古坂大魔王:第1回「日本音響研究所のお墨付き。『PPAP』は幼児が泣き止む曲なんです」
動画再生回数が1億3000万回超え、世界134カ国で配信されるなど大ヒットしたピコ太郎さんが歌う『PPAP』。実は、この音楽を聞かせると赤ちゃんが泣き止むといわれていることをご存じでしょうか? 今回から全8回にわたり、ピコ太郎さんをプロデュースした古坂大魔王さんに赤ちゃんが喜ぶ音について、またイクメンオブザイヤーを受賞した古坂さんの育児についてお話を伺っていきます。
赤ちゃんも大好き。『PPAP』はなぜ子どもたちにウケるの?
――「日本音響研究所」によると、『PPAP』は「幼児が泣き止む効果として有効な特徴を有している」そうですね。
そうなんですよ! なぜか子どもが泣き止むという。子どもってパピプペポの破裂音が好きですよね。NHKの子ども向けチャンネルを見ていると、破裂音を使った音楽って多いですよね。だから「アッポーペーン」、「パイナッポーペーン」という音は、子どもたちにとってすごく楽しい音なのかもしれません。それと、『PPAP』のリズムは赤ちゃんの心臓の音に近いというのも理由の1つみたいですよ。
――元々子どもを意識して作った曲なのですか?
いえ、子ども用の曲というよりも、完全に大人向けに作ったネタなんですよ。単純におもしろい音、ピコ太郎の見た目と相反するポップな音はなんだろうと思ってできたのが『PPAP』の曲です。しかも、最初は笑いのネタとして舞台でやっていたんですよ。
たまたま僕の舞台を見に来ていた知り合いのプロデューサーさんがお子さんを連れてきていたんですけど、その子が『PPAP』をすごく気に入ってくれたんですよね。それでプロデューサーさんから「動画をアップしてよ」といわれたんです。そこで本格的な映像を作ってYoutubeにアップしたところ小中高生に火がつき、東南アジア、ヨーロッパ、ジャスティンビーバーのリツイート更に世界ヘ広がり、日本に戻って、小さい子たちがマネをするようになったという感じです。子どもから一番遠いところで作ったら、ぐるっと回って子どもにウケた! という感じです(笑)
――大人から子どもまで一大ブームでしたよね!
そのうち『PPAP』を聞かせると赤ちゃんが泣き止むらしいという話が出てきて、「え!?」と思って日本音響研究所さんに調べてもらったら、「幼児が泣き止む効果として有効な特徴を有している」ということだったんですよね。
NHKのEテレでやっている『いないいないばあ!」をみていると、子どもに人気な曲というのは、ロジックはあるなと思います。さきほど話したみたいに破裂音が好きだったり、早口で意味のない言葉を聞くのが好きだったり。音楽というよりも、リズムと音の楽しさを味わっているのが子どもなのかもしれませんね。
制作時間20分。ベルギー人のために作った曲がなぜか幼児番組で大ヒット
――寿司をテーマにしたピコ太郎さんの新曲、『Can you see? I’m SUSHI』は、NHK Eテレ、総合、NHK-FM、ラジオ第二放送の『みんなのうた』などでも放送されていていますね。
実は、あの曲はベルギーで作ったんですよ。しかも、曲のベースを作ったのはわずか20分!
――20分ですか!? それはかなりの短時間ですね!
ベルギーを訪問したとき、向こうのプロデューサーさんと「曲を作ろうか」という話をしていたんですが、時間が20分しかなかったんですよ。それで僕がそのプロデューサーさんに「日本と言えば?」「寿司」「好きな寿司ネタは?」「トロ、サーモン、ツナ、カリフォルニアロール」「じゃあ、そのまま曲にしませんか?」という流れで作ったのが『Can you see? I’m SUSHI』なんです。
――それが子どもにウケたんですね!
そうなんですよ。本当はベルギーの方に向けて作ったんだけど、なぜか日本の子どもにウケちゃったという(笑)。僕も子どもの頃思っていたんですけど、小学生くらいになると大人から子ども扱いされるのがすごく嫌だったりするんですよね。それもあって子どもにウケるように変に子どもっぽく作るのはやめようと思っていたんです。それがよかったのかも。
ピコ太郎さんが歌う『PPAP』をかけると、赤ちゃんが泣き止むという話を聞いて、試してみたくなったママもいるのでは? 次回は、パパとなった古坂大魔王さんが、生まれたばかりの我が子に『PPAP』を聞かせてみたというお話です。その結果、驚くべきできごとが! 次回をお楽しみに。
取材、文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ