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子どもが学校に行きたがらないとき、親はどう対処したらいい?

「子どもが学校に行きたがらない」。こんなとき、親としてはどう対処するのがいいのでしょうか。「ムリに行かせようとしたり、原因を探ろうとしてもなかなか解決しません。こんなときは、対話を通して子どもの心の底の本音を引き出すことから始める必要があります」と話すのは、慶應義塾大学大学院教授で、「幸福学」を研究する前野隆司先生です。
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小学校3年生の娘が夏休み後から学校に行かなくなりました

あるママのお悩みです。

『小学校3年生の娘は、GW明けごろから学校に行きたくないと言い出し、夏休み後にはまったく行かなくなりました。学校の先生やママ友にも相談していますが、なかなか最善策が見つかりません。どうすればよいのでしょうか』

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子どもが学校に行きたがらないとなったら、親としてはすごく心配になります。「友達にいじめられてつらい思いをしているのかな?」「勉強についていけない?」「クラスに乱暴な子がいるのでは?」と、あれこれ原因を探って、なんとか解決方法を見つけ出そうとしてしまいます。でも、これは親の勝手な思い込みかもしれないのです。

『親は、きっといじめられたから学校に行きたくないんだろうと解釈します。しかし、実際に子どもが学校に行きたくないと感じている原因は、毎日忙しくしているお母さんともっと触れ合いたいと思っているのかもしれません。あるいは、何かやりたいことを探しているのかもしれません』(前野先生)

「学校にいけない」のではなく「行かないことを選択した」と考えてみる

こんなとき、親としては子どもにどのように接したらいいのでしょうか?

『子ども自身、なんで学校に行きたくないのか気づいてないことも少なくありません。そんなときは、対話を通して子どもの心の底の本音を引き出すことからはじめる必要があります。
ここで重要なことは、子どもは学校に行けないのではなく、(自らの意思で)行かないことを選んでいるということ。まずは、親自身が学校に行かせなければいけないという思い込みを手放してみること。行かないことを責めるよりも、行かないんだなというように、ただ事実を受け入れてみましょう。ありのままに』(前野先生)

親の在り方が変わると子どもも少しずつ変化してくる

そうはいっても、親としては「このまま不登校になって引きこもりになるんじゃないか」「そしたらこの子の人生はどうなるの!?」と心配に思ってしまいますよね。

『人生100年時代。たった1年や2年学校に行かなかったことなんて大したことではありません。子どもの人生を長いスパンでとらえ、何らかの理由で必要だから、こうしているんだと子どもを信じてみましょう。
これらを前提にすると、親のできることは、子どもの話を聞く環境を作ることと、気分転換をさせること。もし、親と一緒にどこかに行くことで気分転換できるのなら、海や山など自然に触れに行くのもいいですし、行きたくない子はいかなくてもいい。それぞれ違います。ああ、なるほど。この子はこういう生き方なのかと開き直って信じると、少しずつ子どもは変わってきます。つまり、親の在り方が変わると、子どもの在り方も少しずつ変化してくるのです。相手を変えたければ、まず自分が変われ、です』(前野先生)。

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親としては勇気づけられる言葉ですね。ちなみに、過去に引きこもった経験のある人の多くは、一年くらい誰にも会わない生活をしていると、さすがに飽きて人に会いたいと思うようになったといいます。

「人とは違う貴重な経験ができた」と思えるときがくる

先の見えない1年は、非常に長く重い時間に感じられるかもしれませんが、あとで振り返ってみたら「人とは違う貴重な経験ができた」と思えるかもしれません。

『このような経験をした人は、間違いなく強く魅力的で、他人の苦しみがわかる人になるのです』(前野先生)

前野先生が書かれた著書『「幸福学」が明らかにした幸せな人生を送る子どもの育て方』では、子どもの話に耳を傾ける「傾聴・対話トレーニング」と、つい落ち込みがちな気分を改善する「ポジティブになるワーク」を紹介しています。子育てをしていて「子どもの話をもっとしっかり聞いてあげたい」「行き詰ってるな」と感じたとき、やってみるといいかもしれません。
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タイトル:『「幸福学」が明らかにした幸せな人生を送る子どもの育て方』
著者:前野隆司
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
価格:1620円(税込)

文・長瀬由利子 編集・山内ウェンディ イラスト・Ponko

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