速水もこみちさんも登場!「夏越ごはん」で残り半年も健やかに
お正月に食べるおせち料理、大晦日に食べる年越しそばなど「食」は季節ごとの行事を彩る大切な要素。「そこだけでもきちんと子どもに伝えたい」と、行事ごとでこだわる家庭は少なくないようです。
節分に食べる恵方巻など、かつては一地方のものでしかなかった習慣が全国区になる場合も。そのひとつに加わりそうなのが、昨年から始まったという行事食「夏越(なごし)ごはん」。「ブームに乗った思いつきなんじゃ?」と思うママもいるかもしれませんが、そのいわれを知ればなるほど納得! 料理上手で知られる俳優・速水もこみちさんを迎えて開かれた、説明会に参加してきました。
毎年6月末日に行われる「夏越の大祓」で食べたい行事食
古来から、心身の穢れ(けがれ)をはらい清める「祓(はらえ)」を重視してきた日本人。中でも毎年6月と12月の末日に行われる神事は「大祓(おおはらえ)」といわれます。大晦日に神社仏閣へおはらいに行くことは、多くの日本人の習慣になっていますよね。
6月の大祓は「夏越の大祓」といい、これから迎える夏を無事に乗り越え、残り半年を平穏に過ごせるように祈願するもの。
日本全国の神社で行われる「夏越の大祓」には大きく分けてふた通りあって、ひとつは「形代(かたしろ)」と呼ばれる紙人形に罪や穢れを移すもの。さらにもうひとつが「茅(ち)の輪くぐり」です。1年の半分の終わりを迎えるこの時期、近所の神社で茅(ちがや)を束ねてつくった「茅の輪」を見かける人も多いのでは? くぐり抜けることで半年間の穢れをはらい、疫病や災から逃れることを祈る神事です。
それに合わせて昨年誕生したのが「夏越ごはん」。雑穀ごはんの上に「茅の輪」をイメージした緑や赤の夏野菜を使った丸いかき揚げを乗せ、おろしだれをかけたものです。昨年は都内の神社34社と多くの飲食店で「夏越ごはん」が提供され、大好評を博したそう。
「夏越ごはん」に使われる素材には、それぞれのいわれが
説明会の舞台となった「赤坂氷川神社」の権禰宜(ごんねぎ)である神屋宗太郎氏が「夏越の大祓」についての説明をしてくださったあと、「夏越ごはん」の解説をしてくれたのが管理栄養士の森嶋道子氏です。
ベースとなるのは、雑穀を混ぜたごはん。これは「茅の輪」の由来となった、蘇民将来(そみんしょうらい)が素盞鳴尊(すさのおのみこと)を「栗飯」でもてなしたという伝承にならった「粟」、邪気をはらう「豆」などからきているものだそう。
上に乗せるかき揚げには「茅の輪」をイメージした緑の夏野菜(ゴーヤ、いんげん、枝豆、オクラなど)と、邪気をはらう赤の野菜(ニンジン、赤パプリカなど)が使われています。さらに「百邪を防ぐ」といわれるショウガとレモンを効かせたおろしだれがかかります。
食べてみたい! もこみちアレンジの「夏越ごはん」
季節感いっぱいのお話を聞いた最後に登場したのは、料理男子の代表選手・速水もこみちさん。芸能界きってのお料理好きだけあって、ふだんから行事食はマメにチェックをしているそうです。
「もちろんお正月のおせちや恵方巻も。あとは行事食ではないかもしれませんが、料理番組をやらせていただいているので節分の日は豆を使った料理を紹介したり。子どもの日などは、定番ではありますが子どもたちが喜ぶちらし寿司を作りますね。そこからコミュニケーションも広がっていきますし」
もちろん「夏越ごはん」にも興味しんしんです。
「雑穀米は健康的ですし、女性はとくにうれしいんじゃないかなと思います。夏は揚げ物もおいしく食べられますし、野菜が入っているので栄養価も高いですよね。揚げ物におろしだれというのもさっぱりしていて、非常によい組み合わせだと思います」
実際に試食し「すごくおいしいです。僕のレシピに加えさせてもらってもいいですか? 僕が編み出したかのように(笑)」というもこみちさんに、司会者から「ご自分で作るなら、どんなアレンジを?」といきなりの質問が。
「えーっと……、お時間もらってもいいですか(笑)?」と一瞬うろたえたもこみちさんでしたが、そのあとすぐに
「これから暑くなる季節には、やはりシーフードがほしくなりますよね。なのでたとえばイカやエビをかき揚げにして、トッピングにこの時期おいしい大葉やミョウガを千切りにして乗せてみてはどうでしょう? 今回はおろしだれを使っていますが、僕だったら日本人が昔から好きなお茶を使います。召し上がっている途中で飽きたらお茶をかけてお茶漬けに、さらに氷を入れて冷やし茶漬けに。ひとつの丼で3通りの楽しみ方ができると思います。いかがでしょうか?」
と、アドリブとは思えない見事な回答をしてくれました。さらには「今回はオリーブオイルを使っていませんよ(笑)、和食ですから」とウィットの効いたひと言も。さっそうとした和服姿はもちろんイケメンでしたが、切り返しまでイケメンなもこみちさんに感心しきりでした。
取材、文・鈴木麻子