赤ちゃんにとって、眠気は不快!?育児中の素朴なギモンに答えてくれる「イクメン脳科学者パパの本」
さて突然ではありますが、どうして赤ちゃんは眠いときにグズるんだろう? そんなギモンを抱いたこと、ありませんか? 寝るのが大好きな筆者は、生まれてきた息子が寝グズるたび、寝かしつけに手こずりながら「眠るのは気持ちの良いことなのに……」とつくづく不思議でした。
イクメン脳研究者パパが、わが子の成長をていねいに記録・解説『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』
そんな筆者の育児中の素朴なギモンにこたえてくれたのは『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』という本でした。子どもの成長に関する「なぜ?」が、脳科学の視点からわかりやすく解説されている興味深い一冊です。
著者は、東京大学 薬学部教授で脳研究者である池谷裕二先生。脳研究ときくと難解なイメージがつきまといがちですが、ご心配なく。池谷先生は、自分が家にいる間は妻にオムツ替えをさせないというほどのイクメン。本書は、わが子の成長を見守るイクメンパパであり、熱心な脳研究者でもある池谷先生だからこそ書き得る育児記録です。池谷先生の娘さんの誕生から4歳までの姿が1ケ月ごとに記録され、育児の”あるある”事例を引きあいに、それぞれの成長についての脳科学的な説明がなされています。
たとえば、冒頭で話題にした「寝グズリの理由」、それは赤ちゃんにとってまどろんでいるときは、寝ているのか起きているのか不安定な状態だからなのだそう。大人とちがい、「睡魔のあとにはゆったりとした眠りが訪れる」という経験を積んでいない赤ちゃんには、眠気は不快なものになるようです。ギモンが晴れた筆者は思わず「なるほど!」とポンと手を打ってしまいました。
ヒトの脳ってスゴイ! 脳科学の面からも育児を楽しんで
本書ではほかにも、「ウソは高度な認知プロセスであること」、「3歳になるまでに脳の神経細胞の数は30%に減ること」などなど、数多くの”目からウロコ”のお話が繰り広げられています。
ヒトの脳の賢さに心うたれ、脳を豊かに活かそうとする池谷先生の思いが随所に散りばめられた『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』。赤ちゃん、ひいてはヒトの脳ってスゴイ! と感心したら、また新しい角度から育児を楽しめそうです。育児のヒントも多分に盛りこまれた『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』、どうぞお手にとってみてください。
作:池谷裕二
定価:本体1,600円+税
発行日:2017年8月18日
発売元:(株)クレヨンハウス
文・福本 福子