作り置きやお弁当にもリスクが!?今すぐできる食中毒予防対策とは?
気温や湿度が高まる梅雨の時期は、食中毒のリスクが高まる時期でもあります。家族の健康を守るママにとっては、毎日の食事作りでも気をつけたいもの。今回は、食中毒を防ぐためのポイントや、プロが教える食材の保存方法についてご紹介します。
梅雨の時期からリスクが高まる食中毒
食中毒とは、食中毒を起こす元となる細菌やウイルスなどがついた食べ物を食べることで、下痢や腹痛、発熱、嘔吐などの症状出る病気のこと。食中毒を引き起こす細菌の多くは高温多湿を好むので、梅雨の時期から9月ごろまでその危険度はグンと高まります。この期間はしっかりとした予防策を取りたいですね。
食中毒予防には「つけない」「増やさない」「やっつける」
細菌を体内に侵入させないための大原則は、「つけない」「増やさない」「やっつける」の3つです。
手にはさまざまな雑菌が付いています。食中毒の原因菌やウイルスを食べ物につけないように、調理を始める前や生の肉や魚、卵などを取り扱う前後、食卓に着く前などには必ず手を洗いましょう。
また、細菌の多くは10℃以下で増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下で増殖が止まります。食べ物に付着した菌を増やさないためには、購入後できるだけ早めに冷蔵庫や冷凍庫に入れ、低温で保存することがポイントです。
ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。肉や魚、野菜なども加熱して食べれば安全。特に肉料理は中心部を75℃で1分以上加熱すると良いようです。ふきんやまな板、包丁などの調理器具にも、細菌やウイルスが付着するため、使用後の調理器具は洗剤でよく洗ってから、熱湯をかけて殺菌しましょう。
作り置きやお弁当も危ない?
食中毒の多くは飲食店で発生していますが、実は全体の10%は家庭内で発生しているとのこと。最近は働くママも増え、あらかじめ用意する方も多い作り置きですが、この時期は注意が必要です。 また、調理から食べるまでに時間を置くことになるお弁当もリスクが潜んでいます。梅雨の時期の保存方法について、栄養士の小田真規子先生に教えていただきました。
お肉の保存時の一手間が大切
食中毒を予防するには、食品を手早く冷蔵冷凍し、また解凍時間を短くすることがポイント。小田先生によると、お肉は重ねず平らにして袋に入れることが大切なのだそうです。こうすると表面積が大きくなるので、冷凍・解凍を早く行うことができるのだとか。
作業するときは洗った清潔な手か、または、食品用手袋を利用するといいでしょう。また、クッキングペーパーにお肉を包んで、ジッパー付き保存バッグに入れる、といったひと手間で解凍と同時にトリップ取りもできるのでオススメなのだそう。
室温での自然解凍は細菌の増殖リスクが高まるため、電子レンジ解凍がオススメなのですが、 電子レンジ解凍は、解凍ムラやドリップが出てくるなど意外と難しいですよね。 そこで、「リード冷凍も冷蔵も新鮮保存バッグ」のような高密閉の保存バッグを使って保存し、保存バックに入れたまま流水解凍するのが良いそうです。食材に合わせた適正なサイズの保存バッグをえらぶと、空気中の菌を取り込むリスクを抑えることができます。
料理をアツアツのまま、保存容器に入れるのはキケン
作り置きを作る際に、料理を作って熱いまま保存容器に入れると、保存容器内に水滴が発生し菌を増殖させることになりかねません。料理を作り終わったら、外気から守るためにふんわりラップをかけ、しっかりと冷ましてから密閉することが大切です。また、容器内の空間を極力減らすため、中味をスカスカにさせないことも重要なのだそう。 取り分ける際も端からとっていき、容器の中でかき混ぜないようにするのもポイントです。
作り置きを再加熱する際には、100°Cまで温度を上げることが大切です。小田先生によると、表面がクツクツするだけでは、一部分の温度が高くなっているだけなので十分ではなく、かき混ぜて全体を煮立たせることが大切なのだそう。味が濃くなるのがイヤな場合は、静菌作用のあるお酢やお酒を入れて再沸騰させると良いでしょう。
お弁当の食中毒予防で見落としがちなのは「ご飯」
お弁当の食中毒予防で見落としがちなのが、「ご飯」なのだそう。ご飯をお弁当に詰めて冷ましながら、他のおかず作りに取り掛かるようにしましょう。ご飯の上には梅干しを刻んで散りばめたり、炊飯時に、梅干を一粒入れて炊くのも効果的。おかずを詰める際は、なるべく菌が入る隙間を減らし菌が動かないようにするため、ぎっしりと詰めることも大切です。
小田先生のオススメは、お酢:水=1:1の水溶液を作り、その水溶液に浸したクッキングペーパーで、お弁当箱を拭いてから料理を詰めること。お酢の静菌作用により菌の増殖を抑える効果が期待できるそうです。
梅雨の時期におすすめのメニュー、避けたいメニュー
梅雨から夏にかけて発生しやすい食中毒の菌の多くは塩分や酸味を嫌うので、味を濃いめにしたり、酸味を活かした味がオススメです。
鶏の唐揚は、しっかり火を通した揚げ物なので安心なだけでなく、レモンがけ、甘酢あんかけ、トマト煮など、酸味を活かした味付けの工夫ができるのでいいですね。
夏に向け食べたくなるカレーは、一回では食べきることができず、何日かに分けて食べることもありますよね。でんぷん質が多いじゃがいもを使うとさらに食中毒リスクが高まるので、じゃがいもを外したり、具をひき肉と玉ねぎだけのキーマカレーなどにする工夫をしてみてはいかがでしょうか?
ジメジメとした梅雨の時期には、食中毒について注意しながら食事作りをしていきたいですね。ぜひ参考になさってください。
文・山内ウェンディ 編集・しらたまよ