「卒乳は自然に任せよう」と思っていたら、ある問題が起きてしまった話
「卒乳は、子どもが”おっぱいはもういらない”と自然に感じてくれるのを待とう」……そう考える授乳中のママさん、多いのではないでしょうか? そういうママさんたちはきっと、子どもに必要なあらゆることをしっかりと考え、実行したうえで、このようなスタンスでいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、筆者の場合は、残念ながらそうではありませんでした。親子で経験した少しばかり苦い思い出をご紹介します。
※世のママさんたちの母乳育児を否定するものでは全くないことを先にお断りしておきたいと思います。あくまで個人の体験として、ご覧ください。
当時1歳4か月の息子、成長に若干の不安
1歳になるまでは、主にずりばいで移動していました。つかまり立ちもしていたので、このままあんよになるのかなと思ったら、1歳でハイハイに。当時はいつ歩き出すのか不安でした。高速ずりばいから変わって、ぎこちなかったハイハイはすぐに高速ハイハイになり、あちこちに移動。母たる私は神経がすり減りすぎてヘトヘトになるほどでした。
この時期はまだおっぱいをあげています。何度か断乳にチャレンジしたものの、全て挫折してきていました。毎回心の底から挫けていましたが「まだこの子には早いんだな」と判断し、自然に卒乳するのを待つことにしました。
断乳にも悩んでいましたが、もっと悩んでいたのは離乳食のこと。運動量が少ないせいなのか、母乳でお腹がいっぱいになっていたせいか、離乳食をあまり食べていなかったのです。しかし子どもの成長度合は常に、母子手帳にある成長曲線のド真ん中。今思えば成長曲線の範囲内にいることで、問題ないと判断し油断していたのかもしれません。
問題が起きた日…!
1歳4か月となったある夏の日、39℃の熱が出ました。すぐに下がりましたが一週間ほどして再度高熱、原因を特定するため血液検査が必要になりました。結果アデノウィルス感染症とわかり対症療法を取ることとなって、病気自体に特筆すべき点はなかったのですが……問題は血液検査の結果の方でした。
「ちょっと数値が低いですね……。」
先生の一言にも、さっぱり訳がわからない……。きっとマヌケな顔をしていたであろう私に、先生は検査結果を丁寧に説明してくださいました。
息子は『鉄欠乏性貧血』と診断されたのです。
<鉄欠乏性貧血とは>
貧血とは血液中の赤血球や血色素(ヘモグロビン)が正常よりも少なくなってしまった状態をいいます。この中でもっとも多いのが「鉄不足が原因で起こる貧血」=「鉄欠乏性貧血」です。(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット)
生後7か月頃以降~2歳くらいの子どもの場合、母体からもらった貯蓄鉄が少なくなるのに対し、成長に必要な鉄分は増えていきます。従って食事から鉄分を摂る必要があります。
しかし我が息子の場合。おっぱい大好き、離乳食を食べません! これは大問題です。
かかりつけの先生は、
「授乳を続けていることで離乳食を食べず、鉄分補給の機会を失っているということで、授乳が遠因(遠い原因)になっているかもしれない」
という旨のことを、言葉を選んで慎重にお話ししてくださいました(きっと反感を持つママさんが多いのだろうなと感じました)。
というわけで、元気なときにもう一度血液検査をした結果、鉄欠乏性貧血が確定。治療には、鉄剤の補給と、断乳の2つが必要となりました。
即、断乳
それまでは「問題が起こらなければ息子が納得するまで授乳しよう」と思っていましたが、問題が起こったので、即、断乳。3日ほどよく泣きましたが、昼の断乳はそれで完了しました。病気を治すという大義名分があったので、もうくじけてはいられません。
本当は夜も断乳したかったのですが。夏場で脱水症状が心配だったこと、ご近所への泣き声の影響、夫の寝不足(笑)を考え、断乳に至りませんでした。完全な断乳はもう少し後のことになります。
さて鉄剤を服用し始めた息子、なぜか突然一人歩きを始めました。そして時期を同じくして離乳食をどんどん食べるようになりました。
結局断乳が良かったのか鉄剤が効いているのか、はたまた一人歩きが始まったからよく食べるようになったのか……。この時期は他にも熱性けいれんや歯の治療などいろいろなことが起こりすぎて、何が原因で何が結果かイマイチ判断がつきません。しかしとにかく、歯車がようやくかみ合ってきたかように、急に成長しだしたことを覚えています。
ちなみに鉄欠乏性貧血はその後4か月ほどで治りました。断乳も1歳8か月で完了しました。親子でお互い「もういいんじゃない?惰性で飲んでるでしょ?」的なオーラを出していたので、特にギャン泣きもせず、わりとあっさりでした。
おわりに
現在4歳の息子、元気にやっております。お友達と同じように、立派に好き嫌いをしつつご飯を食べています。鉄欠乏性貧血の再発は今のところありません。
こんなケースもあるということで、授乳中のママさんが卒乳を考える際の一つの判断材料になれば幸いです。
文・しらたまよ イラスト・なかやまねこ