「出産に立ち会いたい!」悪気のない義母への断り方
現代ではどちらかといえば、「お嫁さんに気を遣う」という姑世代が増えたと感じています。昔ながらの「嫁にもらう」感覚が薄れたり、嫁姑問題で悩んできた今の義母世代が「自分は(自分の)姑のようにはなりたくない」という心遣いなど、いろいろな背景があるのでしょう。心中はどうであれ、明らかに「嫁いびり」をするような義母はやはり減っていると思います。それでも、うまくいかないのが嫁姑関係ですよね。
妊娠を機に距離をつめる義母
我が家の義母も優しい人です。本音は知りませんが、旦那に私の悪口を言ったり、帰省したら私だけ料理がなかったり……なんていう明らかな「嫁いびり」はありません。アポなしで訪問もしないという、気遣いのある義母です。
ところが、そんな義母が私の第二子の妊娠中に驚くべき要求をしてきました。
「陣痛がきたら連絡してね! 次こそお産を見たいから!」
第一子の出産は夫の立ち会いのみで、トラブルもあったことから親戚一同への連絡はすべて出産後にしました。どうもそれが気に入らなかった様子の義母。突然、出産に立ち会いたいと言われて、今までの適度な距離感を心地よいと思っていた私はおもわず絶句です。
実際にネットでは「義母が立ち会いたいといって困ります」という悩みをよく見ますが「そんな人いるんだ。うちは大丈夫だな」なんて思っていたのです。まさか自分の身に起こるとは!
悪気がないから、タチが悪い
義母のことは嫌いではないけど、さすがに出産の立ち合いは絶対にイヤ。というか、「義母にいてほしい」というママはいるのでしょうか? 一般的には少数派でしょう。義母が嫁である私の出産を見てなにを得たかったのか、心配を回避したいのか、孫を一番に抱きたかったのか、目的はいまだに謎です。
しかし、何よりもタチが悪かったのが、義母がそれまで優しく、気遣ってくれていたがゆえに、とても断りづらかったことです。今まで気を遣ってもらっていた分、断ったら自分が悪者のように思えました。でも、やっぱり無理……そんな私が苦肉の策で継いだ言葉は
「いやいや、お義母さんは出産のときに姑さんに傍にいてほしかったですか? 私はそういうタイプじゃないんですよね」
というもの。とっさの機転で出た反論だったのですが、これがのちのちとても便利な反論方法と気づきました。
義母を傷つけずに断れる方法
まず義母は私の言葉通りに「自分が嫁だったら……」というのを考えてくれたよう。「苦しむ様子を見たい」という「嫁いびり」が目的ではなかったようで、不満そうではありましたが、出産の立ち会いはあきらめてくれました。
ではもし、「いや、それでも私は見たい!」と言ったらどうしただろうか、とも考えました。「私は立ち会ってほしいタイプではない」と暗に断っているにも関わらず、それでも強引に来るということは「私を困らせたい」ということです。実は義母とはよい関係と言いつつも、過去にちょっとした気になる発言などもあり、旦那に相談したこともある我が家。
そんなとき、旦那はご多聞にもれず「悪気はないからさ」で済ませていました。義母が強行するなら「悪気あるし!」と今度こそ旦那に訴えようと思いました。
そして最後に、そうはいっても義母との関係性は良い方がいいに決まっています。この反論のポイントは「義母VS 嫁の私」という構図ではなく、「出産に姑に立ち会って欲しいタイプの人VSそうでないタイプの人」という対立にしていることです。私は義母の人格を否定したい訳ではなく、その行動に「NO」を言いたいだけなのでこの言い回しはとても便利。立場が違うなら、例えば「2歳でチョコ食べさせる人もいますけど、私は違うんですよ」と「タイプの違い」にすり替えて話すことができました。
自分もいつか義母になる日がくる
ずいぶん計算高いやり方だな、と思うママもいるかもしれませんね。こんなことを書いている私にも実は息子がいます。将来、めでたく結婚して私も元気でいれば、嫁姑の関係を築く日がくるかもしれません。
そんなときにやっぱりお嫁さんには、きちんと「嫌なものはイヤ」と言って欲しいなぁと思います。「嫁の気持ちを思い出して!」と言われたらハっとするかもしれません。明日は我が身と思って、お互いの気持ちを計算しつつも良い関係を築きたいと思うのでした。
文・犬山柴子 イラスト・ごぼふく