見知らぬ土地の育児 不安なママが「頑張ろう」と思えた一言とは #あの人に今ありがとう
日々、正解のない子育てに奮闘していると、ときにはどうしても辛くて逃げ出したくなったり、くじけそうになったりしてしまうこともありますよね。そんなとき、誰かに優しくしてもらえたり、心がホッと軽くなるような一言をかけてもらえると、この上なく救われるでしょう。
今回ご紹介するのは思いがけない相手から元気をもらったママたちの、心温まるエピソードです。
あなたは誰かに、心の支えとなるような言葉をかけてもらった経験がありますか?
「子どもは泣くのが当たり前」と言ってくれたブラジル人のおじさん
『一人目を出産した当時住んでいたアパートは単身の方が多くて、子どもがいる家は同じフロアで自分のところだけでした。 出産後慣れない育児と夜泣きに悩んでいたある夜、隣のブラジル人のおじさんがとてもおおきな声で「うるさい!」と叫びました。 真夏で暑かったのですが、そっと窓を閉め泣きながら娘を寝かしつけました。
絶対私に言ったのだろうな。と思っていたら翌朝バッタリ顔を合わせてしまいました。気まずかったのですがきちんと謝ろうと思って謝罪したら、おじさんはキョトン。かなりの間を置いて「あれは上の階の人に向かって叫んだんだよ! ごめんごめん! 子どもは泣くのが仕事なんだから全然気にしてないよ」と言ってくれました。 そしてうちの娘をみて「かわいーね。かわいーね」とデレデレ(笑)。ブラジルで暮らす子どもを思い出すって話してくれました。それ以来何かと私たち親子を気にかけてくれたおじさんは1年後にブラジルへ帰っていきました。別れの時とても悲しかったのを今でも覚えています。
あのとき、「子どもは泣くのが当たり前」そう言ってくれてありがとうございました。(30代後半 女性、加筆・修正の上掲載)』
「うれしくて目に涙が溜まります」カフェのオーナーのお母様の心遣いに感謝
『動き回る息子を日々追い掛け、とにかくストレスを溜めていました。ある日、小児科の待合室で知り合ったママから、和室におもちゃが置かれているカフェを教えてもらいました。そこに行くといつも癒され、元気をもらっていました。でも、息子は和室の障子に穴を開けてしまいました。絶望的な気持ちになった私を、玄関まで追い掛けて来てくれたのは、カフェのオーナーのお母様でした。
「こんなことを気にしちゃダメよ! 絶対また来るのよ。障子は必ず素敵に直すから」そう言われて、しばらく経ったある日、和室に入ってみると、穴の開いた障子は1つもありませんでした。そこは和のステンドグラス! 息子が開けた穴のある障子と他の数カ所に、色付きの和紙が貼られ、本当に素敵なお部屋になっていました。
今、そのお部屋は子連れ専用のお部屋になっていて、あの時息子が穴を開けた障子には、誰かがまた穴を開けていました。あのときのお母様のキラキラした表情や掛けていただいた言葉を思い出すと、うれしくて目に涙が溜まります。あれ以来、息子の顔を見ると抱き上げ、私には美味しい自家製のバジルをくださいます。そのカフェは、大切な人にだけ教えたい、私のパワースポットです。素敵に変身させた障子のように、失敗しても楽しくフォローしよう! と思います。(30代前半 女性、加筆・修正の上掲載)』
見知らぬ土地でかけられた言葉に涙
『主人の仕事のため実家の近くから遠くに引っ越すことに。見知らぬ土地で知り合いもおらず頼れる身内は主人だけで、3歳と1歳の育児をしていました。主人は子煩悩で休みの日は子どもたちと遊んでくれるのですが、普段は仕事が忙しく子どもたちが寝てからしか帰れず一人で育児をしていました。
スーパーでの帰り、自転車置き場で子どもたちを自転車に乗せ沢山入ったスーパーの袋を持ち”頑張るぞ”という気持ちから大きく深呼吸をすると、近くのベンチに座っていたおばあさんが「ちゃんと椅子に座ってエライね!」と自転車の椅子に座っている子どもたちを褒めてくれました。「お母さんが頑張っているのをちゃんとこの子たちは知っているのね! だからこんなに良い子なんだろうね!」と言ってくれました。私はこのおばあさんにお礼を言い、帰り道自転車をこぎなから涙が出ました。見知らぬ土地で知り合いもいない中、ほぼ一人での子育てに正直不安や寂しさを感じていました。そんな中、私の事情を知るはずもない見知らぬおばあさんに子どもたちを褒められ、私の頑張りを認めてもらった気がしてすごく嬉しかったです。
あのときの言葉でこの土地でも”頑張ろう”と思えたし、あのおばあさんのおかげでこの土地が好きになりました。(30代前半 女性、加筆・修正の上掲載)』
貴重な体験談をお寄せいただいた皆様、ご協力ありがとうございました。
文・赤石みお イラスト・はなめがね