専業主婦より共働きが「税負担」が少ない!年末調整で把握すべきポイントとは?
夫婦別財布、もしくはご主人から毎月一定の生活費を貰う形で家計をやりくりしている人も、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。もちろんご家庭それぞれのメリットはあると思います。しかしこの形を続けるにつれ、知らずに損をしているかもしれません。
さまざまな家庭の家計相談を行っているFP(ファイナンシャルプランナー)海老原政子先生にお話を伺いました。
年末調整では戻ってくるお金より、「所得税」「社会保険料」が年収からどれだけ引かれているのかを把握する
――旦那さんの年末調整について、あまりピンとこないと思っている専業主婦の方はたくさんいると思います。
海老原先生:給与所得者の場合、その多くが確定申告をせず年末調整で所得税を確定しています。自分で所得税の申告をしないので、妻側からすれば「お金が戻った」くらいの感覚で終わってしまうかもしれません。しかし年末調整では、戻ってくるお金より、所得にかかる税金である「所得税」や厚生年金や健康保険などの「社会保険料」が額面年収からどれだけ引かれているのかを把握してもらいたいのです。
――どのような点に気をつけたらいいのでしょうか?
海老原先生:所得税は所得に対して税率何%という計算の基本ルールがあります。所得税を少なくするには適用できる“所得控除(※)”を漏らさず申告して、いかに課税所得を小さくするかが鍵なのです。
年末調整では、生命保険料控除や住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)といった控除できるものを申請していきます。手続きが面倒だと考えて控除を使わなければ、余計な所得税を払うことになります。所得税を抑えるように意識していれば毎年きちんと申請していく気持ちになれると思います。
年収から一定の金額を差し引くこと、またその一定の金額のこと。税における控除は、税金がかからないもののことを指す。
――控除に該当するものを教えてください
海老原先生:所得控除には、生命保険料控除や住宅ローン控除に加えて、個人型確定拠出年金(※)で使える「小規模企業共済等掛金控除」やふるさと納税(※)の寄附金控除(所得控除または税額控除となります)といったものがあります。ご家庭によってできないものもあります。
自分で掛金を積み立て運用する年金のこと。さまざまな税制優遇がある。
(※)ふるさと納税
自分が希望する自治体等に“寄附”すること。寄付金の多くが所得税や住民税の控除対象となる。
専業主婦より共働きが「税負担」が少ない
――専業主婦と共働き、どちらが税の負担が少ないですか?
海老原先生:世帯収入が同じであれば、一般的には専業主婦世帯より共働き世帯のほうが「税負担」は少ないです。所得控除など適用条件にもよりますが、現在の税制だと年収1,000万円のご主人と0円の専業主婦の方が払う税負担と、年収がそれぞれ500万円ずつの共働き夫婦だと、世帯年収は同じ1,000万円ですが、税負担は共働き家庭のほうが少ない場合がほとんどです。
また、2人で働いているというだけで、転職や出産、病気などどちらかに何かあった際にも安心です。一方が働いていれば家計のやりくりができるので、リスクヘッジになります。共働きの場合、住宅ローンを夫婦双方で組み、住宅ローン控除を双方受けることで税負担を減らすという方法も考えられます。
――税の負担が減るということは毎月の手取り収入が増えるということですよね。これは大きな家計の見直しになりますね。
海老原先生:そうですね、増えた分の手取りを、資産運用や学資保険、子どもの習い事の費用などに充てることもできます。税金を考えるということは、家庭全体の手取り収入を増やすことにつながると思います。
税金と聞くと何やら難しい印象がありますが、給与所得者の場合、個人で収入を上げ難いため、使える所得控除や非課税制度を活用しなければ損です。所得税・住民税はご家庭によっては毎年何十万円も納付しているため家計収支が大きく変わる可能性があります。
大きな家計の見直しになる可能性がある年末調整。次回の年末調整では、夫婦でお互いの申請内容や使える所得控除、非課税制度を確認してみるのはいかがでしょうか。