将来「配偶者控除」が廃止になる!?配偶者控除見直しへ……。税金の負担は増えるの?
読売新聞から「配偶者控除、見直しを検討へ」というニュースが流れたのは本日、2016年8月30日。以前からこの秋見直しになるのではないかと言われていましたが、ついに来たかという感じです。配偶者控除がなくなったら、私たちの生活はどうなるの? 税金はいくら増えるの!?
配偶者控除ってなに?
まずは配偶者控除について、一度確認しましょう。
配偶者控除とは、納税者に配偶者がいて扶養する必要がある場合、所得税を控除しましょうというものです。配偶者控除を受けるには、その年の12月31日の時点で以下の4つの要件、すべてに当てはまることが必要です。
1、民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
2 、納税者と生計を一にしていること。
3、1年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4、青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと。または白色申告者の事業専従者でないこと。
つまりご主人が会社で働いている専業主婦の方、またはパートで働いているけれど年収が103万円以下の場合、ご主人にかかる税金が安くなりますよという制度なのです。これが配偶者制度です。この制度を廃止しようということなのです。
「年収103万円」ではなく「合計所得金額38万円以下」
ところで、よく「パート勤務で働く場合の年収は103万円以下」といわれていますが、正しくは「1年間の合計所得金額が38万円以下」です。
パートで働いている場合、
所得税の計算は、年収ー給与所得控除額(65万円)=所得の合計金額
103万円―65万円=38万円
となります。
ちなみに、この38万円は納税者ならだれでも受けられる基礎控除というものです。なので実質の所得は0円となるのです。
「配偶者控除」が廃止されたら中間層で年間約11万円増税!?
さらに忘れてはいけないのが住民税。所得税はその年の所得にかかりますが、住民税は所得税が決まってから決定するため、前年の所得に対してかかります。
配偶者控除額は所得税38万円、住民税33万円です。これらが廃止されるということは、この控除額にそれぞれの所得税率をかけた分が増税されるのです。
まず所得税についてですが、所得に応じて税率が5%~45%かかります。また住民税は一律10%かかります。
たとえば年収195万円以下の世帯の場合、所得税は5%となり
所得税38万円×5%=1万9000円
住民税33万円×10%=3万3000円
となり、最低でも1年間に5万2000円の増税となります。
年収が330万円~695万円の場合は所得税20%なので、
所得税38万円×20%=7万6000円
住民税33万円×10%=3万3000円
つまり、1年間に10万9000円の増税となります。
所得税は収入に応じて税率が変わるため、国税庁のホームページで確認してみましょう。
「配偶者控除」は女性活躍の妨げになっているという意見がある一方、小さな子どもを抱える専業主婦の中には「働きたくても保育園に預けられない」という人たちも多くいます。「配偶者控除」を廃止するなら、先に女性が働きやすい環境を整える必要があるのではないでしょうか。