子どもの個性を大切にしたくなる1冊!わが子を出産したときの気持ちがよみがえる 絵本『かみさまからのおくりもの』 #ママの悩みに寄り添う絵本
わが子を出産し、対面を果たしたときは胸がいっぱいになり、感動したという声を聞きます。しかし産後もゆっくり体を休める間もなく赤ちゃんのお世話が始まり、とにかく毎日一生懸命にわが子と向き合っているというママもいらっしゃるのではないでしょうか。はじめは無事に生まれてきてくれたことだけを喜んでいたのに、子どもの成長とともに同じ年齢の子どもと比べてしまったり、出先でのわが子のわんぱくな行動に頭を悩ませたりすることもありますよね。毎日わが子の成長に向き合うママたちにある絵本をご紹介します。
絵本『かみさまからのおくりもの』とはどんな絵本?
『あかちゃんが うまれるとき かみさまは ひとりひとりの
あかちゃんに おくりものを くださいます。
かみさまからの おくりものは てんしが はこんでくるのです』
絵本の書き出しは、このように始まります。病院では5人の赤ちゃんが生まれ、それぞれに天使から「よくわらう」「ちからもち」「うたがすき」「よくたべる」「やさしい」のおくりものをもらい、成長していく様子が描かれています。
『かみさまからのおくりもの』
■著者 ひぐち みちこ
■価格 1,200円+税
■発行所 株式会社こぐま社
絵本『かみさまからのおくりもの』は著者の実体験から生まれた1冊
絵本の最後には、「娘と私と手作り絵本 かみさまからのおくりもの」という、絵本ができあがるまでのエピソードが書かれています。著者のひぐちみちこさんは、娘さんが健やかに成長する様子を見て、毎日楽しく過ごされていたそうです。しかし娘さんが幼稚園に入園したころ、他の子どもと比べてしまい「うちの子はダメだ! なんとかしないと…… 」という思いから、目をつりあげて叱ってばかりいたとか。エピソードには著者が娘さんを叱った結果は無残なものだった、と当時を振り返っていらっしゃいます。
著者にとって娘さんが幼稚園に入園してから他の子どもを比べてしまい叱ってしまった経験は、子どもが本来持っている個性を壊してはならないと気づかせてくれるきっかけとなりました。他の子どもと違うところこそが“大切なこと”だと気づいた著者は、絵本『かみさまからのおくりもの』を娘さんのために手作りしたというのです。娘さんは手作りしてくれた絵本をとても気に入ってくれたそうです。
わが子と私にリンクするエピソードにハッとしました
私が『かみさまからのおくりもの』をわが子に読み聞かせしたときは、「かみさまからどんなおくりものをもらったのかな」と子どもと話しながら楽しんだ記憶があります。手作り絵本というだけあって絵で描かれたものではなく、色画用紙や和紙を使って手作りされた、温かみのある1冊で私自身もとても気に入っていました。
著者であるひぐちみちこさんが娘さんと他の子どもを比べて叱ってしまったという体験を私自身も経験し、少なからず思い当たる節があり、ハッとさせられました。他の子ができていることがわが子にはできない、なぜだろう…… と思い、イライラしたことがあったからです。今思うと、他の子と比べても何も変わらないということくらい容易に想像がつくのですが、あのころは子育てに対して気持ちの余裕さえなかったと反省しました。私自身もこの絵本に出会って、考え方が少し変わった気がします。大変な思いで出産し、新たな気持ちを抱いたあの日を忘れずに、わが子の個性を大切にしていけるママでいようと気づかせてもらうことができました。
子育て中は毎日必死で、気持ちの余裕がないこともあります。すべてが子どもの個性というのは難しいことですが、ときには「かみさまからのおくりものかもしれない」と寛容な心でわが子を見守ることも必要なのかもしれませんね。
文・藤まゆ花 編集・横内みか