古坂大魔王:第7回 「1番になれ」「リーダーになれ」。母から言われた言葉があったからがんばれた
世界的ブームを巻き起こしたピコ太郎さんの楽曲『PPAP』。そのプロデューサーである古坂大魔王さんは、幼少期から人を笑わせることが好きで、学校でも常に高い成績を維持してきたと言います。常にがんばり続けることができたのは、古坂さんのご両親、中でもお母様の存在が大きかったようです。いったいどんなお母様だったのでしょうか。詳しくお話を伺っていきます。
兄弟3人で「本気で親孝行しよう年間」を実行中
――大人になると、親のありがたみがわかるといいます。古坂さんは今ご両親についてどのように感じていますか?
数年前から、兄と弟と僕たち兄弟の中では、「本気で親孝行しよう年間」なんです。テレビの『大改造!!劇的ビフォーアフター』という番組で、実家をリフォームしました。青森は豪雪地帯だから、父親が屋根の雪下ろしをするのが危なくて。お笑い芸人のピコ太郎が『PPAP』で大ブレイクして、NHKの紅白歌合戦に出たときは会場にも連れて行ったし、『輝く!日本レコード大賞』も見せたし、両親をハワイ旅行に連れて行って、現地で結婚式もあげたし。両親がいつ死んでも大丈夫なように、元気なうちに親孝行しておこうと思ったんです。
僕ら兄弟3人は、うちの父親と母親が世界一の親だと思っていて、ものすごく感謝しています。うちのお父さんは放任主義。お母さんは教育ママで、僕たち3人は厳しく勉強しろと言われてきました。それがあったからこそ兄は銀行員として、弟は大学教授として、僕はフリートークで生きていけるようになりました。昔は、母親の教育方針に反発する気持ちを持っていたこともあるけど、今はとても感謝しています。両親には感謝の気持ちしかないです。
1番になって2番以降をひっぱれる人間になれ
――お話を聞いていると、お母様の影響が大きいのですね。お母様から言われた言葉で記憶に残っていることは?
「なんでもいいから1番になれ。1番になって2番目以降を引っ張ってやれ」という言葉です。たとえば、学校でも副会長をやるなら会長をやれ。副部長をやるなら部長をやれ。組織の中のトップであれ。そうしないと物事をまとめられないよ。実際に、うちの母親はPTA会長をやって自分の意見を通していたんです。でも、それはみんなの意見を通すために自分がリーダーになったんですよ。
ただ、リーダーになるためには、実力がないとだめじゃないですか。「みんなでがんばろうぜ」といっても「お前が言うなよ。お前が足を引っ張っているんだろ!」となったらもともこもないから、足を引っ張らないようにしておくことが大事。学生時代だったら、1番パワーとなるのが勉強。勉強さえできれば先生も認めてくれるんです。
僕は、地元の進学校に通っていたんですけど、その高校では勉強ができないと発言権がないんです。しかも、先生の信用を得られるぐらいできないとだめ。そこまでいったらあとはその勢いでリーダーシップを取る。それで人気者になったら生徒会長になれて、すごく自由にできたんです。文化祭の予算まで組めたから。
家庭では予算と人事の権利を持つ奥さんこそが最強!
――予算を組むことが大事だったのですか(笑)?
人事と予算を組めるのは最高ですよ! 人事と予算、これがすべての権限ですね(笑)。だから、結婚した今はうちに帰ると奥さんにかなわないんです。奥さんは人事と予算を持っているから勝てるわけがない(笑)。だから奥さんに従うのみです。
予算に関しては、多少ムリを言ってもいいと思いますよ。予算を組むほうは、組まれるほうの気持ちをあまり考えずにやりますからね。会社だってそうじゃないですか。「この予算でやれ」といわれたって「ムリだよ!」って。だから「こういった目的で使いたいので、予算が欲しいです」という。そのかわり、きちんと見積もりを作らないと通らないから。旦那さんが予算を獲得しようと思ったら、ちゃんと奥さんに見積もりを作って出してください(笑)
よく教育者の方から「成功している人はお母さんの存在が大きい」という話を聞きます。古坂さんの場合も、「リーダーになれ」「1番になれ」と言い続けたお母様の存在が大きかったのかもしれませんね。古坂大魔王さんインタビュー最終回となる次回は、「子育てと仕事の両立」について伺います。
取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ