「一時保育」はリフレッシュで預けてはいけない?実際に利用してわかった「4つの壁」とは
一時保育とは、保育所などを利用していない家庭で一時的に子どもを預かってもらうことです。家庭での保育が難しくなったときや、保護者の支援のために利用できるよう、国の事業としても進められています。筆者はこれまで以前住んでいたA市、実家のあるB市、そして現在住んでいるC市において認可保育園の一時保育を利用しました。さらに認可外保育園も1か所利用したため、併せて4か所の保育園で利用した経験があります。今回は、その経験をもとに一時保育についてご紹介します。またこの記事においては、幼稚園や保育園に通っていない乳幼児を、保育園、幼稚園、認定こども園などに預ける場合について扱うこととします。
「一時保育」を利用する理由は人によってさまざま
一時保育を利用している人はどのような理由で子どもを預けているのでしょうか? ママスタコミュニティの投稿にも一時保育を利用しているママの声がありました。
『年子なので、息抜きに2人を週1で預けています。年子なので夫、両親に2人預けるのは難しいので、下の子が1歳過ぎてから一時保育利用しました』
『私は一時保育に預けて仕事してる』
『上の子の行事に連れて行くのが大変だし、上の子に集中してあげたくて預けたことがある』
ママたちはさまざまな理由から一時保育の必要性を感じて、子どもを預けているということがわかります。筆者自身は、母親の介護と自分の仕事などの理由で、次男が1歳~2歳の現在にかけて一時保育を利用してきました。4つの園でそれぞれ手続きから慣らし保育、通園まで経験してきましたが、その工程は、たやすいものではありませんでした。
一時保育利用に立ちふさがる「4つの壁」
これまで一時保育を利用してきて、特に大変だと感じたことは以下の通りです。
①金銭的な負担
利用する地域によって、認可保育園(※1)の一時保育の金額はさまざまです。筆者が利用した自治体の保育園では、地域や子どもの年齢によって金額にばらつきはありますが、1日あたり2000円から3000円ほどかかりました。現在週に2回預けているため月々の出費は約2万円となり、仕事の収入から差し引くと、かなり大きな出費です。認可外の場合は、金銭的な負担がより重く、利用した保育園に1日預けて1万円以上支払ったこともあります。母親の病状が悪かったため、一時的なものと覚悟して何とか支払いましたが、継続しての利用は検討さえできないと感じました。
②予約の取りづらさ
自治体によって預けられる基準には違いがありますが、認可保育園の一時保育については、非定型保育と緊急保育、そして私的理由(リフレッシュなど)の3つがあります。私の場合、B市では母の介護で緊急保育、C市では仕事のため非定型保育という形を取れたのですが、A市では私的理由で希望したため緊急性がないと判断されて、利用登録するまでしばらく順番待ちをしなければなりませんでした。また登録後も毎月予約開始の日時に電話をかけて翌月分の予約をとるのですが、なかなか電話がつながらず、希望日がすべて定員になってしまったこともあります。
ママスタコミュニティでも、同じような経験を投稿しているママがいました。
『私が利用している公立保育園はリフレッシュ預かりは1歳まで2歳からは通院とかじゃないとダメ』
『うちの市や近隣の市は5年前までリフレッシュって項目あったけど、待機が多くて仕事以外ではやむを得ない理由じゃないと預かってもらえなくなった』
現在利用しているC市の保育園でも、リフレッシュでの利用は断っているという話を聞きました。なかなか自分が希望する形で利用するのが難しいのが現状のようです。
③利用までに手間がかかる
一時保育の窓口はそれぞれの保育園なので、利用できるかどうか問い合わせるだけでもかなり苦労しました。自宅や実家から通える保育園をピックアップしてから、空き状況の確認などのやり取りを保育園としなければなりません。中には、電話をする時間を子どもたちのお昼寝中などに指定されることもあり、実際に預かってもらうまでにかかる手間はかなりのものでした。
④毎日通わないので慣れるまでに時間がかかる
ママとこれまでずっと一緒だったのだから、保育園の通い始めは大泣きしたという子も多いでしょう。それが一時保育は継続して通わないので、通い始めが何度も繰り返されてしまうような状況になります。筆者の次男も、現在一時保育を週に2回利用しているのですが、人見知りではないのに笑顔でバイバイできるまでに約3か月もかかりました。おそらく、毎日通っていたらこんなに長くかかってはいなかったと思います。
一時保育はリフレッシュで利用してはいけないのか
リフレッシュでは利用できないという声もありましたが、中には逆に預けることに抵抗があるという意見もママたちから寄せられていました。
『うちの子3歳の時、一時保育に預けようと思ったら、お母さんどこ行くの?って切なく聞かれて断念したことある』
『自分のときのことを考えたら、人に預けるのは心配だったし、何より赤ちゃんと離れたくなかったな。数時間離れていたら心配ですぐ帰りたくなると思う。旦那に預けて美容院とか、実母に預けて買い物とかはあったけど、月に1~2回、2~3時間くらいで充分だった』
一方で、このような意見もあります。
『市の保育園に一時保育で預けたことあります。両家の両親も遠方で主人も出張ばかりなので預けられないのでとても息抜きになりました』
『数時間でも離れたら疲れや寝不足で見失いそうになってた愛しさを再認識できるし、赤ちゃんにも良い刺激だと思う』
『一時保育のおかげで大分育児に余裕が持てるようになりました』
一時預かり実施要綱には「育児疲れによる保護者の心理的・身体的負担を軽減するための支援が必要とされている」という記載もあります。ママたちを支援するための仕組みなので、もし空きがあって、ママが希望すれば、堂々とリフレッシュに利用してもいいのではないでしょうか。
仕事や息抜きなど、ママたちが一時保育を利用したいと思う理由は様々です。筆者自身、利用にあたっては大変なこともたくさんありましたが、今安心して子どもを預けられる場所があることが、自分自身の精神的な安定にも繋がっていると日々感じます。また、保育園で成長して帰ってくる子どもの姿や、お迎えのときに感じる子どもへの愛おしさは、何にも替えがたいものだと思います。信頼できる預け先が見つかったら、悩むよりも思い切って預けてみてもいいのかもしれません。ぜひ選択肢のひとつに検討してみてくださいね。
文・高村由佳 イラスト・んぎまむ