親が子どもにスマートフォンやタブレットで動画を見せるとき、決めたいルールや効果的な見せ方とは?
株式会社カスペルスキーとNPO法人e-Lunchが1,000人以上の保護者を対象に行った「2017年度子どものスマートフォン・タブレット利用調査」で、3歳から6歳の半数以上がスマートフォンやタブレットを、ほぼ毎日利用しているとの調査結果が出ました。使い方の1位は親が子どもに「動画を見せる」でした。調査結果に心当たりがあってドキッとするママもいるのではないでしょうか。
ママが家事をしている合間や公共の場などで子どもに静かにしてもらいたいとき、動画やテレビはママにとって便利なお助けアイテムですよね。しかし親の都合で子どもに動画を見せることに罪悪感を感じる……という人もいるのでは?
一方で家事をしなければならないときや病院の待合室などで子どもに静かにしていてほしいときに動画を見せることもありますよね。ママが子どもに対して罪悪感を感じるならば、せめて子どものためになりそうな見せ方をするのはどうでしょうか。
子どもに常に違う動画を見せるほうが、脳には良い
脳科学者の茂木健一郎さんによると、同じ動画を見せるよりも常に違うものを見せるほうが、脳に良い効果があるそうです。脳は新しいものを見て刺激を受け、その刺激によって脳が成長するというのです。
親はつい子どもの好きな番組を録画して見せたり、好きなDVDだけを繰り返し見せたりしてしまいがちですが、常に新しい番組を見せるほうが、脳には良いのです。
無料で利用できる動画共有の代表的なサイトであるYou Tubeを見せる場合は、現在見せている動画の関連動画が自動再生されるようしてみてはどうでしょうか。
「感動」は記憶をさらに定着させる
「感動」が伴う体験を経験すると、記憶に残る、と脳科学者の篠原菊紀さんは言っています。感動すると神経の活動が高まるので、出来事や事象を覚えやすくなる上に、時間が経っても感動した出来事を思い出したくなるそうです。
また、「音と画像の情報を合わせ、時系列をつけてエピソードとして保持された記憶は、覚えやすい」とも言っています。
ストーリー性があって音と画像が伴うということは、ドラマやドキュメンタリーが記憶の強化に効果的なようですね。子どもに見せる動画として、例えば歴史ドラマを子どもに見せるのも効果があるでしょう。子どもに見せる歴史ドラマが感情のツボにはまったストーリーであれば、細部まで覚えやすく歴史の勉強に役立ちます。
また、科学をドラマ仕立てで紹介してくれるサイエンス番組なども効果があるかもしれません。覚えにくい抽象的な事象や因果関係をストーリー仕立てで記憶し、納得することで記憶に定着しやすいはずです。
あくまで子どもに動画を見せるときの有益な見せ方の一案です。脳科学の川島隆太さんによると、長時間のテレビの見すぎは、言語知能などをつかさどる前頭葉の発達に悪影響があるとされているそうです。テレビや動画の弊害については、親はつねに心に留めておくべきでしょう。そのほか、米カリフォルニア大学の行った肥満との関連を指摘した研究や、米医師会(AMA)の精神医学専門誌「JAMAサイキアトリー」に発表された認知症との関連を示唆した研究もあります。日本小児科医会は、すべてのメディアへ接触する総時間を1日2時間までを目安に制限することを推奨しています。
動画を長時間見せることで起こる子どもへの弊害を親は認識して、視聴時間を決めるなどのルールを決めて効果的な見せ方をしたいですね。
「5歳までにやっておきたい本当にかしこい脳の育て方」茂木健一郎
「脳科学が教えてくれた 覚えられる 忘れない! 記憶術」篠原菊紀
「メディアにむしばまれる子どもたち」田澤雄作
文・MAYA 編集・横内みか