キッズデザイン賞発表。専門家が注目する選定ポイントは?【朝ごふんコラム】
2018年度のキッズデザイン賞が発表されました。今年は、子どもの安全に配慮したファスナーや、360度車の死角をなくす自動車、幼児用座席つき電動アシスト自転車など、ママたちにも役立ちそうな製品がいっぱい。「キッズデザイン賞」について制定した目的などとともに、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の大野美喜子さんに伺いました。
キッズデザイン賞ってどんな賞?
「キッズデザイン賞」とは、子どもたちの成長や発達に役立つ優れた製品・空間・サービス・活動・研究などを表彰するものです。全国の企業、自治体、教育機関、NPOなど応募数は累計4549点、受賞数は2705点になります。キッズデザインの認証制度は、2018年で12回目を迎えました。産業技術総合研究所の研究者も、毎年キッズデザインの審査に関わるなど、私にとってキッズデザイン賞はとても身近な存在です。
この取組みは、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」という3つの目的にそって優秀作品を選び、社会に知ってもらうことで、子どもを育てやすい社会づくりを目指しています。
キッズデザイン賞を作った狙いは?
「キッズデザイン賞」が創設される前も子ども向けの製品やサービスなどは数多く出ていましたが、子どもにとって本当に安全なのかというと、必ずしもそうとはいえませんでした。そのため、子どもたちがより安心・安全に暮らせるように、実際の事故例を元にどこが危険なのかを把握、改善した製品などが「キッズデザイン賞」として表彰されるようになりました。ママやパパ、一般の消費者の方に子どもにとって安全な製品であるとお伝えすることがキッズデザイン賞を設定した目的の1つです。
子どもの事故予防や安全性に配慮した製品が受賞
2018年度、最優秀賞 内閣府総理大臣賞に輝いたのは、YKK株式会社の「QuickFree®」。子ども服のフードが、すべり台などの遊具やドアノブに引っ掛かかると、首がしまってとても危険です。「QuickFree®」は、強い力が加わるとスライダーが外れてファスナーが開く仕組みになっているため、重篤な事故を防ぐことができます。
優秀賞 経済産業省大臣賞に選ばれたのは、マツダの「死角にいる子どもを守る、人間中心の設計思想に 基づいた360°ビューモニター」。車の前後左右にモニターをつけることで、子どもの巻き込み事故を防ぐことができます。
ママたちに身近な幼児用座席付き電動アシスト自転車として奨励賞を受賞したのが、パナソニックサイクルテックの「ギュット・アニーズ・KE BE-ELKE03」。電子キーのため鍵の開け閉めがスムーズにでき、子どもの乗せおろしや駐輪時のスタンドの立てやすいことが評価されました。
キッズデザイン賞が広く認知され、普及することで、子どもの安心・安全に配慮した製品や、サービス作りが浸透してほしいなと思っています。
子どものやけどや歯ブラシによる刺傷事故を防ぐ
過去の受賞製品の中にも、子どもの安全のために注目してほしい製品がたくさんあります。たとえば、タイガーの「転倒流水防止構造つき蒸気レス電気ケトル」。ケトルが倒れて“あっという間”に子どもが大やけどをしたり、ケトルから出る蒸気の上に手を置いてしまうことでやけどをしてしまう事故が多いのですが、これは倒れてもお湯が出にくく、やけどの原因となる蒸気を出さない電気ケトルなので、安全性が高い製品といえるでしょう。
もう1点は株式会社DHLの「200gでみがける まがる歯ブラシ」。万が一、子どもが歯ブラシを口に咥えたまま転倒してしまっても、ヘッド部分が曲がる仕組みになっているため、歯ブラシが喉やほほに刺さる事故を予防してくれます。
大人からしたら便利な家電も、子ども目線で見たら予期せぬ事故につながりかねないものがまだまだいろいろあります。しかし、子どもにとって安全なものであれば、大人にとっても安全で安心して使えるものとなります。これからもキッズデザイン賞を通して、子どもや子育てにいいものを広く社会に発信していきたいと思います。
これまでキッズデザイン賞を受賞した製品や作品は、こちらからご覧いただけます。
毎朝みんなでゴハンを食べながら、たった5分でも家族のコミュニケーションをとってほしい」という想いからはじまった『朝ごふん』プロジェクト。
このコラムは、忙しい朝でも親子で話せる子どもの安心・安全情報について紹介しています。
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