自殺ゲーム」と呼ばれるもの。ショートメッセージでモモにコンタクトを取ると、モモの写真とともにメッセージがくるという仕組みで、モモは言葉巧みに相手の電話番号や住所など個人情報を聞き出し、徐々に「人を刺せ」「自分を殺せ」と強要してきます。相手が要求を拒むと、モモは個人情報を盾に取り「家族に危害を加える」「個人情報を流出する」などと脅しをかけてくるのだとか。相手は恐怖で「モモの言うとおりにするしかない」と思い、指示を実行していきます。もちろん人の体を傷つける行為ですから、必然的に死に至ってしまいます……。
海外では「モモチャレンジはフェイクニュース」という報道と、「モモチャレンジの影響で自殺した子どもの事件」と推測されている報道の両方があります。またイギリスのインターネットの安全性を監視する団体「National Online Security」には、注意喚起の特設サイトがあります。
ちなみに「モモ」自体は、恐ろしい見た目ではありますが日本の人形作家が制作した美術品であり、モモチャレンジとは無関係とのことです。
モモチャレンジはフェイクニュースとも言われますが、存在するかどうかはさておき、モモチャレンジに着想を得て不適切な動画が作られるような現象は今後も起こり得ると言えるのではないでしょうか。
エルサゲートで子どもにショックを与えないための対策
エルサゲートを子どもに見せないためには、保護者の目が必要です。
動画サイトで子どもに動画を見せる場合、子どもだけの判断で見せないよう、動画の内容を保護者がチェックしましょう。自分で物事の判断ができる年齢の子どもが「一人で見たい」と言った場合は、「おかしな場面があれば教えて」と伝えておくと、何かあったときに親が動画を止める、動画サイトに「不適切動画」として報告する、チャンネル登録を外すといったように対策ができます。
ただ今回のモモチャレンジのエルサゲートは、怖いキャラクターが「親に見せてはいけない」と脅しをかけてきました。子どもは恐ろしさで動画の指示の通りにするかもしれません。自分である程度物事を判断できる年頃の子どもは嫌がるでしょうが、閲覧履歴や関連動画をチェックするなど、「目を離さない」ことは必要なのではないでしょうか。
インターネットには良い/悪い両方の側面があります。自分で善悪を判断できない乳幼児や多感な時期のティーンエイジャーまで、それぞれの年齢に合った対策を考えていきましょう。
文・しらたまよ 編集・しのむ