マックィーンの”95”に隠された秘密とは? ― 『カーズ/クロスロード』監督に聞く
『カーズ/クロスロード』取材のため、編集部はアメリカ・ピクサー本社へやって参りました!
『カーズ/クロスロード』はディズニー/ピクサーが贈る“クルマの世界”を舞台にした感動のアドベンチャー作品です。主人公は真っ赤なボディがトレードマークの天才レーサー「マックィーン」。作品ではレースでの挫折を経験し、人生の岐路に立つマックィーンと彼を支える仲間たちとの絆が描かれています。
ママスタセレクト編集部がピクサー本社を見学したのちにお会いしたのは、『カーズ/クロスロード』を手がけたブライアン・フィー監督と製作のケヴィン・レハーさんのお二人です。ブライアン監督は二人の娘さんのパパ。子どもたちと作品の関わりについてもお聞きしました。
子どもたちに「自分たちはなんでもできる」と信じてもらいたい
──ブライアン監督はご自分の二人の娘に『カーズ/クロスロード』をどのように見てもらいたいですか?またどんなメッセージを受け取ってもらいたいと思っていますか?
ブライアン・フィーさん(以下B):この作品に関わっていた何年もの間を通して、娘たちのことはかなり考えていたんだ。僕が娘たちにこの作品から学んでほしいことは「君たちはなんでもできる」という考え方を持ってもらうことだよ。そして自分たちのゴールがなんであれ、目標を成し遂げるためには助けてくれる人たちを探さないといけないんだ。そのためには「自分たちはなんでもできる」と信じて、周りの人たちを巻き込んでいくことが大切なんだ。
ケヴィン・レハーさん(以下:K):そうだね。あとは助けてもらった恩人を覚えておくことだよ。時々彼らのおかげで、いま自分がここにいるということを忘れてしまうからね。
──ブライアンさんにお聞きします。二人のお子さんたちは、この作品に対してどういった感想を持ちましたか?
B:ものすごく気に入っていたよ。この作品を作っている間、娘たちはすぐ近くにいたから特別な視点で見られたんだ。たとえば僕は娘たちをレコーディング・セッションに連れていったんだ。そこで娘たちは、オーケストラの人たちと一緒に座っていた。さらに娘の一人は作品の中で、少しだけアニメーション化されているんだよ。だから娘たちは、この作品をずっと舞台裏から見ていたし、とてもストーリーを気に入っていたよ。
──お子さんがこの作品に影響を与えたことはありましたか?
B:僕らはあらゆることを仕事に持ち込むんだ。家に帰って、自分の家族と食事をして、翌日仕事に戻ってきて、ストーリーに取り組む。だから自分たちの日常生活で起こる多くのことが、作品の中にはいってくるんだ。特に“クルーズ”というキャラクターは、娘たちが物事に挑戦するのを怖がることからできたんだ。
娘たちは自分たちが苦手だと思うことには挑戦したがらない。それと、これは男の子のもので、これは女の子のものだと決めつけてしまう。「それは男の子のもの」と決めつけてしまったら、それでおしまいなんだ。娘のものじゃなくなってしまう。だから僕はできる限り、男女で決めつけるような考え方を変えたかった。娘たちに「自分たちはなんでもできる」と信じてもらいたいんだ。
マックィーンの”95”のナンバーはあの作品の影響!?
──ところで、マックィーンについている「95」という数字には、どのような意味があるのですか?
B:それは、『トイ・ストーリー』が公開された年だよ。
K: そうなんだ!
B:ジョン・ラセター(※)が決めたんだ。僕たちの作品に登場するナンバーやいろんなものにはすべてなにか意味があるんだよ。たとえ誰にもわからない個人的なことであってもね。1作目の『カーズ』で、ジョンは『トイ・ストーリー』が公開された年、「95」を選んだんだ。
──マックィーンが作品の中で「KACHOW!」と言いますが、これはどういう意味でしょうか?
K: いままでこの質問はされたことがなかったよ。
B:そうだね。一度も聞かれたことがないね。
K: なにか話を作って(笑)。
B:それは彼のキャチフレーズなんだ。
K: いい質問だけど、僕たちはなぜかわからない。
B: なにも意味していない、ただの彼のキャッチフレーズなんだ。1作目の『カーズ』作品の中で、レポーターがマックィーンのところにやってくるとき、彼は傲慢な態度だった。そうだろう? マックィーンは1作目のとき、著名でいるのが好きだった。特に、1作目の最初はね。著名だということを楽しんでいたし、カメラの前でポーズを取ることやキャッチフレーズをいうことを楽しんでいた。だからそれに合わせて声を出しているだけだよ。
──ディズニーアニメーションのキャラクターはよく歌いますが、ピクサーのキャラクターは歌わないのですか?
B: 絶対に歌わないとは言わないよ。
K: オーウェン・ウィルソン(マックィーンの声優)は、マックィーンに少しだけラップをさせたよ(笑)。かなり歌うのに近いものだった。ラップをさせるのは大変だったけどできたんだ。
B: ディズニー・スタジオがミュージカルをやるのは伝統の一部なんだ。でも僕たち(ピクサー)にとっては……、僕たちにもできるし、今後やるかもしれないけど、それは監督次第だよ。もし監督がなにかアイディアを思いついて、僕たちも「歌う必要がある」と感じたらね。『カーズ』の世界ではミュージカルじゃないし、たとえたくさんの歌があったとしても必要を感じなかった。すべての『カーズ』作品では、たくさんの歌が使われているけど、たくさんの歌を使うのは『カーズ』作品のボキャブラリー(語彙)の一部だよ。でも必ずしもキャラクターのすべてが歌う必要がないというわけじゃない。
──ピクサー作品でも歌う可能性はあるということですね?
B:そうだね。
K: 決して歌わないとは言わないよ。僕たちは多分『カーズ』では歌う作品はやらないだろうね。でも誰かがどこかの時点で、ピクサー作品でミュージカルをやるだろうね。
貴重なお話、ありがとうございました!
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(C) 2017 Disney/Pixar
文・編集部