「肩をたたいてくれない?」で繋がっていく恐怖に気を付けて…… #身の毛もよだつ恐怖の体験
ママスタコミュニティに寄せられた、あるママの実体験の怖い話。音楽好きの投稿者のママが、仕事帰りに友人のライブに訪れるところから物語ははじまります。
会場内に響き渡るベースやドラムの爆音に合わせた、叫びきるような歌声。自らも一緒になってノリを合わせることで、仕事のストレスを発散していた投稿者のママの耳元でささやくこの声はいったい……? そしてはじまる恐怖の連鎖……。身の毛がよだつ恐怖の体験、ぜひ人ごみの中を避けてお読みください。
※怖い話が苦手な方は読まないでくださいね。
この声、この重み……いったいなに?
これは、投稿者のママがまだ結婚する前のお話です。
ロックバンドを組んでいた友人のライブは、はじまった瞬間から地面が揺れるような感覚に陥る程のド迫力。すでに何人かの固定客もついており、もちろん投稿者のママも友人のバンドのファンのひとりでした。
足しげく通うことで常連客とも顔見知りになり、「音楽」という共通の趣味を通してライブハウスではたくさんの友達もでき、楽しい日々を送っていた投稿者のママ。そして‟今日”も、待ちにまった友人のライブがはじまります。
のっけから飛ばしまくる音に身を任せ、飛び跳ねながら全身で音楽を体感していたそんなとき、なにやら耳元に冷たい空気が流れることに気づきます。
「暑すぎて冷房が強まったかな……?」と頭の片隅で考えていると、爆音に支配されていて聞こえるはずのない「人の声」が聴こえてきます。しかも、それは「話し声」というよりも「ささやき声」。跳ね上がる音の空気とは真逆の、止まったままの冷たい空気がその声を運びます。
「……ボソボソボソ……」
「え? なに?」と振り向く投稿者のママでしたが、周りはいつもの通りライブを楽しんでいる人たちばかり。投稿者のママに話しかけた様子のある人はひとりもいません。
「気のせいかな……」と、身体の向きをステージに戻そうとしたその時、
「…ズシン……」
と、何かが肩に乗りかかる様な感覚がしました。
「なんだろう……。なんとなく“重い”……」
肩から背中にかけてのしかかる重みに身動きがとりづらくなってしまった投稿者のママは、もはやライブどころではありません。この「重み」……。何だか嫌な予感がします。
「肩をたたいて」とお願い。すると……
友人のライブが終わり、周りの友達が談笑しているところに、投稿者のママは友人Aにお願いをします。
「ねぇ……肩をたたいてくれない?」
何かが憑いているように「重たい」肩。たたき払ってもらうことで、軽くなるのでは? なんて安易な考えでしたが、何の疑問ももたなかった友人Aはまるで布団のほこりを払うかのように投稿者のママの肩を「パン! パン!」とたたきます。すると不思議なことに、さっきまでの「重たい」感じは消え、何ごともなかったかのように動くことができる投稿者のママ。
「やっぱり気のせいだったかな」と、狐につままれたような気分になりましたが、後日、恐ろしいことを耳にするのです……。
繋がる恐怖の連鎖。次はだれの身に……?
再び訪れた友人のライブの日。あれ以降、いつもと同じ日常を送っていた投稿者のママは、ライブ会場に入るや否や、別の友人に「Aに謝った方が良いよ」と言われます。
何のことだかさっぱり分かりませんでしたが、Aに会った瞬間に恐ろしい話を聞くのです。
あの日、投稿者のママの背中をたたいた友人Aは、その直後から何となく背中が重たくなったといいます。それでも必死に「気のせいかな」と思い、帰宅後その嫌な感じを振り切るかのように眠りにつくことに……。すると今までなったことのない金縛りが襲ってきたのだそう。そして耳元に訪れる冷たい空気と小さなささやき声……
「あ……わ……せ……て……あ……げ……る……」
「誰?」と思い、金縛りにあいながらも必死に耳元の方へ首を動かした友人Aが見たものは……!
鎮座していた女性が消える瞬間でした。
あの時、投稿者のママの肩に憑いた「何か」は、たたいてくれた友人Aの元へ移っていったのです。そして、そんな友人Aも誰かに自分の肩をたたいてもらうことで、その恐怖から逃れたのだそう。
たたくことで、繋がっていく恐怖の連鎖。もしかしたら、あなたも、いつか言われるかもしれません。
「ねぇ、肩をたたいてくれない?」
どうか、お気をつけて。
文・渡辺多絵 編集・しのむ