最新作『カーズ/クロスロード』製作のアメリカ・ピクサー本社は”楽園”のような環境でした
『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』、『ファインディング・ニモ』、そして『カーズ』など親子で楽しめるアニメーション作品を生み出してきた「ピクサー・アニメーション・スタジオ」。
ママスタセレクト編集部はアメリカ・カリフォルニア州エメリーヴィルにあるピクサー本社に潜入するチャンスを得ました。子どもたちも大好きな“あの映画”が生まれた聖地とは? その裏側に迫ります。
あの名作はここから生まれた!ピクサー本社の見どころ
ピクサー・アニメーション・スタジオは1986年に創業された会社で、米アップル前CEOのスティーブ・ジョブズが同社創設に関わったことでも有名です。
撮影当日、早速取材陣をお出迎えしてくれたのは、ピクサーのロゴをモチーフにした正面ゲートです。ここから6万平方メートルにも及ぶ本社キャンパスに潜入します。未知の世界にドキドキ!
ピクサーといえばやっぱりコレ! ルクソーJr.像
本社に入ると巨大なランプとボールが目に入ります。見覚えのある方も多いのでは? このランプは1986年に製作された短編CG映画作品に登場するキャラクターで「ルクソーJr.」という名前。ピクサー作品のオープニングロゴに登場していることでもおなじみですよね。読者のみなさんにそのスケール感をお届けするため、ヒトと背くらべしてみた写真をお届けします。ご協力いただいたのはコラムサイト”minto.”編集長のおかもとまりさんです。
ちなみに像の奥に見えるのが本社ビル「ザ・スティーブ・ジョブズ・ビルディング」です。この建物は隅から隅まですべてスティーブ・ジョブズによってデザインされ、社員がコミュニケーションしやすいようにと建物の随所に工夫が凝らされているそう。例えばトイレの数を最小限にしたり、社員が必ず通るストリートを設計するなど、社員同士が顔を合わせやすいよう計算された造りなのです。
「ザ・スティーブ・ジョブズ・ビルディング」の内部をご案内
ザ・スティーブ・ジョブズ・ビルディングの中に入ると、まず我々をお出迎えしてくれたのが、ピクサー作品のキャラクターの数々です。たとえば……、
映画『カーズ』に登場するイタリア魂の熱いタイヤ専門店・店主のルイジと素早いタイヤ交換でおなじみグイドです! このキャラクターたち、どれくらい大きいと思いますか?
ヒトの身長と同じくらいなんですよ! 実物の車と変わらないスケールに圧倒されます。このほか入り口には『Mr.インクレディブル』や『トイ・ストーリー』のキャラクターたちが展示されていました。
ここで働かせてください! 社員食堂の豪華さに感動
さらに中に進むと現れたのがビュッフェ形式の社員食堂。内装は”社食”とは思えないほどおしゃれで、専門のスタッフが注文を受けて料理する様子も見られました。無料で提供されるコーヒーも味に深みがあって高級感を漂わせています。
さらにシリアルやフルーツなどが無料で食べ放題のスペースもありました。
シリアルバー近くの冷蔵庫をのぞいてみると、ミルクの種類も豊富。シリアルと一緒に小腹を満たせますね。食事面をとっても働く人にとっては楽園のような環境です。
ピクサー本社に隠れたキャラクターたちを発見
遊び心があるのもピクサー本社の魅力。例えば男子トイレの案内は……
『トイ・ストーリー』のウッディが描かれています。ちなみに女性トイレには……、
同作品のボー・ピープでした。他の建物にもまだまだキャラクターが隠れているのでお楽しみに。このほかビルの中にはお土産が購入できるショップもあります。ピクサーのロゴが入ったキャップやマグカップ、Tシャツなどのオリジナルグッズが満載でした。
ここがオフィス!? 高級ラウンジのような建物に圧倒される
さらに別の建物に移動してみましょう。
「ブルックリン」と呼ばれるレンガ風の建物の屋根には”鳥のシルエット”がお目見え。これは『ファインディング・ニモ』に登場するカモメなんだとか。
建物の中へ進むと、開放感のある空間が広がっていました。
さらに奥をよく見ると暖炉が。
しかも火は本物で、薪が燃え続けています。
暖炉の裏側には「火の間」というスペースがありました。壁面のショーウィンドウには古びたビンやボールなどの野球道具などが飾られています。ピクサー本社が建設される前の土地は、元々メジャーリーグのチームがプレーしていた野球場だったそう。つまり飾られていた野球グッズは本社を建てたときに地面から発掘されたモノだったのです。
発掘された野球道具はメジャーリーグベースボールのプロ野球チーム「オークランド・アスレチックス」のものではないかと言われています。ピクサー本社建設にも”ストーリー”が生まれるなんて夢があり、なんともピクサーらしいですね。
火の間ということで、お部屋のシャンデリアも火をモチーフにしています。
そんな火の間にはサンフランシスコの交通状況がリアルタイムでモニタリングできる設備もありました。社員の皆さんはこのモニターで帰り道の混雑状況を把握するそう。
火の間を出て建物を散策してみると……
地面に隠れたバズ・ライトイヤーを発見しました。
レンガに隠れていたのは『ファインディング・ドリー』に登場するタコのハンク。目をこらすと様々なキャラクターがいるなんて、やはり遊び心が満載です。
ピクサー本社キャンパスの魅力はまだまだあります
建物を出てキャンパスを散歩してみると、次々に現れるスポーツ施設の数々。まずはサッカー場に……、
バスケットコート、
プールに、
トレーニングジムまで!
さらにお昼寝にも使えそうなハンモックや
ビリヤードもありますよ!
ここまでご紹介してきた本社キャンパスは映画『バグズ・ライフ』の大ヒットの収益によって2000年11月に設立されたのだとか。キャンパス内ではピクサーアニメーションを手がけるメンバーだけでなく、人事や経理の社員も映画の感想をオープンに言い合う風土があるそう。この日も社員食堂などで朝はやくから社員同士が活発にコミュニケーションをとっている様子が見られました。ちなみにくじ引きで社長とランチができる制度もあり、社員誰でも社長に率直な意見を言えるのも社風の1つだそう。
日本人の社員から見た「ピクサー」とは
2015年3月ピクサーへ入社し、映画『カーズ/クロスロード』ではアニメーターとしてキャラクターに命を吹き込む役割を担った原嶋さんに、ピクサーで働くことについて伺いました。原嶋さんはアメリカの本社で働く4人の日本人のうちの1人です。
――ピクサーが社員の採用で重視しているポイントは?
原嶋さん:ピクサーがクリエイターを採用する上で大切にしているのは、人間性なんです。仕事をするうえでスキルがあるのは当然で、社員複数人と面接をして、全員が納得できる人材ではないとなかなか採用には至りません。だから、ピクサーの社内で仕事をしにくいという人はいないですね。
――仕事をするうえで、日本の会社にはない風土はありますか?
原嶋さん:自分のスタンスを周りに伝えるのは大事ですね。YES・NOを言わないのであれば「分かっているのかわからない」とみなされるので、日本のように「何も言わない美徳」というのは、なかなか伝わらないです。意見を言わないと理解されないという面はありますね。
――『カーズ』など著名な作品に関わっていかがですか?
原嶋さん:日本にいる親戚や家族にも知られているピクサーの作品に関わっているのはすごく誇らしい気持ちですね。
ご協力いただきありがとうございました。最後に原嶋さんに今後の夢について伺うと「将来は『トイ・ストーリー』のアニメに関わりたいですね」と回答いただきました。ピクサーのような会社でグローバルに活躍できる日本人がこれからもどんどん世に出ることを期待したいですね。ピクサーで働く日本人、原嶋さんが関わったディズニー/ピクサー最新作『カーズ/クロスロード』MovieNEX(4,000円+税)は11月22日(水)発売です。デジタル配信も開始中。ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
(C) 2017 Disney/Pixar
取材、文・編集部