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死者の国のイメージが変わる?『リメンバー・ミー』の裏側をアニメーター原島朋幸さんに聞きました。

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皆さんは「死者の国」と聞くと、どのようなことを想像しますか? 無数のガイコツが行き交うような、冷たく怖いイメージを持っているのではないでしょうか。

現在好評発売中のディズニー/ピクサー『リメンバー・ミー』MovieNEXでは、ガイコツたちが集う死者の国を舞台に、あたたかな家族愛が描かれています。一体どのような作品なのでしょうか。

『リメンバー・ミー』のあらすじ

『ミュージシャンを夢見るギターの天才少年ミゲル。だが、彼の一族は代々、音楽を禁じられていた。ある日、ミゲルは先祖たちが暮らす“死者の国”に迷い込んでしまった。日の出までに元の世界に戻らないと、ミゲルの体は消えてしまう!そんな彼に手を差し伸べたのは、陽気だけど孤独なガイコツ、ヘクター。やがて二人がたどり着く、ミゲルの一族の驚くべき“秘密”とは?すべての謎を解く鍵は、伝説の歌手が遺した名曲“リメンバー・ミー”に隠されていた……』

筆者も本作を観ました。「怖いもの」であるはずのガイコツは、まるで人間のような表情がありました。体の一部が自由に取り外せたり、胴体がクルクル回転したりといったガイコツのコミカルな動きに、子どもたちは夢中になっていました。筆者が想像していた暗いイメージとは裏腹に「死者の国」はカラフルに彩られていて、心が躍るほど幻想的。またあの世界をじっくり見返したいと思える作品です。

『リメンバー・ミー』で泣いた人、続出!

ママスタコミュニティでも『リメンバー・ミー』を観て「泣いた」というコメントを発見!

『娘が映画で初めて泣いたよ。
私も泣けちゃって2人でタオル取り合いだったよ。音楽もすごく良かった!』

『今日見てきた! ボロ泣きした!
ハンカチティッシュ必須!(笑)』

『すごくおもしろかったし感動した! 涙もろい人は絶対ハンカチ必須だよ。
ちなみに小1の息子も泣いてた。良い映画なのでオススメ』

大人だけでなく、子どもも涙するほどなのだとか。子どもにとっても怖いどころか、心に響く物語なのですね。

そんな感想も寄せられる『リメンバー・ミー』の製作に携わった、アニメーター原島朋幸さんにお話を伺いました。

アニメーターとは、キャラクターや背景などの動きを1枚1枚描く人のことです。現在はCGによる制作が中心となっており、CGで動きをつける人のことをアニメーターと呼ぶこともあります。アニメーション製作の裏側にはどのような工夫が隠されているのでしょうか。

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原島朋幸:2015年3月からカリフォルニア、エメリービルのPixar Animation Studiosでアニメーターとして勤務。『アーロと少年』(2016年3月日本公開)、『ファインディング・ドリー( Finding Dory)』(2016年6月日本公開)の製作に参加。

 

「ガイコツの怖いイメージ」を消すために表現の試行錯誤を繰り返しました

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――「ガイコツ」や「死者の国」と聞くと怖いイメージを持つ人が多いと思いますが、どのような気持ちで作られましたか?
原島さん:ガイコツに怖いイメージを持ってしまうのは僕も同じで、「ガイコツって大丈夫かな? 怖いよなぁ」という気持ちがありました。そのため作品全体では怖く見せないルールがいくつか決められていました。例えばガイコツには鼻が無いので正面から見せるのはNGでした。正面のカットでも少し角度を変えてガイコツの目を強調するように製作されています。
「死者の国」にも怖くない世界観のための工夫があります。色鮮やかなマリーゴールドの橋は最初からアイディアがあったわけではなく、話し合いの中で完成したものです。

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――ほかにもガイコツの表現で工夫されたことはありますか?
原島さん:ガイコツの骨には、実はルールがあります。カリスマミュージシャンであるデラクルスのように現実世界で覚えられているガイコツたちは、頑丈に描かれていて動きもしっかりしています。一方、孤独なヘクターのように現実世界で忘れられていくガイコツたちは、骨が徐々にボロボロになり動きもルーズに表現されています。
現実世界で覚えられているガイコツの動きと、忘れられていくガイコツの動きに注目してみてください。

リー監督は“しぐさ“にこだわりがあります

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――リー・アンクリッチ監督は 緊迫感や危険性は言葉で語らずに、映像で見せることを大切にしていると聞きました。表現において工夫した場面はありましたか?
原島さん:危ない状況を「危ない!」と言葉で言ってしまうことは簡単です。ピクサーでは言葉ではなく、表情や“しぐさ“で状況を表現することを重要視しています。
なかでもリー監督は自然な“しぐさ“にこだわりを持っています。例えば、ペットボトルを右手から左手に持ち替える行動は、意識をしていないけれどついやってしまう“しぐさ“ですよね。そういった何気ない部分を『リメンバー・ミー』では取り入れています。
――リー・アンクリッチ監督とはどのようにやり取りをして製作していくのでしょうか?
原島さん:まずキャラクターの動作イメージをリー監督と共有するところから始まります。リー監督とアニメーターのイメージが違ったときはリー監督と話し合い、出し合ったアイディアの中から良いものを選んでいました。リー監督はエディター(編集者)出身の方ですから映像のペース配分を頭の中で描かれています。アニメーターとしては意見が出しやすいですし、非常にスムーズに仕事ができる環境でした。

お気に入りは物語の秘密に関わる重要なシーンです

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――原島さんのお気に入りのシーンはどこですか?
原島さん:ヘクターがはじめて、生きていた頃を思い返す回想シーンです。このシーンは監督と密に話し合いを重ね、ヘクターの気持ちが移り変わる様子に時間をかけました。
カリスマミュージシャンのデラクルスと、音楽の道を退く決意をしたヘクターの会話は、それまでの立場に逆転が起きます。この物語を大きく動かすシーンでの、ヘクターの表情に注目してほしいです。
ちなみに決意を固めたヘクターがスーツケースを閉めるシーンは、自宅で自分を撮影して表現の参考にしました。

――最後にママスタセレクトの読者に向けてメッセージをお願いします
原島さん:
ガイコツがたくさん出てきますが、怖くありません(笑)。カラフルな世界観なので観ていて楽しんでいただけると思います。家族の大切さ、繋がりを改めて実感する作品です。観るたびに発見がある作品でもありますので、細かい部分に注目して観てくださると嬉しいです。

取材中、原島さんは各シーンの裏側を真剣に話してくださいました。ジェスチャーを交えながら伝えてくださる様子が特に印象的です。作り手の工夫を探しながら観ることで、更に『リメンバー・ミー』を楽しむことができるのではないでしょうか。

はじめての方も二回目の方もぜひ、お家で家族とじっくり観てみてくださいね。

取材、文・編集部

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© 2018 Disney/Pixar
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・『リメンバー・ミー』MovieNEX 未公開シーン:幻のオープニング

・『リメンバー・ミー」MovieNEX 未公開シーン:ミゲル一家の大合唱

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