幼い頃からしっかりしつけることは大事?教育評論家が語る、しつける際のポイントは
子どもを小さい頃から、しっかりしつけたいと考えているママもいると思います。挨拶ができるように、自立できるようになど、子どもが将来困らないために、良かれと思ってしつけているはず。ママスタにも、普段しつけをしっかりしているであろうママからこんな投稿がありました。
『小さい頃からきっちりしつけることは大事だと思うけど、半面子どもを窮屈にさせてないか、ストレスになっていないか不安になる』
子どもをしつけることは大事ですが、その伝え方や厳しさの度合いが難しく悩むポイントです。先輩ママたちのしつけの仕方や、教育評論家の親野智可等先生の声とともに、子どものしつけ方について探ります。
幼い頃からしっかりしつけるママたち
幼い頃からしっかりしつけていないと、大人になったときにしっかりできない、そう考えるママも多いかもしれません。子どもが小さくても、しっかりしつけているという声をご紹介します。
『私は小さい頃から食事、挨拶、とか基本的なことはすごく厳しく教えた。
大きくなって他人と関わるときに本人か困らないように。
小さいうちに基本ができてればある程度大きくなったときにガミガミ言うことが少なくなるかなぁって』
『躾は大事よ。
できなくても、基本的なことをきちんと教えておこうとする意識は必要。
大学生ぐらいになって、無駄じゃなかったと思えるよ』
『命に関わる危険なことと周りに迷惑かけるようなことはってみんな言うけど、子どもって基本周りに迷惑かけることばっかりするじゃん。
すぐにはしゃぐし騒ぎたがるし走りたがる散らかしたがる、興奮してすぐ声も大きくなる。結局ほぼ一日中怒ってるよ』
挨拶や食事中のマナーなど子どもに伝えるべきことはたくさんありますよね。でも、1日中怒るほど、しつける必要はあるのでしょうか?
しつけに厳しすぎる親の子どもはどうなった?
しつけは幼い頃から厳しくした方がいい、それも一つの考え方です。ただ、その厳しさの度合いによっては、その後の子どもにどんな影響があるのかを知っておくべきかもしれません。子どもの頃、ご自身が親から厳しく育てられていたというママの声は参考になります。
『うちの親はすごく厳しくてマナーはもちろん、少しでもイタズラ心を出そうものならダメダメ言われてた。
だから子どもながらにとにかく人の顔色をうかがっていたよ。これやったら怒られるかなとか、考える基準は怒られるかどうかだった。
大人になった今、客観的に自分を見ると、とにかく自信がない。自分の非を認められない。自分ばかりが苦労して生きてきたように思える(周りは甘やかされて自由に育ったように見える)。極度の完璧主義。
もちろん厳しかったおかげでマナーに関して恥をかくようなことはないけど、厳しくされた分、他人にも厳しくなりがち。自分の2歳の子どもに対してもそうだから可哀想だと思うんだけど、つい口うるさくなってしまう』
『私の親が厳しくしつけるタイプだった。
家にいたくなかった。
躾が過ぎると本当に大事なもの見えなくなる』
子どもには、子どもらしくのびのびとした面もあって当然。でも、日頃のマナーはもちろんのこと、少しのことでも厳しく言われてきたママたちは、人の顔色を伺っていた、家にいたくなかった、そして今も自分に自信がない、人にも厳しくなってしまうといった自分の一面を紹介してくれました。
親が叱りながら、子どもに「ありがとう」という言葉は教えられない
子どもがお友達に何かもらったとき、挨拶をしっかり身につけさせたいという気持ちから、「ありがとうは?」「何でちゃんと言えないの!?」と怒りながら言ってしまうこともあるかもしれません。しかし、教育評論家の親野智可等先生はコラムの中で、親が子どもを叱りつけながら、「ありがとう」という言葉を教えることはできないと言っています。
『もちろん、「どうぞ」「ありがとう」「ごめん」「いいよ」などの言葉は、よい人間関係のつくる上でとても大切な言葉です。
「おはよう」「こんにちは」「さようなら」などの言葉もそうです。
親はみんな、こういう言葉を子どもが言えるようにしたいと思っています。
では、そのためにはどうしたらいいのでしょうか?
まずは、親が自らこういう言葉を日頃から使っていることが必要です。
しかも、心から喜んで気持ちよく、です。
よい見本があれば、モデリング効果(※)が働いて、子どもが真似するようになります』
子どもが自ら挨拶が言えるようになるには、親が自ら挨拶をしていると、子どもは真似をするようになるといいます。子どもがもし挨拶ができたら「言えたね」「挨拶できたね」とほめてあげることも大切だそう。その際には、「ありがとうって言ってくれると、こっちもうれしくなるよ」「気持ちよく謝ってくれてうれしい」など、その言葉の価値も一緒に伝えることが大事なようです。こう言われた子どもはきっと、「ママが喜んでくれるから、またこの言葉を使おう」と前向きに考えられますよね。
穏やかに言って聞かせる
何度言ってもなかなかできない子もきっといるはず。でも、親野先生は感情的に叱りつける必要はないと言います。
『その度に同じことを繰り返し言ってあげて、後はできるようになるまで待つことが大事です。
「何度言ったらできるの!」などと言わず、同じことを何度でも繰り返し穏やかに言ってあげてください。
何ごとにおいても言えることですが、時期が来ればそれなりにできるようになります。
果物が熟すのと同じで、子どもの内側で機が熟すときというものがあるのです。
それを待ってあげてください。
何ごとにおいても、子どもの内側で熟していないものは、決して本物にはなりません』
自分のことを振り返っても、大人になれば自然とできることもあるでしょう。社会で学ぶこともあるかもしれません。子どもにはできるまで言い続け、その成長を待つことが大事なようです。
叱りながら伝えると逆効果に
叱りつけて無理やりしつけることは、結局子どもの身につかないと親野先生は言います。
『叱りつけながらやっていると、その本当の価値はわからないまま、「ママに叱られるからやる」という他律的なものになります。
すると、当然、ママがいないときはやらないということになります』
『叱られてばかりの子は、
自己肯定感もボロボロになり、「ぼくはダメだ。どうせできない」と思い込み、ますますできなくなります。
親に対する反発もわいてきて、親の言うことを受け入れられなくなります』
叱り続けるしつけをすることで、子どもの身につかないだけでなく、自己肯定感も育むことができないとのこと。さらに長い目で見れば、親子関係にもヒビが入るかもしれません。子どもにしつけをすることは大切なことですが、ただ厳しくするのではなく、自分がまず見本となること、そしてできないときは怒りながらではなく穏やかに伝え続けることを今日から心がけたいものです。
文・山内ウェンディ 編集・横内みか イラスト・Ponko
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