【ピジョン×藤本美貴さん×てぃ先生】中学生がつくる赤ちゃん川柳から学ぶ子育てを支える社会のヒント
少子化の進む今、赤ちゃんと触れ合う機会がないまま大人になる子どもが増えています。そんななか、東京都江東区にある、かえつ有明中学校で行われた「赤ちゃんを知る授業」は、思春期の子どもたちが“命”や“子育て”を知る貴重な時間になりました。
本授業の一環として、11月11日に開催された発表会に登壇したのは、タレントの藤本美貴さん、現役保育士のてぃ先生、そしてピジョン株式会社 ブランドデザイン部 コーポレートブランディンググループの半澤ふみ江さん。
3人がそれぞれの経験から「赤ちゃんにも、ママ・パパにも優しい社会って何だろう?」を語り合い、子育てを支えるヒントがたくさん見えてきたイベントをレポートします。
赤ちゃんを知り、表現する
中学生4万人が体験。全国で広がる「赤ちゃんを知る授業」とは?
ピジョン株式会社が全国の中学生に届けている「赤ちゃんを知る授業」は、47都道府県・約500校、4万人以上が参加する人気プログラムです。ピジョンから提供された教材を用いて学校の先生が授業を行うパターンと、ピジョン社員が学校へ出向いて新生児人形の抱っこやベビーカー操作など、“体で学ぶ体験”を行う出前授業パターンがあります。
授業後は90.1%の生徒が「赤ちゃんのために自分にもできることがある」と回答。プログラムを通して、子どもたちの意識に変化も見られています。
今回の発表会では、その学びをもとに中学3年生の生徒たちが“赤ちゃんの気持ち”を五・七・五で表現した「赤ちゃん川柳」を披露しました。
子どものうちから赤ちゃんを知ることが大切
今回のイベントには、藤本美貴さんとてぃ先生も参加し、中学生たちが取り組んだ「赤ちゃん川柳」を一緒に見守りました。
冒頭では、ピジョン株式会社の半澤さんが「少子化で赤ちゃんに触れる機会が減り、約9割のママ・パパが外出先で“周囲に迷惑をかけていないか”と不安を抱えている。だからこそ、子どものうちから赤ちゃんの気持ちや育児の大変さを知る学びが必要です」と話しました。
中学3年生の生徒たちが紡いだ「赤ちゃん川柳」
この日は、かえつ有明中学校・全6クラスの代表がオンラインで参加し、自分たちの句に込めた思いや気づきを発表。どの作品も、赤ちゃんと親への温かなまなざしが伝わる力作ばかりです。
1組「思いやり 小さき頃の 恩がえし」

小さなころに誰かからもらった思いやりを、今度は自分が赤ちゃんやその親へ返したい。そんな気持ちから生まれた一句。てぃ先生は「大人でも忘れがちな視点。これに気づける中学生はすばらしい」と感性を称賛しました。
2組「席どうぞ 声かけひとつで えがおの場」

電車やバスで、赤ちゃん連れの家族に席を譲ること。その“たったひと言”が場の空気をやわらげ、笑顔を広げる。そんな願いが込められています。ピジョン株式会社の半澤さんは「席を譲るのは、大人でも勇気がいる行動。その気持ちをもてること自体がすごい」と話しました。
3組「狭い道 大きい未来に 続く道」

ベビーカーで通りにくい狭い道も、赤ちゃんがこれから歩いていく“未来”へつながる道だと捉えた一句。てぃ先生は思わず、「深すぎない? 本当に中学生が考えたの?」と驚き、想像力の豊かさに思わずうなる一面も。
4組「泣いてても 笑って見守る それだけで」

赤ちゃんが泣くと、ママ・パパは周りの視線が気になってしまうもの。“ただ温かく見守るだけで救われる”という真理をシンプルに表現した句です。てぃ先生は「『かわいいね』というひと言があるだけでも全然違いますよね」と、言葉がもつ力を語りました。
5組「ほほえみが 泣き顔に効く ひみつ兵器」

声をかけるのは勇気がいるけれど、微笑みなら誰でもできる。その“小さな優しさ”が親の緊張をほどき、赤ちゃんにも伝わる。そんな思いが込められています。「泣いている赤ちゃんと焦っているパパやママとで悪循環に陥りやすい状況が多いと思います。こんなふうに寄り添ってくれる中学生がいることがうれしい」とてぃ先生も感激していました。
6組「泣いてもね いないいないばあ うれしいな」

最後は、赤ちゃん“自身”の気持ちに寄り添った句。「いないいないばあ」が大好きで、泣いていても笑ってしまう。そんな赤ちゃんの日常を温かく切り取っています。ピジョン株式会社の半澤さんは「微笑みより“もう一歩踏み込んだ勇気ある関わり”が表現されている」と語りました。
中学生のリアルな理解が描かれている
どの川柳にも共通していたのは、「赤ちゃんは泣くもの」「親は必死」「周りの優しさで救われる」というリアルな理解。中学生という年齢でここまで想像し、言葉に落とし込めることに、登壇者3人は何度もうなずきながら「すごい」「優しい子たち」と感心していました。
ママ・パパに優しい社会とは?ヒントは“さりげない一歩”
登壇者3人が共通して語ったのは、優しさは特別なことではなく「余裕があるときにできる“さりげない一歩”」で十分だということ。
てぃ先生は「人を幸せにするには、まず自分が幸せであることが大事。今回の“赤ちゃん川柳”で生まれた優しさを、未来の自分にも向けてほしい」と呼びかけました。
ピジョン株式会社の半澤さんも「毎日完璧に優しくする必要はありません。余裕があるときだけでいいので、少し勇気を出して声をかけてみてほしい」とメッセージ。
藤本美貴さんは「親の大変さは経験しないと実感しにくいけれど、中学生のうちに少しでも触れられたら、親への感謝や、小さな子への優しさにつながる」と話しました。
今回の授業は、赤ちゃんの気持ちを想像し、親の大変さに気づき、困っている人を見つけたときに“自分にできる一歩”を考えるきっかけになるでしょう。
親が自分をどんな思いで育ててくれたのかを初めて実感できた

イベントの最後には、かえつ有明中学校の吉井小鈴先生が登壇し、「抱っこ体験や妊婦ジャケット、ベビーカー操作を通して、生徒たちは“見えない大変さ”を実感し、その気づきが川柳につながりました」と振り返りました。
では、生徒自身はどう感じたのでしょうか? 代表で参加した中学3年生の生徒は、「最初は“自分たちにできること”ばかり考えていましたが、今日の話を聞いて、親がどんな思いで育ててくれたのかを初めて実感しました。感謝の気持ちが大きくなりました」と話してくれました。
「赤ちゃんにやさしい社会」というピジョンが目指す未来と、生徒たちの川柳が語る“共感”。今回の授業に参加した生徒たちは、赤ちゃんの気持ちに寄り添い、ママ・パパの大変さに気づき、困っている人に“小さな一歩”を差し出せるようになるかもしれません。今回の学びが、未来へと続く優しさの始まりになれば素敵ですね。
取材、文・長瀬由利子 編集・いけがみもえ
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