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小学校で栽培したジャガイモで食中毒、なぜ起こりやすい?


広島県安芸高田市の小学校で、校内の畑で収穫したジャガイモによる食中毒が発生
教師・児童ら17人がジャガイモをゆでて食べたところ、約1時間後に児童9人が嘔吐などの症状を訴えました。児童たちは病院に搬送されましたが、全員軽症だということです。
ジャガイモは、1個目は担任が皮をむいていたものの、2個目からはむかずに食べた児童もいるとのこと。ジャガイモの芽や皮に含まれる「ソラニン」中毒の可能性があるとみられています。

食中毒の原因は、ジャガイモの芽や皮に含まれる「ソラニン」や「チャコニン」

ジャガイモといえば、お子さんがいるご家庭では、食卓にのぼることも多いおなじみの野菜ですよね。
しかしジャガイモの芽や皮には「ソラニン」や「チャコニン」などのアルカロイドと呼ばれる有害成分が含まれており、それらを多量に摂取することで、おう吐、下痢、腹痛、めまい、動悸、耳鳴り、意識障害、けいれん、呼吸困難といった食中毒の症状が引き起こされることがあるということは、意外と知られていません。こうした症状は、早ければ食後数分、遅ければ数日後に出ることもあり、最悪、死に至るケースもあるようです。

事実、ジャガイモによる食中毒は毎年のように全国で発生しており、しかもそのほとんどが学校施設で起こっているものなんだそう。2010年にも東京都内の中学校で、ゆでたジャガイモを食べた生徒ら29名中9人に食中毒の症状が出るという事例が見られました。
課外授業の一環として、菜園でジャガイモを栽培している小学校や中学校は多いですよね。しかしなぜ、学校施設で育てたジャガイモで食中毒が起こりやすくなってしまうのでしょう?

どうして学校で育てたジャガイモは食中毒が起こりやすい?

内閣府の食品安全委員会によれば、農家が生産し、お店で販売されているジャガイモの場合、食中毒を起こすほどの量の有害物質が含まれていることは、まずないそう。

食中毒の原因となる有害物質は、小さなジャガイモや、日光を浴び、皮の部分が緑色になってしまったジャガイモに含まれていることが多いのですが、学校の菜園などで栽培したジャガイモは、未成熟で小さなものが多く、また、土がしっかりとかぶせられていないためにイモ部分が地面から出てしまい、日光を浴びることで有毒物質が増えてしまっている可能性が高いため、注意が必要なようです。

家庭でも気をつけたい! ジャガイモを安全に食べるための注意点

ジャガイモの食中毒は、学校だけではなく、家庭の菜園などで栽培したものでも起こる可能性があります。また、スーパーで買ったものであっても、できる限り安全な調理方法をとりたいもの。

ここで、「ジャガイモを安全に食べるための注意点」を確認しておきましょう。

■安全に食べるためのポイント
・芽が出ていたり緑色になったところがあるジャガイモは、買わない。
・ジャガイモは、暗くて涼しい場所に保管する。
・買ったジャガイモ、収穫したジャガイモは、長期間保存しないで、早めに食べる。
・ジャガイモに芽や緑色のところがあったら、皮を厚めにむいて取り除く。
・未熟な小型のイモを多量に食べない(特に皮ごと食べるのは避ける)。

■学校菜園や家庭菜園で栽培する場合は
・ジャガイモ(いも部分)が地面から外に出ないよう、きちんと土寄せをする。
・十分に熟して大きくなったジャガイモを収穫する。
・収穫するときは、ジャガイモに傷を付けないようにする。
・収穫したジャガイモは、暗くて涼しい場所に保管し、日光にあてないようにする。(ジャガイモを乾かすために長時間太陽に当てないようにする。)
・収穫したジャガイモは、早めに食べる。
(いずれも内閣府食品安全委員会ホームページより)


ちなみに、ソラニンやチャコニンは熱によって分解しないので、ジャガイモをゆでても、その量は減りません。緑色だけど加熱すれば大丈夫、と思ってはいけないということですね。

さらに、ジャガイモを揚げたり炒めたり焼いたり、高温で調理をすると、ジャガイモに含まれる糖とアミノ酸の一部が反応して、アクリルアミドという物質が生成。これは、摂取量が多くなると、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
ジャガイモを冷蔵庫で保存すると、ジャガイモを高温で調理したとき、アクリルアミドの生成量が増える可能性があるそうです。ジャガイモは冷蔵庫には入れず、冷暗所で保存するようにしましょう。(なお、冷蔵保存しただけのジャガイモはアクリルアミドを含んでいません。また、冷蔵保存したジャガイモを煮たり蒸したりしてもアクリルアミドはできません)。

「育てて食べる」体験だけではなく、食の安全を守るためのしっかりとした知識を

インターネット上では、今回の事件を受けて、「なぜ小学校で、食中毒のリスクが高いジャガイモをわざわざ栽培させることが恒例となっているのか?」「教員はジャガイモの芽や皮に有害成分が含まれることを知らなかったのか?」という疑問の声も上がっています。

「学校」という場が、安心して子どもたちを預けられる場所であることを望むのはもちろんですが、野菜などを栽培する課外授業は、自分たちが食べる野菜を自ら育て、収穫する体験を通して、命の大切さや自然の仕組みを知ってもらおう、という目的があるはず。
ならば生きた食材を口にするということは、ときにリスクも伴うこと、それを防ぐためにどのような知識を身につけなければならないのかというところも、一緒に学び、考える機会がしっかりと与えられてほしいですね。

文・伊東杏奈 イラスト・んぎまむ

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