旅館選びは慎重に……。温泉に沈む恐怖の塊とは #身の毛もよだつ恐怖の体験
ママスタセレクトに寄せられた、あるママ実体験の怖い話。
友人と東北に旅行に来ていた投稿者のママが、旅の疲れを癒そうと宿泊予定の旅館に入るところから物語ははじまります。
なぜだか投稿者のママにだけ感じる臭い……。そして温泉で見たものの正体とは一体……?
身の毛もよだつ恐怖の体験、お風呂に入っている方はあがってから読むことをおススメします。
※怖い話が苦手な方は読まないでくださいね。
古びた旅館。変な臭いがするのは私だけ……?
友人と東北地方を旅行中の投稿者のママは、その日は会津で白虎隊の歴史に触れていたのだそう。壮大な自然と歴史の趣にすっかり心奪われ、疲れ果てて旅館へ到着したのはもう日も暮れる頃でした。
良く言えば「伝統的な」、悪く言ってしまえば「老朽」しているその建物に、あまり良い印象がなかったという投稿者のママ。中に入ると、時折感じる「不快な臭い」も、その一因でした。
「なんか変な臭いがしない? カビのような……生ごみのような……」
しかし、友人はそんな臭いを感じることはないと言います。「気のせいかな?」と、そのときはあまり気に留めることはありませんでした。
なんとなく嫌な雰囲気を感じた旅館でしたが、友人と会話に花を咲かせているとだんだん気にならなくなり、そろそろ温泉に行こうかと友人を誘います。友人はもう少し部屋で休んでからにするというので、投稿者のママはひとりで温泉に向かうことに……。
ひとりで温泉へ。そこで見たものとは……?
投稿者のママ以外の利用者がなかった温泉は、貸し切り状態。「なんて贅沢!」と、さっきまでの嫌な気分はすっかり湯船に溶け込み、広い温泉をひとりでのびのび満喫します。
一日歩き回った足をのばし、心身ともに温泉に浸かって疲れを癒していると、内風呂に大きな窓が開いていることに気づきます。そこから聴こえてくるせせらぎの音。
「下に川でもあるのかな?」
窓に近づこうとすると……窓のすぐ外側を、釣り竿を担いだ男の人が俯きながら歩く姿が目に入ります。
「のぞき?」と、驚いた投稿者のママ。警察に連絡しようと男の特徴をとらるために窓辺に向かうと、なんと、窓の外は断崖絶壁! 5~6メートル下に川が流れているので、とても人が歩くスペースなんてありません。そして男の人に目を戻すといつのまにかいなくなっていました。
「あれ? 見間違いかな……?」
しばらく湯船につかりながらボーっと考えていると、なんだか足首にチラチラあたるものがあります。気持ち悪くなったので場所を移動しますが、それでもなお足首にあたる「なにか」。
「なんだろう……?」と思い、足に手を伸ばしてみると……
湯船で足をくすぐる正体とは……?
掴んだ先で揺れる塊の正体は、大きな髪の毛の塊だったのです。
「わぁっ!!!」
思わず手を払いのけた投稿者のママは、足元で揺れる髪の毛の固まりにますます気持ち悪くなってしまいました。
「湯船の中に髪の毛の塊なんて……掃除が行き届いてないんじゃない?」なんて若干の怒りも感じながらお風呂をあがろうとしますが、なぜでしょう……髪の毛の塊から目を離すことができません……。
湯船の中でゆらゆら動く髪の毛の塊……。
右へ左へ、ゆらゆら泳ぐように揺れ、湯船の中で、ゆっくり……ゆっくり……角度を変えるその塊……。
投稿者のママが見たもの……その髪の毛の塊の正体……それは……生首だったのです。
「!!!!」
湯船の中から投稿者のママを見つめる、ざんばら頭の生首。
声に出すこともできない恐怖が身体を走り、身を固めるしかできなかった投稿者のママ。そして気づきます。
「この臭い……」
そう、旅館に入ったときから感じていた「臭い」の正体とは、血の臭いだったのです。
そして次第にガタガタ震えだす身体。濡れたまま無理矢理浴衣を着て、急いで部屋に戻りました。もう何をどう言って良いのかも分からず、とにかく友人に「この旅館を出よう! 早く! 早くっ!!」と叫びます。
投稿者のママのあまりの剣幕に、友人もただ事ではないと思ったのでしょう。ふたりはすぐに旅館を後にしました。
それから程なくして、その旅館は閉鎖されたとのこと。理由は「旅館の経営者が亡くなったから」だそうですが、果たして真相は……? そして投稿者のママを見つめた、湯船に沈む生首が意味したものとは……? 謎は深まるばかりです。
楽しい旅の前に、旅館選びはくれぐれも慎重に……。