平均値じゃなくても大丈夫!「発達障害」の子どもの伸ばし方とは【衆議院議員・下村博文】
全国の公立小中学校で、発達障害により「通級指導」を受けている子どもたちは現在9万人以上いるといわれています。発達障害の子どもの親としては「学校の授業についていけるかな」「苦手な部分を克服させないと」とあれこれ心配になると思います。
これに対して「発達障害だからといって基本的な部分が劣っているわけではない。できないところを無理にやらせようとするよりも長所を伸ばしていくことが大切です」と語るのは、元文部科学大臣で、教育再生大臣も兼任した下村博文先生。「発達障害の子どもの伸ばし方」についてお話を伺いました。
発達障害があっても「基本的な能力」が劣っているとは限らない
今でこそ「発達障害」という名前がついていますが、昔は世間では「ちょっとかわったところがある子」という程度の認識だったのです。障害ではなく個性だと思われていたので、あまり気にしていなかったと思います。最近は、小学校に上がる前の就学時検診などもあり、支援が必要な子に対してサポートができるようになってきています。
発達障害というと、基本的な能力が劣っているのではないか、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、まったくそんなことありません。もちろん出来ることと出来ないことの差があるケースもあります。ただその場合は、その子の長所を生かせばいいだけの話です。
平均的にできるよりも「突き抜けた力」があれば大丈夫
日本のお母さんは、子どもの能力は全部バランスよくできなければいけないと思いがちです。しかし、仕事をする上では必ずしも全て平均的にできることが必要ではありません。優れた能力(長所)を活かしていけばそれで食っていけるのです。学校においても、全ての能力が平均してできなければいけないというわけではないのです。
どんな職業もそうですが、全ての能力がバランスよくとれていたとしたら、逆にいえば、ある部分で突き抜けた活躍をすることは難しいかもしれません。ある部分がマイナスだとしても、マイナスをクリアするほどのプラスの部分があれば、十分その人は世の中に貢献しながら、自分のやりがいを持って生きていくことができます。
すべての能力を平均化する発想自体が間違いだと思います。だから発達障害があったとしても、マイナスの部分を矯正しようとするのではなく、その子の持っている良い部分を伸ばしてあげたほうが夢を実現するのに近道であり、それによって個性が際立つのだと思います。
取材、文・長瀬由利子 編集・北川麻耶